相手に弁護士がついた(手紙が届いた)方へ
監修:弁護士 細江智洋
この記事のまとめ
- 弁護士から届く手紙は「裁判の結果」ではなく、あくまで交渉の始まり
- 無視すると不利になる可能性があるため、放置は絶対にNG
- 手紙の多くは「受任通知」や「内容証明郵便」で、離婚協議・慰謝料請求・財産分与などの主張が書かれている
- すぐに相手の要求に応じる必要はなく、条件はこれからの交渉で決まる
- 相手の弁護士は「相手の利益のため」に動くため、こちらも専門家をつけて対等に対応することが重要
- 調停・裁判に発展する前に、弁護士に相談して戦略を立てることで有利に進められる
はじめに
突然、相手に弁護士がついて「受任通知」などの手紙が届くと、不安や動揺で頭が真っ白になる方が少なくありません。
「無視したらどうなるのか?」
「すぐにお金を払わないといけないのか?」
「相手の主張が全部認められてしまうのか?」
こうした疑問や不安を抱えるのは自然なことです。
しかし、弁護士からの手紙は「離婚判決」ではありません。むしろこれからが交渉のスタートラインです。
本記事では、手紙の意味や種類、今後の流れ、対応の注意点を横浜の離婚弁護士が整理して解説します。
目次
弁護士から届く手紙の正体とは?
相手に弁護士がついたときに届く手紙は、主に次のいずれかです。
受任通知:
相手が弁護士を代理人としたことを知らせる書面。「今後は本人に直接連絡しないでください」という趣旨であることが多いです。
内容証明郵便:
離婚条件や慰謝料請求など、法的に「いつどんな主張をしたか」を明確に記録するために送られます。
調停申立書の写し:
弁護士ではなく、家庭裁判所から届きます。調停を申し立てたことを知らせる文書です。相手に弁護士がいれば、「申立人代理人弁護士」という肩書で名前が記入されています。
▶ いずれも「相手が本気で動き出した」ことを意味しますが、届いたからといって即座に離婚が成立するわけではありません。
よくある誤解と注意点
1. 「放置しても大丈夫?」 → 放置してはいけません。
無視すると「話し合いの余地がない」と判断され、すぐに調停や裁判に進められるリスクがあります。
2. 「すぐにお金を払わないといけない?」 → そんなことはありません。
受任通知や調停申立書の写しが来た段階では、金額は「相手の主張」にすぎません。話し合いや審判、裁判を通じて、「適正な金額」が決まります。
3. 「相手の弁護士は中立?」 → 中立ではありません。
相手の弁護士は、あくまで相手の利益のために動きます。こちらに有利なことは教えてくれません。また、裁判所は「中立な立場」ですから、あなたに有利なアドバイスはできません。
離婚協議で何をする?
手紙が届いたあとは、まずは弁護士を通じた「協議(交渉)」が始まります。
話し合う内容には、
• 離婚するかどうか
• 財産分与・慰謝料・年金分割・婚姻費用
• 親権・養育費・面会交流(子どもがいる場合)
など、多岐にわたります。
特に次のような場合は入念な準備が必要です。
• 親権をめぐって対立している
• 金銭条件で折り合いがつかない
• 相手の不倫の証拠を持っている/自分の不倫を知られている
▶ 準備不足で相手のペースに流されると、不利な内容で「協議離婚合意書」にサインしてしまうリスクもあります。
ご自身の状況を整理して、相手の主張をよく理解しておく必要があります。
【関連記事】[離婚協議の詳しい解説]
離婚調停に進むとどうなる?
協議で合意できないとき、多くのケースで家庭裁判所での離婚調停を申し立てます。
✔ 調停では、「離婚するかどうか」「離婚する場合の条件」について、調停委員を介して話し合いを行います。
✔ あくまで「話し合い」の手続きなので、通常はあなたの合意なく離婚が成立することはありません。
✔ 調停委員は公平な立場にあり、あなたに有利なアドバイスはできません。
✔ 婚姻費用・面会交流・子の引渡しなど、複数の議題が並行するケースもあり、たくさんの資料を集めたり、書類作成が必要になることもあります。
✔ 調停は「話し合い」ですが、相手に弁護士がいれば、「裁判になった場合の見通し」を意識して動いています。
調停段階であっても、専門家のサポートがあれば戦い方が変わるのは間違いありません。
【関連記事】[離婚調停の詳しい解説]
裁判に進んだ場合は?
調停で解決できなければ、相手は離婚裁判を検討します。
• 裁判官が主張と証拠、法律の解釈・適用に基づいて結論を出します
• 裁判では「法律を知らなかったこと」は考慮されません
• 主張の立て方とそれを裏付ける証拠の有無によって結論が決まります
この段階では、弁護士をつけずに対応することは非常に難しいです。
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弁護士に依頼するメリット
✔ 相手の弁護士と対等に交渉できる
✔ 専門用語に対する誤解などの思わぬトラブルを回避できる
✔ 直接やり取りせずに済み、ストレスや手続きに使う時間を減らせる
✔ 協議から裁判までを見据えた戦略を立てて行動できる
弁護士からのメッセージ
相手に弁護士がついたということは、問題が「本格的な法的ステージ」に移ったということです。
これから、離婚協議、離婚調停、事案によっては離婚裁判まで進む可能性があります。
横浜で離婚弁護士として12年以上、これまでに280件以上の離婚問題を解決へ導いた実績のある弁護士が、あなたの不安に寄り添い、手続きをサポートします。
ご自身だけで抱え込まず、ぜひご相談ください。
初回30分無料の法律相談でお待ちしています。
この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
横浜で離婚問題に携わり12年以上、離婚問題を280件以上解決した実績あり。
あなたの気持ちに寄り添いながら、より良い未来のために、離婚手続きや養育費、慰謝料を親身にサポート。お気軽にお問合せください。
この記事の編集・SEO担当者
阿部絵美(元裁判所書記官)
横浜家庭裁判所で3年間、離婚調停などを担当。現場の知見を生かし、弁護士細江智洋の法律解説に元書記官としての視点をプラスして編集しています。
※ 法律解説は弁護士監修です。