女性のための法律相談

はじめに ~離婚について悩んでいらっしゃる女性の方へ

こんなお悩みはございませんか?
  • 不倫した夫と離婚したいが、子どもがいるので悩んでいます。
  • 離婚後、自分ひとりの収入で生活していけるでしょうか。
  • 離婚する場合には、弁護士はつけた方がいいのでしょうか。

はじめまして。
弁護士の細江智洋と申します。

私は、主に離婚・男女問題、相続問題に注力して活動する横浜の弁護士です。
このページでは、離婚について悩んでいる女性の方に向けて、離婚に関する基礎知識の解説をいたします。

特に女性の方が離婚を検討する場合、もっとも葛藤なさるのが、離婚後の経済状況への不安についてです。気持ちとしては離婚を望んでいても、離婚後の経済状況の悪化を懸念し、踏みとどまるという方が少なくありません。実情としても、女性は主として家事や育児を担うために働き方をセーブしたりキャリアを中断するという家庭が多く、どうしても離婚により生活水準が下がってしまう傾向にあります。
離婚後に後悔しないためにも、離婚の前後に受け取れる金銭や養育費についての基礎知識を得て、ご自身の収入や公的な助成金等と併せて生活費はどのくらい確保できそうか、現実的な見通しを立てる必要があります。
また、お子さんがいる場合には、親権や面会交流など離婚とお子さんに関する問題ついても理解しておかなければいけません。離婚によって、お子さんの生活がどのように変化するのかについてもイメージしておきましょう。

離婚という大きな決断を後悔しないためにも、事前に離婚後の生活についてしっかりとイメージづくりをし、「離婚すべきかどうか」をよく検討しましょう。そのために必要な基礎知識として、このページがお役に立てれば幸いです。

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目次

離婚手続きに関する基礎知識

離婚のための手続きは、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つに大きく分類されます。

(1)協議離婚

協議離婚とは、裁判所の手続きによらず、夫婦間の「協議(話し合い)」で離婚の合意をし、離婚届をお住まいの自治体に提出する方法です。離婚条件も双方の話し合いで決めるので、後から紛争の蒸し返しにならないよう、離婚協議書を作成しておくことをお勧めします。

 → 無料の離婚協議書書式例はこちら

弁護士をつけない場合には、協議離婚には費用がほとんどかかりません。夫婦間で話し合いができる場合には、経済的にも時間の面でも、最も負担の少ない離婚方法です。
もっとも、一度離婚協議書を作成して協議離婚してしまうと、その後条件を変更することは非常に困難ですから、離婚条件が妥当なものか不安な場合には、ぜひ弁護士の法律相談をご利用ください。

 → 協議離婚についての詳細はこちらをご覧ください

(2)調停離婚

調停離婚とは、家庭裁判所での調停(話し合い)によって離婚する手続きです。離婚調停は調停委員を介して離婚をするかどうか及び離婚条件についての双方の意見を調整し、合意を目指す手続きであり、双方が内容に合意した場合に調停が成立します。
調停期日(話し合い)は1~2か月に1度の頻度で行われ、期日間に双方が主張や資料を提出して準備を行います。
調停はあくまでも話し合いの手続きなので、夫婦の一方が離婚に応じなかったり、離婚条件で折り合いがつかず合意の見込みがない場合には、調停は不成立という形で終了します。また、調停を申し立てても相手が調停期日に出席せず、話し合いにまったく応じない場合にも不成立になって終了してしまいます。


(3)裁判離婚

離婚調停で話し合いがまとまらず離婚できない場合には、離婚を望む方が離婚訴訟(離婚裁判)を提起します。離婚訴訟中にも夫婦の合意によって離婚することができますが(和解離婚)、最後まで双方の意見が対立する場合には、裁判所の判決によって離婚の可否等の結論が示されます。
判決によって離婚が認められるためには、民法770条1項に定められた「法定離婚事由」があるという認定が必要です。法定離婚事由の典型的な例が配偶者の不貞やDVですが、これら以外にも「婚姻を継続しがたい重大な事由」があると認定されれば離婚が認められます。「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるかどうかは、夫婦の別居期間の長さ等個別の事情を考慮して判断されるので、不貞などの典型的な離婚事由がないときに判決で離婚が認められるかどうかは専門的な判断を要します。
離婚裁判にかかる平均的な期間は、1年半といわれています。

 → 典型的な離婚理由がないけれど離婚したい方はこちらをご覧ください
 → 裁判離婚についての詳細はこちらをご覧ください

離婚とお金の問題について

離婚にまつわるお金の問題は、離婚後の生活を維持するために非常に重要なポイントです。離婚の前後で受け取れる可能性がある金銭には、主に以下のものがあります。

(1)婚姻費用

婚姻費用とは、主に別居中の夫婦の収入が少ない一方が、離婚に至るまでの間、収入が多い他方に対して請求する生活費等の費用のことです。婚姻中の夫婦は相互に扶助義務を負っており(民法752条)、別居中であっても離婚するまでは婚姻費用を支払う義務を負います。
婚姻費用の額は夫婦間の協議で決めることができますが、協議が整わない場合には、家庭裁判所の調停や審判を申し立てることができます。婚姻費用の算定にあたっては、双方の年収や子どもの年齢、人数等の事情が考慮されます。
なお、養育費が子どものための費用であることに対して、婚姻費用は婚姻生活に必要な費用であり配偶者の生活費が含まれるで、同じ条件であれば婚姻費用の方が金額は高くなります。

 → 裁判所の算定表はこちら(「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」)
 → 婚姻費用についての詳細はこちらをご覧ください

(2)財産分与

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が築いた財産を、離婚時に分ける制度です。財産分与の対象になるのは、預貯金、株式、車や生命保険などです。持ち家もこの財産分与の対象となります。婚姻中に築いた財産であれば、名義がどちらになっていても対象になります。
財産分与の割合は、原則として2分の1ずつです。夫婦の一方がスポーツ選手など特別な技能や過酷な労働によって財産を築いた場合など、特殊な事情があれば、2分の1の割合が修正されることもあります。
財産分与は、離婚の時から2年以内に請求しなければいけません。

 → 財産分与についての詳細はこちらをご覧ください

※ チェックポイント~財産分与の金額と婚姻期間の関係

財産分与の金額は、婚姻期間が長けほど高額になる傾向があります。

上の円グラフは、令和5年度の司法統計をもとに作成したもので、離婚調停(調停に代わる審判を含む)により離婚が成立した事件で財産分与の取り決めがあった事案の財産分与の額と婚姻期間の関係をまとめたものです。

婚姻期間が20年を超える事案では、財産分与の額が1000万円を超えるケースが23%(1000万円超と2000万円超の合計)、
婚姻期間が25年を超える事案においては、財産分与の額が1000万円を超えるケースが31%(1000万円超と2000万円超の合計)となっています。

このように、婚姻期間が20年未満の場合と比較すると、婚姻期間が20年以上の離婚事案においては、財産分与の額が高額になる傾向があることがわかります。
財産分与は預貯金の他に不動産や株式、生命保険など多岐にわたり、財産をリスト化して金額を算定すること自体が難しい場合も多くあります。婚姻期間が長いご夫婦が離婚を検討する場合には、ぜひ一度、弁護士の無料相談をご利用ください。

(3)離婚慰謝料

不倫など、配偶者の有責な行為が原因で離婚に至った場合には、相手に離婚慰謝料を請求することができます。慰謝料の額は婚姻期間の長さや有責性の程度、お子さんの有無などの事情により異なりますが、150万円から300万円のケースが多い印象です。また、配偶者の不倫相手に対しても、不倫を原因とした慰謝料請求をすることができます。不倫相手に対してする慰謝料請求の金額は、離婚に至ったケースでは200万円前後が多い印象です。
配偶者に対する請求と不倫相手に対する請求では、認められる金額に差が出ることがありますが、両方から二重に金銭を受け取れるわけではありません

 → 配偶者の不倫により離婚を検討している方はこちらもご覧ください
 → 不倫慰謝料請求を検討されている方はこちらもご覧ください

(4)年金分割

年金分割とは、離婚時に、一方の配偶者の厚生年金保険の納付記録の一部を分割して、他方の配偶者の年金記録に加算するというものです。
冒頭でお話したように、女性は家事や育児のために働き方をセーブしたりキャリアを中断する方が多く、男性が主として生計を維持するために働く傾向にあるので、夫婦で年金の納付額に差ができてしまいます。この納付額の差を離婚時に修正するのが年金分割の制度です。
年金分割の割合はほとんどの事例で2分の1ずつであり、争いになることはあまりありません。離婚時に配偶者が年金分割に応じない場合には、家庭裁判所の調停や審判の手続きで年金分割できます。
年金分割は、離婚時から2年以内に請求しなければいけません。

 → 年金分割の詳細はこちらをご覧ください

離婚と子どもの問題について

未成年のお子さんがいる夫婦の離婚に際しては、主として親権養育費面会交流が問題になります。離婚に関する紛争においては、子どもを巡って親権や面会交流の条件などで双方の主張が対立すると、紛争が激化しやすい傾向にあります。

(1) 親権

親権とは、未成年の子どもが一人前の社会人になれるように監護養育し、その財産を管理する権利及び義務のことをいいます。
両親の婚姻中は父母が共同して親権を行使しますが(共同親権)、離婚する場合には父母の一方を親権者に決めなければならないので(単独親権)、親権を巡って夫婦の意見が対立した場合、紛争が激化しやすい傾向にあります。
協議しても親権について折り合いがつかなければ離婚調停を申し立てることになり、調停でも合意に至らなければ通常は離婚訴訟を提起することになります。裁判で親権者を決める場合には、それまでの主たる監護者は誰か(主に子どもの日常的な世話をしていたのは誰か)、監護者としての適格性子の意思(ただしおおむね10歳以上の場合)等、様々な事情を考慮します。なかでも、それまでの主たる監護者がだれかという問題は、親権者を決める際の重要なポイントです。

 → 親権についての詳細はこちらをご覧ください

(2)養育費

養育費とは、子どもが自立するまでに必要な衣食住、教育費、医療費等の費用であり、子どもを引き取って監護している親が他方の親に対して請求します。
養育費の額は、父母が協議して決めることができますが、協議が整わない場合には裁判所に調停や審判を申し立てます。裁判所で養育費を算定する場合には、父母の収入や子の年齢、人数に応じて養育費の額を決めるための算定表が使われています。

 → 裁判所の算定表はこちら(「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」)

 → 養育費についての詳細はこちらをご覧ください

※ チェックポイント~養育費と私学加算について

算定表で算出される養育費には、私学の費用や塾代、大学の学費等は含まれていません。算定表による養育費の額に、私学等の費用を加算するかどうかは、①養育費を支払う側が私学や塾に通うことを承諾したかどうか、②承諾していなかった場合には、支払う側の社会的地位や学歴、収入等から、私学や塾に通うことが不合理ではないかを基準に判断されます。

(3)面会交流

別居または離婚によって離れて暮らすようになった親と子どもが、面会等の方法によって交流を持つことを面会交流といいます。面会交流は、親子の交流が子どもの健全な成長や福祉に適うという考えのもとに行われるものなので、子どもの福祉を中心に考えて実施されます。月に一回程度親子が直接会って交流する方法が典型的ですが、親子の個別の事情によって、手紙など柔軟な方法が採られています。
面会交流の方法や条件は夫婦間の協議で決めることができますが、協議が整わない場合には家庭裁判所に調停や審判を申し立てます。

 → 面会交流についての詳細はこちらをご覧ください

弁護士に相談した方がよいケースとは

離婚に際しては、夫婦の財産の清算やお子さんの養育に関する取り決めなど、解決しなければいけない問題が多くあります。そのため、ご自身で離婚について調べることに難しさを感じたり、離婚条件や手続きに不安を感じる方は、一度弁護士の無料相談等を活用し、専門家のアドバイスをきいてみることをお勧めします。

中でも、特に弁護士への相談をお勧めするケースには、以下のようなものがあります。

  • 配偶者の不倫など典型的な離婚事由はないけれども離婚したい方
  • 不倫などの典型的な離婚事由はあるけれども相手がそれを認めなかったり、離婚条件についてお折り合いがつかず、離婚協議が進まない方
  • 婚姻期間が長く(おおむね20年以上)、夫婦の財産が多岐にわたる方
  • 配偶者が近々退職金を受け取る予定があるか、すでに受け取った方
  • 離婚したけれど、どのように切り出したらよいかわからない方
  • 感情的な対立が大きく、冷静な話し合いが難しいと感じる方
  • 配偶者のDVやモラハラが原因で、直接やり取りをしたくない方

弁護士細江智洋からのメッセージ

ここまでお読みいただきありがとうございます。

結婚生活について思い悩まれ、辛い思いをされていることとお察しします。そのうえ、離婚した場合の生活を想定して、多岐に及ぶ離婚条件について検討したうえで、配偶者と離婚の話し合いをしなければならないということは、大変なご負担になっているでしょう。

弁護士細江智洋は、そういった離婚問題でお悩みの方にむけて、30分間の無料法律相談を設けています。無料法律相談をその後のご依頼とは切り離して考え、ご相談者様に「話してみてよかった」「ひとまずほっとした」と感じていける法律相談を心掛けています。
法律の専門家としての知識や経験が、少しでもお役に立てれば幸いです。
ぜひ一度、ご連絡ください。

離婚に関する知識

慰謝料について

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