同居中したまま離婚できる?同居中の離婚の進め方

はじめに

「別居しないと離婚は難しい?」
「離婚したいけれど、別居をはじめる資金がない」

離婚を考える方のご事情は人それぞれであり、仕事やお子さんの学校のこと、経済的事情などで、簡単には別居できない方もいらっしゃいます。
このページでは、現在夫・妻と同居中であり離婚を検討している方に向けて、同居中に離婚を進める方法や注意点について、弁護士の視点から詳しく解説します。

目次

同居中でも離婚は可能?別居中の場合と違いはある?

✓ 同居中でも離婚することは可能です

✓ 相手が離婚に応じない場合には、最終的には離婚裁判になり、離婚の難易度が上がります

✓ 裁判で離婚するためには、民法が定める「法定離婚事由」が必要です

✓ 別居期間が長い方が裁判で離婚が認められやすくなります

✓ 同居中でも離婚することは可能です
別居することは離婚の必須の条件ではありませんから、同居中でも離婚は可能です。

✓ 相手が離婚に応じない場合には、離婚の難易度が上がります
しかし、相手が離婚を拒否している場合には、同居中の離婚は別居中の場合に比べて難易度が上がります。
離婚手続きは、協議離婚、調停離婚、裁判離婚と進んでいきますが、協議離婚と調停離婚は夫婦の合意による離婚です。最後まで相手が離婚に応じない場合には、裁判で離婚することになり、手続きが難しくなります。

✓ 裁判で離婚するためには、民法が定める「法定離婚事由」が必要です
他方で、裁判離婚は裁判官が離婚の可否を決める手続きであり、離婚の可否を判断するにあたっては、「法定離婚事由」があると認められる必要があり、「離婚原因は何か」「夫婦関係は破綻しているか」が問題になります。

✓ 別居期間が長い方が裁判で離婚が認められやすくなります
「法定離婚事由」の典型的な例が不倫やDVです。相手が不倫やDVをしている場合には、証拠があれば裁判で離婚が認められやすいのですが、そのような典型的な離婚原因がない場合でも、別居期間が長い場合には離婚が認められやすくなります。
したがって、「別居していること」「別居期間が長いこと」は、離婚するために有利な事情になります。

状況別アドバイス① 別居を検討している方

別居が可能な状況であれば、別居を始めるための準備を進めましょう。

1 別居するメリット

✓ ストレスからの解放
✓ 別居期間が長くなれば、裁判で離婚が認められやすくなる(目安は3年)
✓ 相手を気にせず離婚手続きを進められる

2 別居する場合の注意点

✓ 自分が離婚したい理由が整理し、必要な証拠は同居中に確保しましょう
特に離婚したい理由が相手の浮気、DV、モラハラの場合には証拠が重要になります。これらの証拠は、別居後よりも同居中の方が収集しやすいので、できれば別居開始前に証拠を押さえましょう。
そのためには、まずは「なぜ離婚したいのか」という離婚原因を思い起こし、ご自身の中で整理することが大切です。

✓ 財産資料も確保しましょう
離婚時には、夫婦が婚姻中に築いた財産を分ける「財産分与」の請求ができます。この財産分与の前提となる「夫婦の財産」にはどのようなものがあり、価格にしていくらかを同居中に把握しておきましょう。
財産分与の対象となる財産は、預貯金、不動産、自家用車、株式、解約返戻金がある生命保険など様々です。できれば、これらの財産をリストアップして金額も確認しておきましょう。

✓ 別居後の生活設計・生活費の確認をしましょう
別居後は実家に戻るのか、賃貸など住居を確保できるか、家賃や生活費はどのくらいかかるか、お子さんは転校するのか、習い事を継続できそうか等、別居後の生活をシミュレートしておきましょう。
また、婚姻費用の請求はできそうか、金額はどのくらいかも確認して生活の収支を考えましょう。

算定表はこちら

3 状況別アドバイス② 当面別居をしない方

1 相手に離婚意思があるケース

相手に離婚意思がある場合には、離婚協議や離婚調停で「離婚条件」についての話し合いをして、合意がまとまれば離婚が成立します。
相手に離婚意思がある場合、大半のケースで合意による離婚が成立するので、無理に別居を先行させる必要なありません。

離婚時に決める「離婚条件」には、次のものがあります。

お金のこと:慰謝料、財産分与、年金分割
子どものこと:親権、養育費、面会交流
その他:離婚後の住居や引っ越しの時期

2 相手に離婚意思がないケース

相手が離婚に応じない場合、離婚協議や離婚調停では離婚できない可能性が高くなるため、最終的には離婚裁判を視野に入れて準備を進める必要があります。

裁判で離婚が認められるためには、次のいずれかが必要です。

・ 典型的な離婚原因(DVや不倫など)
・ 婚姻関係が回復困難な程度に破綻していること

居期期間がおおむね3年以上の場合には、「婚姻関係が回復困難な程度に破綻している」と認められやすくなります。
しかし、別居していない場合であっても、別居と同視できる程度に「婚姻関係が破綻」していると認められる可能性はあります。
まずは、離婚を申し出たこと、離婚についての夫婦の話し合いを証拠化しておきましょう。離婚調停の申立ても、離婚を求める明確な意思表示になります。
相手に離婚意思がなく、同居を継続したまま離婚するには、専門家によるアドバイスが有効ですから、是非一度ご相談ください。

3 親権を取得したい方

未成年のお子さんがいるご夫婦の離婚では、離婚後のお子さんの親権をどうするかが争点化することが多くあります。今後共同親権が導入されると、共同親権にするか単独親権にするか、共同親権にした場合、どちらがお子さんと同居するかなどを巡って争いになることが見込まれます。
同居中に離婚の話し合いを進める場合でも、親権に関して意見が分かれて、争いが激しくなるケースが多くあります。
夫婦どちらにもDVや虐待などの問題がない場合には、どちらがこれまで主にお子さんの世話をしてきたのがポイントになります。

 

4 持ち家がある方

持ち家に同居中の方が離婚する場合、話し合い(離婚協議)のポイントは次のとおりです。

・ 夫婦のどちらかが住み続けるのか、売却するのか
・ 夫婦のどちらかが住み続ける場合、住宅ローンの名義変更・借り換えは可能か
・ お子さんの養育環境への影響(転校せずに済むか、習い事は継続できるか)

5 冷静な話し合いが難しい場合

相手が暴力的であったり、精神的に不安定である、モラハラ傾向がある場合には、冷静な話し合いができないばかりか、あなたに危害が及ぶおそれがあります。
家庭裁判所からの調停の通知が届いたら、激高して話し合いどころではなくなってしまったというケースもあります。
冷静な話し合いが難しいと感じる方や、身の危険を感じる方は、できるだけ早い時期に弁護士にご相談ください

同居中で生活費をもらえないときの対処法

経済的DVで生活費をもらえない、同居中に離婚を切り出したら生活費をもらえなくなったというお悩みも少なくありません。
実は、同居中でも婚姻費用の請求は可能です。
夫婦間の話し合いで解決しない場合には、弁護士を介して請求したり、家庭裁判所の調停・審判の手続きにより請求することができます。
実際に私が担当したケースでも、同居中に婚姻費用の請求が認められました。
生活費がもらえずお困りの方は一度ご相談ください。

離婚を検討中の方は弁護士に早めにご相談を

同居中の離婚は精神的にも大きな負担ですが、準備次第でスムーズに進めることができます。証拠の収集、今後の生活設計など、できることは同居中から始めておくべきです。
当事務所では、年間150件以上の離婚相談を承っており、同居中の離婚支援にも豊富な実績があります。
未来への一歩を踏み出すために、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事を担当した弁護士


 

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩み方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

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