専業主婦が離婚で陥りやすい「お金の落とし穴」とは?~よくある3つの失敗と後悔しないための備え~
2025.09.05更新
「もうこの結婚生活を終わらせたい」――
そう考えながらも、ふと立ち止まってしまうのが「お金」の問題。
特に専業主婦の方にとって、離婚することで生活の基盤は大きく変わります。
実は、離婚する時に表面上はうまく話がまとまったように見えても、お金に関する“見落とし”や“勘違い”が、離婚後の生活に大きな影響を及ぼすことがあります。これは離婚が一度成立してしまうと、やり直しが難しい問題です。
このコラムでは、専業主婦の方が離婚をする際に陥りやすい「3つのお金の落とし穴」に焦点をあて、後悔しないために何を備えておくべきかをわかりやすくお伝えします。
落とし穴①「財産分与の“見落とし”で損をする」
財産分与とは、婚姻期間中に築いた財産を、離婚時に夫婦で公平に分ける制度です。しかし実際には「夫名義のものは請求できない」「まだ受け取っていない退職金は関係ない」と対象になる財産を知らなかったために、本来受け取れるはずの財産を見逃してしまうケースが多く見受けられます。
たとえば:
• 夫名義の預金や株式
• 名義が夫のままになっているが共有資産である不動産
• 将来支給される予定の退職金
退職金については、離婚時点で実際には支給されていなくても、将来的に受け取れる見込みがあり、合理的に金額を予測できる場合には、家庭裁判所でも財産分与の対象として認められることが多いのです。
特に公務員や大企業にお勤めの方の場合、退職金制度は明確で、勤続年数や退職予定年齢から見込額の計算も可能です。
離婚後に「知らなかった…」とならないためにも、就業規則や退職金制度の確認を含め、専門家の助言を受けながら財産の棚卸しをしておくことが重要です。
落とし穴②「“口約束”の養育費が払われなくなる」
「離婚後も子どものためにちゃんと払うから」と言われても、毎月の養育費の支払いを文書に残さないと、支払われなくなる可能性があります。仕事の変化や生活苦、再婚などの影響で音信不通・滞納もあるのが現実です。
実際、厚生労働省の統計(令和3年度全国ひとり親世帯等調査)によると、養育費の取り決めをしている母子世帯は約4割、さらに現在も受け取っているのは約4人に1人に過ぎないというデータがあります。
養育費が継続的に支払われるよう、専門家に相談し、対策を取っておく必要があります。
• 公証役場で公正証書を作成して、取り決めた内容を法的に明確化する
• 「将来支払われなかった場合には強制執行(差押え)できる」旨の条項(執行認諾文言)を盛り込む
公正証書を作るだけでなく、執行認諾文言を入れておくことで滞納されても差押えを視野に入れた対応が可能になります。
落とし穴③「離婚後の生活費が思った以上に足りない」
離婚をして新しい生活をスタートすると、「こんなにお金がかかるとは思わなかった」と戸惑う方は多くいらっしゃいます。
特に専業主婦の方の場合は、ブランクがあるため再就職が難しかったり、子育てとの両立が困難だったりするため、すぐに安定した収入を得ることが難しい現実があります。家賃や光熱費、食費、教育費、医療費などすべてを自分一人でまかなうには、事前の準備が必要です。
• 離婚前に3~6ヶ月分の生活資金を確保しておく
• 児童扶養手当や就労支援制度など、行政のサポート制度を事前に調べておく
• ハローワークや就労支援を活用して、求職活動をする
離婚後の生活の基盤を整えておくことが、心の安定と自立への第一歩になります。
後悔しないために:離婚は“準備”で差がつく
離婚は準備不足のまま動いてしまうと、あとから「もっと請求できたのに」「家計のやりくりが厳しい」と後悔してしまうことになります。
とくに専業主婦の方は、経済的に不利な立場に置かれやすく、損をしないためにも必要な権利をきちんと主張することが大切です。
弁護士細江智洋は、専業主婦の方の離婚に関するご相談を多数お受けしており、離婚前の備えから財産分与や養育費の交渉、離婚後の生活設計まで一貫して丁寧にサポートしております。
▶ 詳しくは、専業主婦の離婚サポートページをご覧ください。
この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩み方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。