「夫の収入だけで家庭を支えてきた私が、離婚後にひとりで生活していけるのだろうか?」
そんな不安を抱える専業主婦の方は多く見受けられます。結婚生活の中で仕事を離れ、家事や育児に専念してきた方にとって、離婚は経済面でも大きな転機となります。しかし、現実を知り、正しい準備をすれば、離婚後も安心して生活できます。ここでは、離婚後の生活で直面しやすい「お金の現実」と、安心して暮らすための準備について一緒に考えていきましょう。
お金の現実:離婚後に直面しやすい5つの注意点
1. 離婚後すぐに収入が得られない現実と生活費の不安
持ち家を出て新たに賃貸住宅を借りることになれば、引っ越し費用が必要です。さらに敷金・礼金、家具・家電の買い替えなど初期費用、さらには家賃の支払いもあります。しかし、離婚後すぐに仕事に就くのはブランクや子育ての制約で難しいことが多く、収入を得るには時間がかかります。
2. 養育費が未払いになるリスク
養育費は子どもの権利として請求できますが、現実には「支払われない」「途中で止まる」トラブルに多くの方が直面しています。安定的に受け取れるかどうかが、離婚後の生活に大きく影響します。
3. 財産分与でも現金が手に入らないケースに注意
分与される財産には、不動産や保険などすぐに現金化できないものも含まれます。たとえば夫名義の不動産を分与されても、ローンが残っていれば生活の負担になることも。毎日の生活費として使える現金をどれだけ確保できるかが重要です。
4. 年金分割は老後の資金対策で今すぐ使えない理由
年金分割で夫の厚生年金の一部を自分の年金に加算できますが、将来、年金受給年齢に達してから受け取れるものです。離婚直後の生活費には使えませんが、老後の生活資金の安定につながる大切な制度です。
5. 公的支援だけでは足りない離婚後の生活費の現実
児童扶養手当や住居確保給付金など、ひとり親向けの公的制度はありますが、それだけで生活費をすべてまかなうのは難しいのが現実です。特に子どもの進学や習い事など教育費は、想定外の負担になることもあります。
お金の準備:3つの柱で安心をつくる
1. 就労支援の確認や準備
離婚前から利用できる就労支援も視野に入れ、再就職の準備を始めましょう。たとえば神奈川県・横浜市が運営する「かながわ女性キャリアカウンセリング相談室」では、婚姻中でもキャリア相談やスキルアップ講座を受けられ、再就職への準備ができます。離婚後は、ひとり親向けの「ひとり親サポートよこはま」で、求人情報の提供や資格取得支援などの手厚い就労支援が受けられます。
2. 養育費の確保
養育費は子供の生活を守る大切な資金です。口約束だけではなく、公正証書や調停調書で取り決めることで、万一支払いが滞った場合に法的手段(強制執行)が可能となります。また、大学進学費用や習い事の費用などは養育費の基準額に含まれていないため、進学時には別途協議する、特別費用として分担割合を決めておくなど、将来を見据えた取り決めが安心につながります。
3. 財産分与と年金分割
預貯金や不動産、保険、退職金などを夫婦共有財産として分けるほか、離婚後2年以内に請求すれば年金分割も可能です。年金分割の請求には、公正証書や調停調書で分割割合を確定する必要があります。離婚後すぐに現金が受け取れるわけではありませんが、老後資金の確保につながる大切な制度です。
専業主婦の離婚に強い弁護士がサポートします
当事務所では、専業主婦の方の離婚に関するご相談を多数承っています。財産分与や養育費、年金分割など、複雑なお金の問題も一つずつ丁寧にサポートいたします。
→専業主婦の離婚で後悔しないために|弁護士による離婚相談
「ひとりで悩まず、まずは相談してみる」
その一歩が、あなたの未来を守るきっかけになるかもしれません。
この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩み方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。