同居中したまま離婚できる?同居中の離婚の進め方

監修:弁護士 細江智洋

この記事のまとめ

  • 同居中でも離婚は可能。ただし相手が拒否すれば裁判を検討
  • 別居は有利に働くことが多いが、家庭内別居でも証拠を残しておくことが重要
  • 離婚準備として、浮気・DV・モラハラなどの証拠や財産資料を同居中に確保しておく
  • 親権を望む場合、家事・育児の分担表や日常の記録が有力な証拠になる
  • 同居中でも生活費(婚姻費用)の請求は可能
  • 冷静な話し合いが難しい場合は、早めに弁護士に相談することが安全

はじめに

「別居しないと離婚は難しいのでは?」
「離婚したいけれど、別居する資金がない、環境が厳しい」

こうした悩みは珍しくありません。仕事や子どもの学校、経済的な事情から、すぐに別居できない方も多いものです。
この記事では、同居を続けながら離婚を検討している方に向けて、離婚の進め方注意点を、離婚に強い横浜の弁護士が解説します。

目次

同居中でも離婚は可能です

✔ 別居は離婚の必須条件ではありません。同居中でも離婚は可能です。
✔ ただし、相手が離婚に応じない場合は裁判へ進み、難易度が上がります。
 裁判で離婚を認められるには、民法が定める「法定離婚事由」が必要です。
✔ 不倫やDVといった典型的な離婚原因があるケースや、別居期間が長いケースほど裁判で離婚が認められやすくなります。

▶︎ 同居のままで離婚できるのか、ご自身の状況についてお知りになりたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

状況別アドバイス

1. 別居を検討している方へ

別居のメリット
• 相手から距離を置き、精神的に落ち着ける
• 裁判離婚では「別居期間」が有利に働く(目安3年以上)
• 相手の顔色を気にせず離婚準備ができる

注意点
• 浮気やDV、モラハラなどの証拠は同居中の方が集めやすい
• 財産分与に備え、通帳や不動産、保険などの資料を確保しておく
• 別居後の住まいや生活費、子どもの学校・習い事についてシミュレーションしておく

▶︎ 詳しくは【関連記事】「離婚にむけて別居を考えている方へ」の記事もご覧ください。

2. 当面は同居を続ける方へ

相手に離婚意思がある場合
• 協議や調停で離婚条件(慰謝料、財産分与、親権、養育費など)を話し合い、合意できれば成立します。

相手が離婚を拒否している場合
• 協議や調停では離婚が進まないため、最終的には裁判を視野に準備が必要です。
• 裁判では「婚姻関係の破綻」が認められるかがポイントになります。典型的なケースが不倫やDVです。
• 同居中でも、夫婦の会話や離婚の申し出を記録するなど、証拠を残しておきましょう。

【元裁判所書記官からのひとこと】

弁護士なしで、同居中に離婚調停を申し立てる方もいらっしゃいます。やはり心配なのが、調停で話し合った後も「同じ家に帰る」ということ。双方が感情的になってしまったり、感情に流されてしまったり

どんな方針で調停に臨んだら良いのか不安な方は、一度専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

家庭内別居という選択肢

同居を続けながら生活空間を分ける「家庭内別居」という方法もあります。

• 寝室を分ける
• 食事や家計を別にする
• 家の中でルールを決めて距離を置く

▶ 家庭内別居は、精神的な負担を軽減できる一方、裁判では「婚姻関係の破綻」としては完全な別居に比べて弱いところがあります。家庭内別居を選ぶ場合でも、生活の分離を記録し、証拠として残しておくことが大切です。家庭内別居というだけでは調停委員にも伝わりにくいので、客観的な資料を作っておきましょう。

親権を取得したい方へ〜家事育児の分担をめぐる注意点

親権や監護権で争いになると、「どちらが主に子どもの世話をしてきたか」が重要なポイントになります。
そのため、日常の家事や育児の分担を記録に残しておくことが重要です。

• 毎日の家事・育児スケジュール表
• 保育園や学校への送迎記録
• 食事・洗濯・掃除の分担表
• 第三者(祖父母・保育園の先生等)の証言メモ

〈家事分担表の例〉

日付 2025/9/25
朝の支度 配偶者
送り 配偶者
迎え
夕食準備
風呂・ 寝かしつけ
学校・園連絡
備考 連絡帳写真保存

【弁護士コメント】

特にお子さんが乳幼児のケースでは、どちらが保育園の日誌を書いているか予防接種のスケジュール管理健診の対応はという点を聞かれることもあります。些細に感じることでも、できるだけ記録にする、写しを保管するようにしましょう。

▶︎ 詳しくは【関連記事】[親権・監護権の詳しい解説]の記事もご覧ください。

持ち家がある方へ

• 離婚後に売却するか、どちらかが住み続けるかを決める必要があります。
• 住宅ローンの名義変更や借り換えが可能かも確認しておきましょう。
• 子どもの養育環境(転校や習い事の継続など)も考慮されます。

▶︎ 詳しくは【関連記事】[財産分与と持ち家・住宅ローンについて]の記事もご覧ください。

冷静な話し合いが難しい場合

暴力やモラハラがある場合は、直接の話し合いは危険です。

また、心身の危険までは感じない場合でも、感情的な状態で離婚を進めることは、後悔につながりかねません。
自分の状況を整理して、冷静に交渉するためにも、不安がある方は早めにご相談ください。

同居中に生活費をもらえない場合

「生活費を渡してもらえない」「離婚を切り出したら止められた」という方もいらっしゃいます。

同居中であっても、婚姻費用(生活費)の請求は可能です。弁護士を介した交渉、家庭裁判所の調停や審判で解決できる場合もあります。

▶︎ 詳しくは【関連記事】[婚姻費用の詳しい解説]の記事もご覧ください。

弁護士からのメッセージ

「離婚したいけれど、すぐに別居できる状況ではなくて悩んでいます」
とても苦しい状況かと思います。

同居したまま、離婚に進むにはどうしたらいい?裁判になる?生活費は?

「まだ離婚を迷っている」「どう準備していいかわからない」
──そんな状態でも大丈夫です。

離婚問題に熟知した専門家が、あなたの状況を整理して、未来に向けた一歩を踏み出すお手伝いをします。
まずは初回30分の無料法律相談をご利用ください。

この記事を担当した弁護士

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
横浜で離婚問題に携わり12年以上、離婚問題を280件以上解決した実績あり。
あなたの気持ちに寄り添いながら、より良い未来のために、離婚手続きや養育費、慰謝料を親身にサポート。お気軽にお問合せください。

この記事の編集・SEO担当者

阿部絵美(元裁判所書記官)
横浜家庭裁判所で3年間、離婚調停などを担当。現場の知見を生かし、弁護士細江智洋の法律解説に元書記官としての視点をプラスして編集しています。
※ 法律解説は弁護士監修です。

あわせて読みたい関連記事

TEL:050-7587-0469 ご質問・ご予約はこちらTEL:050-7587-0469 ご質問・ご予約はこちら