医師との離婚と財産分与|開業医・勤務医の注意点

監修:弁護士 細江智洋

はじめに

医師との離婚では、収入や資産の規模が大きく、名義が分散しやすいため、一般的な離婚より財産分与が複雑になりやすいとされています。

・収入が高い
・預貯金や不動産の名義が分かれている
・開業医の場合には医療法人や事業用の資産が関係することもある

このような事情が重なるためです。

その結果、
「何が財産分与の対象になるのか分からない」
「話し合いがなかなか進まない」
と感じてしまう方も少なくありません。

ここでは、
医師の妻が離婚を考える際に知っておきたい
財産分与の基本と、
医師ならではの注意点
横浜の離婚弁護士ができるだけ分かりやすく整理していきます。

目次

01 医師の離婚で、財産分与が複雑になりやすい理由

医師の家庭では、財産分与を考えるうえで次のような特徴が見られます。

• 一般的に収入が高く、資産額も大きくなりやすい
• 預貯金や不動産の名義が、夫単独になっていることが多い
• 開業医の場合、医療法人や事業用資産が関係する
• 将来の退職金や、今後も高い収入が見込まれる

これらが重なることで、
「どこまでが夫個人の財産なのか」
「妻として、どこまで請求できるのか」
が分かりにくくなり、話し合いの争点になりやすくなります。

02 勤務医と開業医で、財産分与はどう違う?

勤務医の場合

勤務医のケースでは、財産分与の考え方は比較的シンプルです。

対象になるのは、主に次のような財産です。

• 婚姻期間中に形成された預貯金
• 住宅やマンションなどの不動産
• 自動車や有価証券
• 婚姻期間に対応する退職金(将来支給される見込み分を含む)

名義が夫になっている場合でも、
婚姻中に夫婦が協力して築いた財産であれば、
原則として財産分与の対象になります。

専業主婦であった場合でも、
家事や育児による支えはきちんと評価されます。

開業医・医療法人がある場合

開業医の場合、財産分与は一気に難しくなります。

争点になりやすいのは、次の点です。

• 医療法人の出資持分があるか
• 法人名義の不動産・医療機器
• 役員報酬や内部留保
• 法人と個人の財産の切り分け

医療法人そのものは、
原則として財産分与の対象にはなりません。
しかし、
出資持分の価値や
法人から得ている経済的利益が、
実質的な財産として問題になることがあります。

この判断には専門的な検討が必要で、
当事者同士の話し合いだけで整理するのは難しいのが実情です。

【元裁判所書記官からのひとこと】

医師の妻の方の中には、
弁護士をつけずに離婚調停を申し立てる方もいらっしゃいます。

ただ、特に開業医の場合は、
収入や財産関係を整理するだけでも、
思っている以上に手間がかかることが少なくありません。

勤務医であっても、収入の形が一様でないケースは多く、
調整が簡単とは言えない場面を見てきました。

すぐに依頼するかどうかは別として、
一度専門家に状況を整理してもらうだけで、
見通しが立つこともあります。

03 名義がすべて夫の場合でも、財産分与の対象になりますか?

名義が夫であっても、婚姻中に夫婦が協力して形成した財産であれば、原則として財産分与の対象になります。

医師の家庭では、
預貯金・不動産・保険などの名義が
すべて夫になっているケースも珍しくありません。

ただし、
名義が夫であること=すべて夫だけの財産
というわけではありません。

財産分与では、
「婚姻中に夫婦が協力して形成した財産かどうか」
が重視されます。

妻が専業主婦の場合でも、
家庭を支えてきたこと自体が寄与として評価され、
財産分与の割合に反映されます。

04 医師の将来の退職金や収入は、財産分与の対象になりますか?

医師の退職金については、婚姻期間に対応する部分が財産分与の対象になることがありますが、
将来の給与や診療報酬そのものは原則として対象になりません。

医師の場合、
将来の退職金や今後の収入について
不安を感じる方も多いでしょう。

• 退職金については、
婚姻期間に対応する部分が
財産分与の対象になることがあります。
• 一方で、
将来の給与や診療報酬そのものを
直接分けることは、原則としてできません。

ただし、
将来の収入見込みが、
慰謝料や財産分与の割合を話し合う際の
材料として考慮される場面はあります。

05 医師の夫との離婚で、財産分与が揉めやすいポイント

医師の離婚では、次のような問題が起こりがちです。

• 財産の内容を十分に開示してもらえない
• 法人名義を理由に、対象外だと言われてしまう
• 専門用語が多く、話し合いがかみ合わない
• 感情的な対立が先に立ってしまう

特に開業医の場合、
財産の全体像を把握するだけでも
時間がかかることがあります。

06 医師の夫との離婚で、弁護士に相談する意味

医師の妻が財産分与を進める際には、
早い段階で専門家に相談することが大切です。

弁護士に相談することで、

• 財産分与の対象になる範囲を整理できる
• 開示を求めるべき資料が明確になる
• 交渉や調停、訴訟になった場合の見通しが立つ

といった点が整理されます。

「何が分けられるのか」を知るだけでも、
今後の判断がしやすくなります。

07 関連するお悩み

医師の妻の離婚では、
財産分与以外にも次のような問題が関係することがあります。

• 医師の夫の不倫で悩んでいる方(クリック)
子どもの親権や教育費が心配な方(クリック)
医師の夫とすぐに離婚すべきか迷っている方(クリック)

それぞれの状況に応じた情報も、
併せて確認してみてください。

08 まとめ

医師の夫との離婚における財産分与は、
一般的な離婚よりも検討すべき点が多くあります。

名義や表面的な収入だけで判断せず、
全体像を整理したうえで進めることが重要です。

離婚を決断する前の段階でも、
状況を整理するための相談は可能です。

一人で抱え込まず、専門家の意見を参考にしながら、
進め方を考えていきましょう。

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この記事を担当した弁護士

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
横浜で離婚問題に携わり12年以上、離婚問題を280件以上解決した実績あり。
あなたの気持ちに寄り添いながら、より良い未来のために、離婚手続きや養育費、慰謝料を親身にサポート。お気軽にお問合せください。

この記事の編集・SEO担当者

阿部絵美(元裁判所書記官)
横浜家庭裁判所で3年間、離婚調停などを担当。現場の知見を生かし、弁護士細江智洋の法律解説に元書記官としての視点をプラスして編集しています。
※ 法律解説は弁護士監修です。

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