熟年離婚と財産分与・退職金・年金分割

50代・60代から考えるお金の整理と老後の見通し

熟年離婚を考えるとき、
多くの方が最初に不安に感じるのが お金の問題 です。

若い頃の離婚と違い、熟年離婚では、

• 婚姻期間が長い
• 形成された財産の額が大きい
• 収入を得る難易度が上がる

という特徴があります。

そのため、
感情だけで判断するのではなく、
財産分与・退職金・年金分割を含めた「老後の見通し」を整理することがとても重要になります。

このページでは、
熟年離婚において特に問題になりやすいお金のポイントを、
全体像が分かる形でご説明します。

目次

1 熟年離婚では「お金の整理」がより重要になる理由

熟年離婚では、子どもはすでに自立しているケースが多く、
親権や養育費が問題になることは少ない傾向にあります。

その一方で、

• 相手が離婚に応じない場合の進め方
• 離婚後の条件や生活をどのように整えるか

併せて整理していくことが、重要なテーマになります。

特に、お金の整理が不十分なまま進めてしまうと、
離婚後の生活設計が立たず、後悔につながることもあります。

2 熟年離婚で押さえておきたい3つのお金の柱

① 財産分与
② 退職金
③ 年金分割

退職金は、
将来支給される見込みがある場合に、
財産分与の対象となるかどうかが問題になります。

一方、年金分割は財産分与とは別の制度ですが、
熟年離婚では、いずれも離婚後の生活を左右する重要な要素です。

そのため、これらを切り分けて考えるのではなく、
全体の見通しを踏まえて整理していくことが大切です。

【元裁判所書記官からのひとこと】

調停の場では、
不動産の資料や売却見込み価格、預貯金、保険、株式など、
夫婦の財産をできるだけ把握したうえで話し合いが進められます。

もっとも、婚姻期間が長いほど、
資料の数も多くなり、
財産を一つひとつ整理していく作業が大きな負担になることも少なくありません。

早い段階で全体像を整理しておくことが、
話し合いをスムーズに進めることにつながります。

▶︎ ポイント

熟年離婚では、婚姻期間が長い分、
夫婦で形成してきた財産の額が大きくなりやすく、
若い世代の離婚に比べて、
財産分与の金額が高額になる傾向があります。

ただし、実際の金額は、
財産の内容や分け方によって大きく異なるため、
一概に判断できるものではありません。

3 財産分与|夫名義でも財産分与の対象になりうる

財産分与とは、
婚姻期間中に夫婦が協力して形成・維持してきた財産を、
離婚時に清算する制度です。

熟年離婚では、次のような財産がよく問題になります。

• 預貯金
• 不動産(自宅・投資用物件)
• 生命保険(解約返戻金)
• 株式・投資信託
• 退職金

重要なのは、
名義が夫であっても、婚姻中に形成された財産は財産分与の対象になり得るという点です。

専業主婦や扶養内で働いていた場合でも、
家事や育児、家庭の維持への貢献は評価されます。

▶︎ 財産分与の制度や割合についての詳しい解説
【財産分与とは?対象・割合・請求期限を詳しく解説】

4 退職金|熟年離婚で見落とせないポイント

熟年離婚では、退職金が財産分与の中でも大きな割合を占めることがあります。

特に注意したいのは、

• すでに支給されている退職金
• 近い将来、支給が見込まれる退職金

です。

退職金は、

• 婚姻期間に対応する部分(ただし通常は別居時まで)
• 離婚時点での見込み額

を基準に、財産分与の対象になることがあります。

しかし、退職金は一度支給されると、
生活費などに使われてしまい、後から把握しにくくなることもあります。

熟年離婚では、退職金のタイミングを踏まえた検討が重要です。

5 年金分割|老後の生活に直結する制度

年金分割は、
婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を分ける制度です。

熟年離婚では、年金分割の有無が、
老後の生活の安定に大きく影響します。

よくある誤解として、
「夫の年金の半分をもらえる制度」と思われがちですが、
実際には 保険料納付記録を分ける制度 です。

また、年金分割には、

• 合意分割
• 3号分割

といった種類があり、
手続きには期限があります。

▶︎ 年金分割の制度・手続きの詳しい解説
【年金分割とは?手続き・必要書類・注意点】

6 お金の整理は「離婚前」から考えることが重要です

熟年離婚では、

• 相手が離婚に応じない
• 話し合いが長期化する
• 別居期間を経る必要がある

といったケースも少なくありません。

また、別居を開始した・離婚した後では、
財産の把握が困難になるおそれがあります。

そのため、
離婚が成立してから考えるのではなく、
離婚を検討し始めた段階で、お金の整理を進めることが重要です。

• 財産がどのくらいあるのか
• どこまでが財産分与の対象になるのか
• 離婚後の収入・年金の見通し

これらを把握しておくことで、
冷静に判断できるようになります。

7 弁護士に相談することで整理できること

熟年離婚では、
お金の整理が複雑になりやすく、
一人で判断するのが難しい場面が多くあります。

弁護士に相談することで、

• 財産分与・退職金・年金分割の全体整理
• 離婚までの進め方とタイミングの検討
• 離婚後の生活を見据えた条件整理

をまとめて確認することができます。

相談することは、
離婚を決断することではありません。

まずは、
自分の状況を整理するための相談として、
お気軽にご利用ください。

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この記事を担当した弁護士

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
横浜で離婚問題に携わり12年以上、離婚問題を280件以上解決した実績あり。
あなたの気持ちに寄り添いながら、より良い未来のために、離婚手続きや養育費、慰謝料を親身にサポート。お気軽にお問合せください。

この記事の編集・SEO担当者

阿部絵美(元裁判所書記官)
横浜家庭裁判所で3年間、離婚調停などの家事事件を担当。
裁判所での実務経験を踏まえ、弁護士細江智洋の法律解説に、
「調停の現場で実際に起きていること」が伝わる視点を加えて編集しています。

※法律解説は弁護士監修です。

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