離婚コラム|横浜の離婚に強い弁護士 細江智洋がわかりやすく解説

2025.10.20更新

離婚コラム52

 

結婚生活を送る中で「もう一緒に暮らすのは難しい」と感じ、突然別居を考える方も少なくありません。40代・50代は、子育てがひと段落したり、仕事環境が変わったりと、夫婦関係に向き合う時期でもあります。
では、夫婦の一方が勝手に「別居」を始めた場合、それは法律的に「違法」となるのでしょうか?

 

夫婦には「同居義務」がある
民法には、夫婦は「同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定められています(民法752条)。
つまり、夫婦は原則として一緒に住み、助け合うことが義務とされているのです。
そのため、何の理由もなく、かつ相手の了承も得ずに急に別居することは、この「同居義務」に違反する可能性があります。
ただし、同居義務は必須ではありません。正当な理由があれば、別居が認められる場合があるのです。

 

法律上の正当な理由とは?
それでは、法律上「正当な理由」とされるのはどんな場合でしょうか。代表的な例をいくつか挙げます。
• DV(家庭内暴力)やモラハラを受けている場合
暴力や精神的虐待から身を守るための別居は、必要な行動です。
• 不貞行為(浮気・不倫)が発覚した場合
信頼関係が壊れている状況での別居は、正当化されやすいです。
• 過度な借金や浪費がある場合
経済的に生活が脅かされるとき、別居によって生活を立て直すことが認められます。
• 病気や介護のために物理的に別居せざるを得ない場合
病気の療養や家族の介護など、やむを得ないケースも含まれます。
このように「やむを得ない事情」があれば、別居は法律上認められる可能性が高いのです。

 

突然の別居はリスクがある
とはいえ、客観的に正当な理由がないまま一方的に家を出てしまうと、後に離婚や財産分与の話し合いで不利になる可能性があります。

相手が「勝手に出て行った」と主張し、「悪意の遺棄(あくいのいき)」(民法770条1項2号)を根拠に問題視されることがあります。
もっとも、「悪意の遺棄」と認められるのは、正当な理由なく長期間にわたり同居を拒否し、生活費の分担など夫婦としての義務を果たさない場合に限られ、単に別居を始めたというだけで直ちに当てはまるわけではありません。

 

 

別居は「離婚準備」につながる
40代・50代の別居は、単なる一時的な距離の取り方にとどまらず、そのまま「離婚」へと発展するケースが多く見られます。
別居は夫婦関係の破綻を示す有力な証拠となるため、離婚裁判では重要な要素にもなります。
そのため、別居を検討する際には以下の点を整理しておくことが重要です。
• 経済的に生活できるのか
• 子どもの養育はどうするのか
• 財産の管理はどうするのか

 

まとめ
突然の別居は、DVや不貞行為など「正当な理由」があれば認められるケースもあります。
ただし、状況によって判断が大きく変わるため、自身の判断で動くのは非常にリスクが高いです。
別居を検討している、または既に別居を始めている方は、弁護士に相談して「自分のケースではどのように対応すべきか」を確認しましょう。
当事務所では、離婚や別居に関するご相談を数多く受けてきました。今の不安を整理し、最善の方法を一緒に考えていきましょう。
→詳しくはこちら:
離婚と別居に関するご相談|弁護士 細江智洋

 

この記事を担当した弁護士

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

2025.10.17更新

離婚コラム51

 

はじめに
結婚すると、夫婦は「同じ家で暮らし、協力し、助け合う」ことが法律で定められています。これを夫婦の「同居義務」といいます。
しかし、配偶者に相談もしないで勝手に別居したり、家庭を放置したりしてしまうと、法律上「同居義務違反」とされ、離婚や慰謝料などの問題につながることがあります。
本コラムでは、同居義務とは何か、違反するとどんなリスクがあるのかをわかりやすくご説明します。

 

1. 同居義務とは?夫婦の基本的なルール
民法752条には「夫婦は同居し、互いに協力し、扶助(=助け合い)しなければならない」と書かれています。
つまり、夫婦が
• 一緒に住むこと
• 生活や家計を支え合うこと
• 病気や困難があれば助け合うこと
を法律上で求められているのです。
ただし、裁判所が「一緒に暮らしなさい」と命じても、無理やり同居させることはできません。その代わりに、同居義務を怠った場合には法律上の不利益を受ける可能性があるのです。

 

2. 同居義務違反によって生じる法的リスクの種類
(1)離婚原因になる
自分勝手な別居や家庭を放置するような行為は、法律上の離婚原因の一つ「悪意の遺棄」にあたる場合があります。つまり「夫婦関係を続ける意思がない」と解釈されるのです。
(2)慰謝料を請求される可能性
生活費を渡さない、浮気をして家を出るなどは、相手に精神的苦痛を与える行為とされ、慰謝料請求につながることがあります。特に不貞行為(浮気)に対する請求は高額になりやすいです。
(3)婚姻費用の請求が不利になることもある
夫婦が別居すると、通常は収入の多い方が収入の少ない方に「婚姻費用(生活費)」を支払う義務があります。しかし、請求する方(少ない方)が勝手に家を出た/不倫をした/生活費を渡さなかったことを理由に「有責配偶者」と判断されると、家庭裁判所が「その婚姻費用の請求は正当とはいえない」として、
• 婚姻費用を減額する
• 場合によっては認めない
と判断することがあります。
つまり、収入が少ない方であっても、行動によっては生活費を十分にもらえなくなるリスクがあるのです。

 

3. 同居義務違反の具体例と法的リスク
同居義務違反は「一方的に家を出ること」だけではありません。以下のような行為も含まれることがあります。

離婚コラム51の表

 

4. 違反とはならない場合もある
もちろん、すべての別居が「同居義務違反」になるわけではありません。次のような正当な理由があるケースは「違反とはならない」と考えられます。
• 夫婦で話し合い、合意している
• 親の介護や単身赴任など、やむを得ない事情
• DV・モラハラから身を守る
• 夫婦関係をやり直すための冷却期間を置く
ただし、正当性を証明できるよう、記録や証拠を残しておくことが大切です。

 

5. 別居を考える際の注意点
別居を検討するときには、次のことを意識しましょう。
• できるだけ話し合い、夫婦の間で合意するる
• 別居の理由を証拠として残す(メール・録音・診断書など)
• 生活基盤を整える(住居の確保・収入・子どもの養育環境など)
これらを準備しておくことで、別居する際のトラブルを避けやすくなります。

 

まとめ
夫婦には「同じ家に住み、協力し、助け合う」という同居義務があります。これを怠ると、離婚や慰謝料、生活費の不利益など深刻な法的リスクを招くことがあります。
一方で、夫婦間の合意や正当な理由がある別居は「違反」にはあたりません。別居を検討する際は、準備と証拠確保を徹底することが大切です。

当事務所のページ 離婚に向けて別居を考えている方へ では、別居を始める前に必要な準備や証拠の集め方についてさらに詳しく解説しています。別居を検討中の方はぜひご覧ください。

 

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
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2025.10.14更新

離婚コラム50

 

配偶者に無断で別居すると違法なのか?
「配偶者に相談せずに別居したら違法になってしまうのかな?」と心配される方は少なくありません。特に離婚を前提に別居を検討している場合、法律上どのような影響があるのかを知っておくことはとても大切です。
本記事では、無断別居と同居義務との関係、離婚裁判・離婚調停に与える影響についてわかりやすく解説します。

 

同居義務とは?(民法752条の規定)
夫婦には「同居・協力・扶助の義務」がある
民法752条には「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定められています。つまり夫婦には、
• 同じ住居で生活すること(同居義務)
• お互いを助け合うこと(協力・扶助義務)
が法律上求められています。

 

同居義務に違反した場合に罰則はあるのか?
刑事罰や罰金は無い
同居義務に違反しても、刑事罰や罰金が科されることはありません。法律上、別居そのものを処罰する規定は存在しないので「無断別居=直ちに違法」ではないのです。

 

無断別居が「違法」とされない背景
さまざまな理由による別居は想定されている
仕事の都合、親の介護、家庭不和を理由に距離を置く必要など、夫婦が別々に暮らす事情は様々です。そのため、法律上は柔軟に解釈されているのです。

 

無断別居による不利益やリスク
(1)夫婦関係破綻を示す証拠になる
例:夫が妻に無断で家を出て、数年間連絡をしなかった場合
→ 裁判所は「夫婦の関係修復の意思が無い」と判断し、離婚請求が認められやすくなることがあります。
(2)婚姻費用(生活費)の請求を受ける
夫婦には別居後も生活費を分担する義務があります。突然家を出たとしても支払義務は続きます。配偶者や子どもから「婚姻費用分担請求」を受ける可能性があります。
(3)親権・監護権を争う場合に不利になる
子どもがいる場合、無断別居は「子どもの利益を優先していない」と評価されることがあります。その結果、親権や監護権を争うときに不利になることがあります。

 

別居を始める際の注意点と対策
1. 可能であれば話し合いを
別居をするにあたっては、別居の理由や目的について、配偶者と冷静に話し合うことが望ましいです。
2. 別居の目的を明確にする
「冷却期間を置きたい」「子どもの環境を整えたい」「離婚準備」など、はっきりした目的を持つことで後の説明にも役立ちます。
3. 弁護士へ早めに相談する
無断別居は違法ではありませんが、裁判や調停で不利になる場合があります。別居の始め方や生活費の分担方法、子どもの養育については弁護士の法的な助言を受けることが大切です。

 

まとめ
• 配偶者に無断で別居しても、必ずしも「違法」になるわけではありません。
• しかし、夫婦関係の破綻の証拠とされる、生活費の請求を受ける、親権に不利になるといったリスクがあります。
• 別居を考えている方は、正しい手順と法的知識をもって行動することが大切です。

別居を考えている方へ
「別居を始めたいけれど違法にならないか心配」「別居しても不利にならない方法を知りたい」という方は、早めに弁護士にご相談ください。
当事務所では、離婚や別居を検討されている方のご相談を多数承っています。詳しい情報は以下のページにまとめています。ぜひご覧ください。
→離婚に向けて別居を考えている方へ

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2025.10.11更新

離婚コラム49

 

「結婚すれば夫婦は一緒に暮らすもの」というイメージを持つ方は多いでしょう。実際、多くのご夫婦は同じ家に住み、生活を共にしています。では、法律上も「必ず同居しなければならない」と決まっているのでしょうか。
本記事では、民法に規定されている夫婦の同居義務の基本と、結婚生活の中で注意しておきたいポイントを、弁護士がわかりやすく解説します。

 

民法が定める「同居義務」とは?
民法第752条には「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と書かれています。これが、法律上の夫婦の同居義務です。
同居義務は単に「一緒に住む」という意味だけではなく、
・協力義務(家事や生活の分担、家庭運営)
・扶助義務(経済的・精神的に支え合うこと)
といった夫婦の基本的な責任を含んでいます。

 

例外的に同居しないこともある
「同居義務」とはいえ、すべての夫婦が同居しているわけではありません。状況によっては、法律上も同居義務違反とならない場合があります。
同居しなくてもよい代表的な例は次のような場合です。

単身赴任:仕事の都合で一時的に離れて生活する
病気療養や介護:身体上の理由や家族の事情で実家などに戻る
家庭内不和:夫婦関係を落ち着かせるためにいったん距離を置く
このようなやむを得ない事情があれば、同居していないことが必ずしも「同居義務違反」とまではなりません。

 

別居と離婚はどう違う?
「別居=離婚」と考えてしまう方も少なくありませんが、実際には大きな違いがあります。
別居
戸籍上は夫婦のままで、婚姻関係は続いています。生活費(婚姻費用)の分担義務も残り、法的には夫婦としての義務を負っています。
離婚
戸籍上は夫婦ではなく、法律上の婚姻関係はありません。財産分与や養育費、親権などの取り決めが必要です。
つまり、別居は「夫婦関係を見直すための期間」であるのに対し、離婚は最終的な法的解消です。

 

別居をする場合の注意点
別居は「夫婦関係の冷却期間」として有効な一面もありますが、同時に法的な影響がある点には注意が必要です。ここでは、別居を考える際に押さえておきたいポイントを整理します。
1. 別居の理由や期間を話し合っておく
別居の理由や期間、生活費の負担について話し合い、夫婦双方で合意した内容を書面などで記録しておくことが大切です。
2. 経済的な支え合いは続く
夫婦であれば、収入の多い方に生活費(婚姻費用)を分担する義務があります。別居を始める前に婚姻費用をどうするか話し合っておきましょう。
3. 子どもの生活環境を第一に考える
監護権(誰が子どもの世話をするか)や養育費などの取り決めは、子どもの生活の安定を優先するためには欠かせません。
4. 相手の住居に勝手に入らない(住居侵入のリスク)
たとえ夫婦であっても、別居中に相手が住んでいる家へ無断で立ち入ることはできません。住居権はそこに住む人にあるため、相手の断りなく入ると住居侵入とされる可能性があります。荷物を取りに行きたい場合や子どもとの面会は、必ず相手の了承を得てから行いましょう。

 

まとめ|同居義務と別居の基本知識を理解し、冷静に対応を
• 夫婦には民法752条で同居義務が定められている
• ただし、仕事や健康上の事情などで同居しないことが認められる場合がある
• 別居と離婚は異なり、別居中も婚姻費用(生活費)の分担義務は続く
• 別居を始める際には、理由・期間・生活費・子どもの養育について夫婦で話し合っておくことが重要
同居義務や別居の知識を正しく理解しておくことは、今後の夫婦関係を考える上で大切です。もし別居や離婚を検討している場合には、弁護士に相談することで安心して行動できます。別居や同居義務に関して不安のある方は、弁護士細江智洋までご相談ください。秘密厳守で丁寧に対応いたします。
→離婚に向けて別居を考えている方へ

 

この記事を担当した弁護士

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