弁護士細江のコラム

2017.11.15更新

調停は、家庭裁判所で「調停委員」を介してお話合いを行う手続です。

調停離婚

「調停委員」とは、「弁護士となる資格を有する者、民事若しくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識経験を有する者 又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で、人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満の者の中から、最高裁判所が任命」されます(民事調停委員及び家事調停委員規則第1条)。

申立人と相手が方が交互に調停員からお話を聞かれ、双方の合意点を探っていきます。

相手に直接会わずに済みますし、合意が成立すれば「調停条項」という判決と同じ効力のある正式な書面が作成されます。これにより、養育費や慰謝料について給与の差押え等の強制執行が可能となります)。

また、あくまで話合いなので、ご自身が最終的に承諾しない限り、納得しないまま調停が成立することはありません。

 

早期に調停を提起すべき3つの場合

 

① 相手が話合いの出来ない方の場合

相手がまともに話合いの出来ない方の場合、協議にこだわり過ぎると調停が長期化する傾向があります。

協議は、あくまで話合いであり、相手が納得して初めて合意が成立します。

お互いがスムーズに話し合うことができ、離婚というゴールに向かって建設的な話し合いができる場合は短期間で離婚が成立します。

しかし、相手が感情的であったり、全く話を理解して頂けないような場合、うつ病等の精神疾患を負っているような場合、協議にこだわってしまうと逆に解決までの時間が長期化してしまいます。

ご自身の相手方がどのようなタイプなのかをしっかり見極め、取るべき手段を選ぶようにしましょう。


② 婚姻費用(生活費)が支払われていない場合

仮に別居を開始したとしても、婚姻関係が続いている限り、収入が低い方から収入が高い方に対して婚姻費用(生活費)の支払を求める権利があります。

しかし、調停・審判等の手続において、多くの裁判所は、未払いの婚姻費用(生活費)を遡って請求できるのは、婚姻費用分担調停を申立てた時からとされる場合が多いです。

その為、婚姻費用(生活費)の支払いがされていないときに、協議にこだわってしまうと、本来請求できたはずの婚姻費用(生活費)の請求権を事実上放棄してしまっていることになりかねません。

したがって、婚姻費用(生活費)について大きな争いがある場合は、早目に離婚調停と同時に婚姻費用(生活費)分担調停を申し立てることをお勧めします。

なお、私は、離婚調停と同時に婚姻費用分担調停を申し立てる際は、婚姻費用分担調停の着手金については追加の費用を頂いておりません。(→詳しくはこちら


③ 親権者に争いがある場合

離婚条件の争点が「お金」である場合は、いくらか、という点で細かい調整が可能です。しかし、「親権」が争点の場合は、親権者となるかどうかが争点ですから、「0」か「100」かの問題となる為、双方が容易に譲歩することができず、長期化する傾向があります。

この点、調停・訴訟等の法的手続によれば、お子様の監護状況やお子様の意見などを調査する「家庭裁判所の調査官」(詳しくは裁判所のホームページをご参照ください。)という方が手続に加わります。この調査官という方々は調査後、詳細な「調査報告書」を作成し、親権者としてどちらが適切かという点について裁判官に対して「意見」を述べます。そして、裁判の結果は概ねこの意見のとおりになる傾向があります。

したがって、親権者に争いがある場合は、早めに調停・訴訟等の手続に切り替え、調査官の意見を踏まえた方が早期に解決できる可能性が高まります。

 

投稿者: 弁護士 細江 智洋

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