離婚条件が合わない方へ|弁護士が解説

監修:弁護士 細江智洋

この記事のまとめ

  • 離婚に合意していても、条件(親権・養育費・財産分与・慰謝料など)で揉めるケースは多い
  • 裁判所には判断基準があり、大きく外れた希望は認められにくい
  • 協議でまとまらなければ、調停・裁判へ進むことに
  • 相手が離婚を強く望む場合には、交渉を有利に進められることもある
  • 弁護士に相談することで、裁判所の基準を踏まえた交渉戦略を立てられる

はじめに

「離婚すること自体には合意しているけれど、条件が折り合わず離婚が進まない」

実は、こうしたご相談はとても多くあります。
離婚にあたっては、親権・養育費・面会交流・財産分与・慰謝料・年金分割など、決めなければならないことが多岐にわたります。
条件で揉めると話し合いは長期化し、精神的にも経済的にも大きな負担になります。

ここでは、離婚条件が合わず進めないときに押さえるべきポイントと、解決に向けた考え方を解説します。

目次

典型的な「離婚条件」と裁判所の考え方

親権・監護権
• 子どもの利益を最優先に判断
• 主に世話をしてきた親、子どもの意思(10歳前後から考慮)、兄弟姉妹を分けないことなどが重視されます
• 令和6年の法改正により、共同親権が導入されます(令和8年5月24日までに施行)

面会交流
• 子どもと同居しない親との交流方法を具体的に決めます(例:月1回・宿泊あり)
• 合意できなければ調停・裁判、審判で決めます

養育費
• 子どもの衣食住や教育費、医療費を含みます
• 金額は裁判所の「算定表」が参考になります
• 事情が変われば増額・減額の申立ても可能です

財産分与
• 婚姻中に築いた財産を離婚時に分け合います
• 現在の実務では2分の1ずつに分けることが多いです
• 名義は関係なく、実質的に形成された財産が対象
• 請求は離婚から2年以内に行う必要あり(改正法施行後は5年以内)

慰謝料
• 不倫・DVなど、相手に有責性があるときに請求します
• 相場は150万〜300万円程度

年金分割
• 婚姻期間中の年金納付記録を夫婦で分ける制度です
• 通常は原則50%ずつ、請求は離婚から2年以内です

▶ 詳しくは、こちらをご覧ください。↓↓

【関連記事】[離婚と子どもの問題]
【関連記事】「離婚とお金の問題」

自分の希望条件にどこまでこだわるべきか?弁護士の考え方

① 譲れない条件を整理する
まずは、自分にとって優先度の高い離婚条件は何かを整理します。

② 裁判所の基準と比較する
養育費・財産分与などは基準が決まっているため、大幅に外れた希望は認められにくいのが実務です。親権者や面会交流についても、裁判所では、おおよその考え方が決まっています。

③ 裁判でも離婚が認められるかを考える
協議や調停で離婚条件に譲歩しない場合、離婚裁判を検討します。そのため、裁判で離婚できる見込みがあるかは重要です。
相手に不倫やDVがあれば離婚は認められやすく、性格不一致の場合は別居期間が重視されます。

④ 「離婚を望んでいる」のはどちらかを見極める
相手が強く離婚を希望している場合、交渉を有利に進められることがあります。
特に相手が「有責配偶者」で離婚を急ぐ場合は、慰謝料などで有利な条件を引き出せる可能性があります。

【元裁判所書記官からのひとこと】

自分の希望する条件が、裁判所から見て妥当なものなのか相手の譲歩を引き出せるものなのかを把握せずに、やみくもに主張だけを繰り返すと、紛争を長引かせて、かえって辛い思いをしてしまいます。反対に、なすべき主張をせずに離婚してしまって、後悔するというリスクもあります。
まずは、ご自身の離婚条件について、専門家のアドバイスを受けておくと安心です。

条件が折り合わないときの解決方法

協議
夫婦の話し合い。書面に残さないと後々トラブルになるため注意が必要です。

調停
家庭裁判所で調停委員を介して話し合う。直接顔を合わせず話し合うので、冷静に進めやすいのがメリットです。時間がかかるのがデメリットです。

裁判
最終手段。裁判所の基準に沿って判断を示されるため‘判決)、主張と証拠の整理が重要です。

 詳しくは、こちらをご覧ください。↓↓

【関連記事】[離婚協議書テンプレート(無料ダウンロード)]
【関連記事[離婚準備と離婚手続き

よくある失敗例

口約束で済ませて、後からトラブルになる
感情を優先させてしまい、調停が長期化する
裁判を視野に入れた計画がなく、不利になってしまう
• するべき主張をせず、不利な条件で離婚してしまう

▶ 離婚は、「どうしたいか」という感情の問題だけではく、「どうすべきか」「何ができるか」という客観的な視点も大切です。

弁護士に相談するメリット

• 譲れる条件と譲れない条件を整理できる
• 裁判所の基準を踏まえた現実的な交渉ができる
• 財産調査や証拠収集のサポートを受けられる
• 相手との交渉や調停を代理してもらえる

弁護士細江智洋からのメッセージ

「離婚には合意しているのに条件が合わない」
この状況で立ち止まってしまう方は少なくありません。


離婚条件は、子どもの将来や生活の安定に直結する大切なものです。妥協しすぎても後悔が残りますし、固執しすぎても長期化して不利になることがあります。
私が現場で感じるのは、早い段階で専門家に相談し、裁判所の基準を踏まえて整理できた方ほど、紛争の長期化を避けて、着実に手続きを進められるということです。。

まずは初回30分の無料相談で、お話を聞かせてください。

この記事を担当した弁護士

この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
横浜で離婚問題に携わり12年以上、離婚問題を280件以上解決した実績あり。
あなたの気持ちに寄り添いながら、より良い未来のために、離婚手続きや養育費、慰謝料を親身にサポート。お気軽にお問合せください。

この記事の編集・SEO担当者

阿部絵美(元裁判所書記官)
横浜家庭裁判所で3年間、離婚調停などを担当。現場の知見を生かし、弁護士細江智洋の法律解説に元書記官としての視点をプラスして編集しています。
※ 法律解説は弁護士監修です。

あわせて読みたい関連記事

TEL:050-7587-0469 ご質問・ご予約はこちらTEL:050-7587-0469 ご質問・ご予約はこちら