長年連れ添った夫が不倫しているとわかったとき、その驚きは計り知れません。相手の裏切りに、「もうこの結婚生活は続けられない」と思ってしまうでしょう。しかし、感情のままに離婚を決めるのは賢明ではありません。特に熟年離婚は、財産・年金・今後の生活設計が深く関わるため、慎重な対応が必要です。
このコラムでは、夫の不倫が発覚したときになぜ離婚をすぐに決めるべきではないのか、その理由とともに、ベストな選択をするためのポイントを解説します。
感情的な判断が大きな痛手につながることも
夫の裏切りに対する悲しみや怒りから、すぐに離婚届を出してしまう方もいますが、十分な準備もしないまま離婚に踏み切ることは、あとで大きな問題になるかもしれません。特に熟年夫婦の場合、退職金や年金、持ち家といった資産の清算が発生します。これらの取り決めをせずに離婚してしまうと、「もらえたはずの財産がもらえなかった」「年金分割の手続きが漏れた」など、後悔する結果になることも少なくありません。
慰謝料請求には「証拠」が鍵
夫の不倫に対して慰謝料を請求するには、法的に有効な「証拠」が必要です。たとえば、ラブホテルへの出入り写真や、親密な内容のメッセージ、SNSやLINEのやりとりなどが該当します。しかし、感情に任せて問い詰めてしまうと、証拠を消されたり隠されたりしてしまう恐れもあります。
慰謝料を請求し、交渉を有利に進めるためにも、まずは証拠を確保し、その後で動くべきなのです。弁護士に相談し、どのような証拠を、どう集めるべきかを具体的にアドバイスしてもらいましょう。
熟年離婚は「新たな生き方の再設計」が必要
熟年離婚は、単なる夫婦関係の解消ではなく、自分の人生をどう自分らしく生きていくかという再出発でもあります。しかし、長年家庭に入り、夫中心の生活をしてきた方にとっては、離婚後に直面する「社会的孤立」は大きな問題です。
経済的に自立できていない方や地域との関わりが薄い方は、精神的にも不安定になりやすいでしょう。前向きに新しい生活を送るためには、趣味やボランティアなどの地域活動、就労などを通じて、新しい人間関係や精神的な自立を支える環境づくりが大切です。
家族や子どもとの関係を大切にするために
熟年離婚では、すでに子どもが成人している場合が多いとはいえ、親の離婚は子どもにも影響を与えます。財産分与がこじれて感情的に争えば、親子関係も悪化させるかもしれません。親子関係は将来的な介護や相続にもつながりますので、冷静に対応することが必要です。信頼できる第三者の介入により、家族への影響を最小限に抑えることができます。
法律的・経済的な「備え」が将来を左右する
熟年離婚において一番重要なのが、老後の生活資金と医療保障の確保です。特に年金分割については、「合意分割」や「3号分割」といった年金分割制度を適切に活用し、将来の年金を確保しましょう。
また、配偶者の健康保険に扶養されていた場合、離婚後は国民健康保険への切り替えが必要になり、保険料や医療費の支払いが増えることも見込まれます。
さらに、退職金や企業年金の分与対象や範囲を確認し、適切な財産分与を行うことが、今後の生活設計につながるポイントです。
これらは専門的な知識と判断が求められる分野であり、経験豊富な弁護士のサポートがあるかどうかで結果が大きく変わる可能性があります。
熟年離婚で後悔しないために、弁護士のサポートを
夫の裏切りに対する悲しみや怒りは、決して一人で抱えるべきものではありません。もし、離婚を選ぶのであれば、それは将来に向けた人生の再スタートであるべきです。
みなと綜合法律事務所では、熟年離婚に関する豊富な実績をもとに、女性の目線に立った丁寧なアドバイスをしています。
あなたのこれからの人生が、後悔のないものとなるよう、私たちが全力で支援いたします。
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この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩み方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。