遺言と生前の相続対策
人生は必ず終わりを迎えるものですから、相続は誰にでも生じることです。
相続されるご家族が悩まれないように、また、それまで仲の良かったご家族が、相続をきっかけに不和となってしまうことの無いように、資産を遺すご本人が、遺産をどのように引き継ぎたいかという意思を明確にしておき、きちんと対策をる必要があります。
そして、生前の相続対策は「遺産分割対策」「節税・納税対策」「財産管理対策」の3つの視点で検討しなければなりません。
これら3つの対策のうち、最優先で行うべき対策が「遺産分割対策」です。
どうしてかと言いますと、どれだけ「節税・納税対策」「財産管理対策」をしっかり行い、引き継ぐ財産をしっかり守って来たとしても、ご本人が亡くなった後に、遺族がもめてしまうと、結局はそれまで行った生前の相続対策が、全く意味のないものになってしまうからです。
遺言を活用した遺産分割対策
自らが築いてきた大切な財産を、最も有効に活用してもらうための明確な意思表示が「遺言」です。
遺言は、遺産を適切な人に適切な割合で分配し、遺された相続人が、争いなくスムーズに、そして何よりストレスなく相続手続きができる状態を作るための手段です。
遺言を作成しておくことで、あたかも生前に自分の財産を自由に処分できるように、死亡後の遺産についても自分の意思で自由に処分することができます。
遺言のないときには、民法の定める法定相続分に従って遺産の分配が行われるのが原則です。
とはいっても家族関係は様々ですので, 法定相続をそのまま家族関係に当てはめると、相続人間の公平が図られないという場合も生じます。
例えば、法定相続では、子は相続分が等しくなっています。
しかし、多額の学費を援助してもらった子もいれば、生前特に何もしてあげていない子もいます。
また遺言者と一緒に家業を担ってきた子もいれば、あまり家に寄りつきもしない子もいます。
事情は様々ですので、遺産の分配にそれなりの差を設けてあげないと、かえって不公平になり、争いが生じかねません。
また、子がいない夫婦では、兄弟姉妹に残すよりは、妻に遺産を全て残したいと思われるのではないでしょうか。
遺産を適切な人に適切な割合で分配するために
争いなくスムーズに、そして余計なストレスの負担なく相続手続きができるために
遺言書を作っておくことは、後に残された者にとってとても助かることであり、必要なことなのです。