弁護士細江のコラム

2017.11.16更新

1 遺言と生前の相続対策


残されたご家族が相続で悩んだり、また、それまで円満だったご家族が、相続をきっかけに関係が悪化しないように、資産を遺すご本人が、遺産をどのように引き継ぎたいかを明確にし、きちんと対策をとっておくことが必要です。

生前の相続対策は「遺産分割対策」「節税・納税対策」「財産管理対策」の3つの視点があります。

これら3つの対策のうち、まず最初に行うべき対策が「遺産分割対策」です。

なぜなら、どれだけ「節税・納税対策」「財産管理対策」をしっかり行って、引き継ぐ財産をしっかり守ったとしても、ご本人の没後、遺族同士がもめれば、それまで行った生前の相続対策が全く意味のないものになってしまうからです。

相続争い


2 遺言を活用した遺産分割対策


自らが築いて、かつ守ってきた大切な財産を、最も有効に活用してもらうための明確な意思表示が「遺言」です。

そして、遺言は、遺産を適切な人に適切な割合で分配し、遺された相続人が、争いなくスムーズに、そして何より心理的負担なく相続手続きができる状態を作るための手段です。

遺言することで、生前に自分の財産を自由に処分できるように、死亡後の遺産についても自分の意思で自由に処分することができます。

遺言のないときは、民法の定める法定相続分に従って遺産の分配が行われることになります。

しかし、ここが実は落とし穴です。


法定相続をそのまま家族関係に当てはめると、相続人間の公平が図られないという場合も少なくありません。

例えば、法定相続では、子は皆等しい相続分を有していますが、学費を援助してもらった子もいれば、生前特に何もしてあげていない子、また遺言者と共に家業を担ってきた子もいれば、あまり家に寄りつきもしない子もいるなど、ご家庭の事情は様々です。

こうした事情に配慮して、遺産の分配にそれなりの差を設けてあげないと、かえって不公平なこともあります。

また、子のない夫婦では、兄弟姉妹に残すよりは、妻に遺産を全て残したいと思うのではないでしょうか。

遺産を適切な人に適切な割合で分配する
争いなくスムーズに、相続手続きをする

これらが、遺言書を作る目的であり、だからこそ、必須の相続対策だと言えます。

投稿者: 弁護士 細江 智洋

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