離婚コラム|横浜の離婚に強い弁護士 細江智洋がわかりやすく解説

2025.10.29更新

離婚コラム55

 

近年、40代・50代の夫婦の離婚が増えています。仕事や子育てが一段落し、第二の人生を考えるタイミングで「このまま結婚生活を続けるべきか」と思い悩む方も少なくありません。離婚を考える中で気になる問題のひとつが「離婚慰謝料」です。
「慰謝料の相場はどのくらいなのか」「自分の場合はいくら請求できるのか、または払うことになるのか」――多くの方が抱える疑問ですが、実はインターネットや噂で広まっている情報には正確ではないものが多く見受けられます。この記事では、40代・50代の離婚における離婚慰謝料の相場と、離婚慰謝料における誤解についてわかりやすく解説します。

 

離婚慰謝料の基本
離婚慰謝料とは、配偶者の不倫や暴力などの有責行為によって精神的苦痛を受けた側が、相手に対して請求する損害賠償金のことです。性格の不一致や単なる気持ちのすれ違いでは、基本的に慰謝料の対象にはなりません。
代表的な原因としては、
• 不倫(不貞行為)
• モラルハラスメントや暴力
• 勝手に家を出ていく、生活費を渡さないなどの悪意の遺棄(あくいのいき)
• 離婚そのものによる精神的苦痛(一方の有責行為が原因で平穏な婚姻生活が破綻し離婚に至った場合)
が挙げられます。
相手の行為そのものに加え、結果として「離婚という事態を強いられたこと」による精神的苦痛も慰謝料の対象となります。

 

40代・50代の慰謝料相場
離婚慰謝料の金額は事情によって異なりますが、不倫や暴力を原因とする場合、50万円から300万円程度が多いといわれています。
ただし、婚姻期間が長いほど精神的苦痛の影響が大きいと判断されやすく、40代・50代夫婦で20年以上結婚生活を続けてきた場合は、比較的高額な慰謝料が認められることがあります。逆に、有責行為の期間が短かったり、(不貞などの)証拠が乏しかったりする場合には、相場より低くなる、あるいは認められないこともあります。

 

40代・50代でありがちな慰謝料に対する誤解

誤解① 高齢の夫婦は慰謝料をもらえない
「若い夫婦には慰謝料が出るけど、年齢が高いと出ないのでは?」と思っている方がいますが、これは誤りです。慰謝料は年齢ではなく、相手の行為の内容と婚姻生活への影響によって認められます。40代・50代でも、不倫や暴力といった行為が原因であれば慰謝料請求は可能です。

誤解② 財産分与と慰謝料は同じもの
「財産分与を受け取ってしまうと慰謝料は請求できない」と思い込む方は多いですが、これは全く別の制度です。財産分与は離婚時に夫婦が協力して築いた財産を公平に分けるもの。一方で慰謝料は、精神的苦痛に対する賠償金です。両方を併せて請求する場合もあります。

誤解③ 高収入の相手なら高額の慰謝料がもらえる
「相手が高収入だから数百万円は当然」と期待するのも誤解です。確かに収入は算定要素のひとつですが、それだけで慰謝料の金額が決まるわけではありません。行為の悪質性、婚姻期間、被害者側の精神的苦痛の大きさなど、総合的に判断して算定されます。

 

誤解を避けるために必要なこと
40代・50代での離婚は、夫婦で築いた財産を分けることになり、その後の暮らしをどうしていくかを真剣に考える必要がある大切な時期です。慰謝料について誤解したまま行動してしまうと、請求できるものを見逃したり、逆に不必要に大きな不安を抱えてしまったりするリスクがあります。
そのため、インターネットや周囲の体験談に頼るのではなく、自分の状況に合った正しい法的知識を得ることが大切です。

 

弁護士に相談するメリット
慰謝料の相場は一律ではなく、状況によって大きく変わります。弁護士に相談すれば、あなたの状況に即した慰謝料の相場の金額を知ることができるだけでなく、相手との交渉の仕方や有効な主張の準備など、実践的なサポートを受けられます。
離婚を検討している40代・50代の方にとって、今後の生活を考慮した冷静な判断を下すためには、弁護士の力を借りることが大きな安心につながるでしょう。

 

まとめ
40代・50代の離婚慰謝料は、年齢ではなく相手の有責行為の有無とその内容によって判断されます。相場は50万円から300万円程度が多いですが、婚姻期間の長さや事情によって増減します。
「年齢が高いから慰謝料はもらえない」「財産分与と慰謝料は同じ」「高収入なら必ず高額な慰謝料がもらえる」といった誤った情報に惑わされず、正しい知識を持って行動することが大切です。
もし慰謝料のことで悩んでいるなら、弁護士細江智洋にご相談ください。きっと安心して前に進むためのヒントが得られるはずです。
離婚慰謝料について詳しくはこちら

この記事を担当した弁護士

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋

神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩み方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

2025.10.26更新

離婚コラム54

 

離婚慰謝料の請求には時効がある?請求できる期間とは
離婚にあたって「精神的損害に対する慰謝料を請求したい」と考える方は少なくありません。
配偶者のモラハラや暴力、生活費を全く渡さない、正当な理由なく家を出て行ってしまったといったケースでは、離婚原因を作った側に対して慰謝料を求めることができます。
ただし、慰謝料には「いつまでに請求できるか」という時効が存在します。時効を過ぎてしまうと、正当な権利であっても実質的に行使できなくなるおそれがあります。ここでは、離婚慰謝料の時効と注意点を解説します。

 

離婚慰謝料の時効は「離婚成立から3年」
離婚慰謝料請求権の請求期間は、民法724条に基づき 離婚成立から3年 が原則です。
ここでいう「離婚成立」とは、協議離婚の場合は離婚届が役所に受理された日、調停離婚や裁判離婚の場合は調停調書や判決が確定した日を指します。
離婚が成立した時点で「損害(精神的苦痛)」が確定し、相手方(加害者)が誰であるかも明確になるため、この時点から時効がスタートするのが一般的です。
たとえば、
• 2022年4月に離婚成立 → 2025年4月まで慰謝料を請求可能
というイメージです。3年を経過した場合は時効完成となります。

 

離婚原因が違っても時効は同じ?
「配偶者のDVやモラハラが原因の場合はもっと時効が長くなるのでは?」と誤解している方がいますが、離婚慰謝料として請求する限りは離婚原因に関わらず離婚成立から3年というルールです。
なお不倫に関する慰謝料は「不貞慰謝料」として別に扱われるため、不倫を知った時から3年という考え方が用いられますが、ここで扱う「離婚慰謝料」には当てはまりません。

 

時効を過ぎるとどうなる?
離婚成立から3年の時効を過ぎてしまった場合、相手に慰謝料を請求しても認められない可能性があります。
法律上、時効は期間が経過(=時効完成)しても自動的に権利が消えることはありません。相手が「もう時効だから払わない」と主張することを 「時効の援用」 といいますが、この援用がなされた場合は慰謝料を請求することはできなくなります。
したがって、実務上は3年を過ぎると離婚慰謝料の請求はほぼ不可能になってしまいます。

 

時効を止める方法もある
「離婚からすでに2年半経っている」「話し合いが進まず、離婚からもうすぐ3年になってしまう」という場合でも、時効完成を防ぐ方法があります。
内容証明郵便で慰謝料請求を通知する
 → 時効完成を6か月間だけ先送りできる
家庭裁判所で慰謝料請求を目的とした調停・訴訟を申し立てる
 → 時効がリセットされ、新たにカウントされる
このような方法で、時効完成を防ぐことができ、請求の権利を維持できます。

 

離婚慰謝料の時効で注意すべき3つのポイント
1. 離婚成立から3年という短い期間しかない
 時間に余裕があると思っていても、準備や交渉には思ったより時間がかかります。
2. 交渉の引き延ばしで時効が完成してしまうリスクがある
 相手が「検討する」と言って引き延ばされている間に3年が過ぎれば、請求できなくなる可能性があります。
3. 時効が始まる日(=起算点)の誤解で時効を過ぎてしまう危険がある
 「まだ大丈夫」と思っていても、離婚成立日からカウントが始まっています。思い込みや勘違いもあるため放置するのは危険です。

 

まとめ
離婚慰謝料の請求には原則3年の時効がありますが、離婚原因や状況によって起算点が異なります。時効がいつ始まっているのか、時効を止めるための手続きはあるのかを確認することが大切です。
時効を過ぎてしまうと請求が難しくなるため、ご心配な方はできるだけ早めに弁護士へ相談することが大切です。
弁護士に相談すれば、時効の正確な起算点や適切な請求方法を判断でき、慰謝料を受け取る可能性が高まります。
当事務所では、離婚や慰謝料に関するご相談を数多く取り扱っております。「まだ慰謝料を請求できるのか」「時効までにどのような手続きをすればいいのか」といった悩みを抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
→詳しくはこちらをご覧ください:離婚慰謝料について

 

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋

神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
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2025.10.23更新

離婚コラム53

 

配偶者の不倫が発覚したときの精神的なダメージは、想像も出来ないほど大きいものです。そのとき問題となるのが「慰謝料」です。慰謝料を請求できるのか、どのくらいの金額が相場なのか。また、支払う側にとってはどこまでが妥当な範囲なのか――。この記事では、不倫の慰謝料の相場や判断のポイントを、弁護士の視点からわかりやすく解説します。

 

不倫の慰謝料とは?
不倫の慰謝料とは、配偶者の不貞行為によって受けた精神的な損害に対して支払われるお金のことです。法律上の「不貞行為」があった場合に請求でき、単なる不倫の疑いだけでは認められません。通常は、不倫した配偶者本人と不倫相手の双方に対して請求できる可能性があります。

 

慰謝料の相場はどれくらい?
慰謝料の金額はケースによって大きく変わります。裁判例や実務上の傾向からすると、次のような目安があります。
離婚しない場合:50万円~100万円程度
不倫が原因で別居に至った場合:100万円~200万円程度
不倫が直接の原因で離婚に至った場合:200万円~300万円程度
もちろん、これはあくまで目安であり、個々の状況によって増減します。

 

慰謝料の金額が増減する判断ポイント
慰謝料の金額の判断には「一律の計算式」があるわけではなく、以下の要素が考慮されます。
不倫の期間や回数:長期かつ継続的な不倫関係は、増額要因になります。
結婚期間の長さ:長年の婚姻生活が壊された場合、金額は高くなる傾向があります。
未成年の子どもの有無:幼い子どもへの影響は大きいため、増額されることがあります。
支払う側の収入や経済状況:経済力に応じた金額に調整される場合があります。
不倫した側の態度:不倫が発覚した後に、誠実に謝罪し協議に応じれば減額される可能性があります。逆に、非協力的な態度をとったり、不倫の事実を否定し続けたりすると、慰謝料が増額される場合もあります。

 

支払う側が注意すべき点
不倫が事実であれば、慰謝料を支払う義務があります。ただし、請求された慰謝料の金額が必ずしも妥当な金額とは限りません。相場とかけ離れていないかを確認しましょう。弁護士に依頼して相手と交渉すれば、金額や支払方法を調整できる可能性があります。

 

もらう側が注意すべき点
慰謝料請求を成功させるためには、証拠を押さえることが重要です。メールやLINEのやり取り、ホテルへの出入りを示す写真など、相手の不貞行為を裏付ける資料が必要となります。また、慰謝料請求の方法にも注意が必要です。相手と直接交渉すると感情的な言い合いに発展しやすく、合意に至らないことも多くあります。弁護士を通じて請求すれば、冷静に適切な金額での解決が望めるでしょう。

 

裁判にするか、協議で解決するか
慰謝料請求は裁判を経なくても、当事者間の話し合いや弁護士を通した協議で解決できる場合が多いです。実務上は多くのケースが協議で解決し、裁判まで進むのは一部に限られます。裁判になると時間や費用の負担が大きいため、一般的には協議を進めますが、相手が全く応じない場合には裁判を検討する必要があります。

 

まとめ:協議だからこそ弁護士のサポートが重要
不倫の慰謝料は、支払う側・請求する側にとっても影響の大きい問題です。裁判に至るケースは少ないものの、協議段階だからこそ弁護士のサポートが不可欠です。
• 慰謝料の支払い義務があるのかどうか
• 請求金額や条件が現状に鑑みて妥当かどうか
• 将来トラブルにならない形で合意できているかどうか
これらを判断できるのは弁護士です。当事者同士では感情的になりやすい状況だからこそ、早い段階で弁護士に相談することが安心につながります。
弁護士細江智洋の事務所では、不倫の慰謝料や離婚に伴う金銭問題についてのご相談を多数承っています。詳しくは当事務所の「不倫慰謝料」のページをご覧ください。

 

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋

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