熟年離婚と「住まい」の問題
監修:弁護士 細江智洋
自宅売却・住み続ける選択・住宅ローンをどう考えるか
熟年離婚を考えるとき、
多くの方が悩むのが 「離婚後、どこに住むのか」 という問題です。
婚姻期間が長いほど、
自宅には生活の歴史があり、
同時に、老後の生活基盤としての意味も大きくなります。
熟年離婚では、
• 自宅を売却するのか
• どちらかが住み続けるのか
• 住宅ローンが残っている場合、どう整理するのか
といった点を、
感情ではなく生活設計の視点で考える必要があります。
このページでは、
熟年離婚における「住まい」の問題を、
判断のための整理ポイントに絞って解説します。
目次
1 熟年離婚で「住まい」が重要になる理由
熟年離婚では、子どもはすでに独立しているケースが多く、
「子どもの学区」や「通学環境」を基準に住まいを決める必要はありません。
その一方で、
• 単身での生活が前提になる
• 収入や年金を踏まえた住居費の検討が必要
• 住まいが老後の安心に直結する
といった事情があります。
そのため、
自宅をどう扱うかは、離婚条件の中でも特に重要なテーマになります。
2 熟年離婚における住まいの主な選択肢
熟年離婚での住まいの選択肢は、
大きく分けると次の3つです。
① 自宅を売却する
② どちらかが住み続ける
まずは、
「どちらが正解か」ではなく、
それぞれの特徴を整理することが大切です。
3 自宅を売却する場合の考え方
自宅を売却する場合、
• 売却代金は財産分与として分ける
• 住宅ローンを完済できるか
• 新たな住まいの確保
といった点を考える必要があります。
自宅を売却することで、
• 財産を現金化できる
• 将来の管理負担がなくなる
というメリットがある一方、
住み慣れた家を離れる心理的な負担もあります。
老後の住居費や生活費を含めた見通しを立てたうえで判断することが重要です。
4 どちらかが住み続ける場合の注意点
熟年離婚では、
一方が自宅に住み続ける選択をするケースも少なくありません。
この場合、
• 自宅の名義
• 住宅ローンの名義・支払い
• 他方への代償金の有無
などが問題になります。
特に、
住宅ローンが残っている場合には、
• ローンを誰が負担するのか
• 名義と実態が一致しているか
といった点を慎重に整理する必要があります。
5 住宅ローンが残っている場合の注意点
熟年離婚では、
住宅ローンが完済していないケースも多く見られます。
住宅ローンがある場合、
• 自宅を売却して清算する
• 住み続ける側がローンを引き継ぐ
• 当面は名義や支払いを変更しない
など、いくつかの対応が考えられます。
ただし、
住宅ローンの扱いは金融機関の関与も必要になるため、
単純に夫婦間の合意だけで解決できないこともあります。
具体的な対応については、
専門的な確認が必要です。
【元裁判所書記官からのひとこと】
離婚調停では、
自宅を売却する前提で話し合いを進めるか方も多くいらっしゃいますが、
実際には、
売却しても住宅ローンが残るいわゆる「オーバーローン」の状態であることが、
調停の途中で明らかになるケースもあります。
調停委員から指摘を受けて初めて気づき、
その後の条件整理を見直すことになる方も少なくありません。
住まいをどうするかを考える際には、
売却できるかどうかだけでなく、
売却した場合にローンがどの程度残るのかを、
事前に確認しておくことが重要です。
6 住まいの判断は「今」だけで決めない
熟年離婚では、
• 今の収入
• 将来の年金
• 健康状態
• 生活スタイルの変化
などを踏まえて、
長期的な視点で住まいを考えることが重要です。
「今は大丈夫そう」
「とりあえず住み続けたい」
という判断が、
数年後に負担になることもあります。
7 「お金の整理」と「住まい」は切り離せません
住まいの問題は、
財産分与・退職金・年金分割と密接に関係します。
• 自宅を売却するか
• どちらが取得するか
• その結果、生活費は足りるか
といった点は、
全体のバランスを見ながら判断する必要があります。
▶︎ 関連記事
【熟年離婚と財産分与・退職金・年金分割】
8 まとめ
熟年離婚における住まいの問題は、
単なる不動産の話ではありません。
離婚後の生活、
老後の安心、
将来の見通しに直結する重要なテーマです。
「どれが正しいか」ではなく、
自分の生活に合った選択肢はどれかを考えておくことが大切です。
あわせて読みたい関連記事
この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
横浜で離婚問題に携わり12年以上、離婚問題を280件以上解決した実績あり。
あなたの気持ちに寄り添いながら、より良い未来のために、離婚手続きや養育費、慰謝料を親身にサポート。お気軽にお問合せください。
この記事の編集・SEO担当者
阿部絵美(元裁判所書記官)
横浜家庭裁判所で3年間、離婚調停などを担当。
裁判所での実務を通じて、
「法律や裁判制度はわかりにくい」という声に多く触れてきました。
本サイトでは、その経験をもとに、
読む方に伝わりやすい記事の編集を意識しています。
※法律解説は弁護士監修です。















