離婚調停は、多くの方にとって初めての経験ではないでしょうか。
「調停委員から何を質問されるのだろう?」
「どう答えればいいんだろう…」
そんな気持ちを抱えて、当日を迎える方がほとんどです。今回は、離婚調停の当日に聞かれる一般的な質問内容と、その答え方のポイントを弁護士の視点からわかりやすく解説します。
1. 調停で必ず聞かれる基本的な質問
離婚調停は、家庭裁判所で行われ、男女1名ずつの調停委員が中心となって話し合いを進めます。最初に、次のような基本情報を確認されます。
• 結婚した経緯(円満だった時期はあるか,破綻した理由は何か)
• 現在の同居・別居状況(別居している場合、別居期間はどのくらいか)
• 子どもの有無と養育状況(健康状態,誰が子どもの世話をしているか)
• 夫婦の生活費(婚姻費用)の支払い状況(誰が生活費を負担しているか)
この質問は事実確認の意味が大きいので、正直に、簡潔に答えることが大切です。難しく考える必要はなく、「はい」「いいえ」に少し補足を加える程度で十分です。
2. 離婚理由についての質問
次に多く聞かれるのが「なぜ離婚を考えているのか」という点です。
性格の不一致、不貞行為、モラハラ、経済的な問題など、人によって事情はさまざまです。
ここでのポイントは、事実を整理してはっきり端的に調停委員に伝えること。
例えば、配偶者の不貞行為が理由であれば、
「夫(妻)の不貞行為があり、証拠となるメールや写真があるため、信頼関係の修復は困難だと考えています」
と感情的にならずに具体的に述べることで、説得力を持たせることができます。
3. 子どもに関する質問
未成年のお子さんがいる場合は、特に丁寧に聞き取りが行われます。
• 親権はどちらが持つのが適切か
• 現在の子どもの生活環境(住居・学校・健康面など)
• 面会交流の希望(どのくらいの頻度で会わせたいか)
ここでは、子どもの利益を第一に考えていることを示すことが大切です。
「自分が親権を取りたい」という希望を前面に出すよりも、
「子どもにとって安定した環境を守るために、自分が親権を持つのが望ましいと考えています」と答えると、調停委員の心証も良くなります。
4. 財産や生活費についての質問
離婚にあたって必ず取り上げられるのが「金銭面の問題」です。
• 婚姻費用(別居中の生活費)を誰がいくら負担するか
• 養育費はいくらが妥当か、いつまで支払うか
• 財産分与の対象となる資産は何か
これらの点は感情よりも数字が重視されます。収入(給与明細)、預貯金(預金通帳のコピー)あるいは不動産(登記事項証明)など、証拠資料を整理しておくとスムーズです。
さらに調停の場では、調停委員から「財産の内容や名義」「住宅ローンなどの残債」「生活費の支払実績」について実際の数字を聞かれることがあります。そのため、単に「家は夫名義です」と答えるだけでなく、「夫名義でローンの残債が○○万円ある」など、数値を伴って具体的に答えられるよう準備しておくと安心です。
5. 答え方の基本姿勢
離婚調停に臨むうえで、共通して大切な心構えは次の3つです。
1. 事実を正確に伝える
嘘やごまかしは、後で矛盾が生じてしまい不利になります。
2. 冷静で落ち着いた態度を取る
感情的になると本来伝えるべき事実が調停委員に伝わりにくくなります。
3. 自分の希望を具体的に伝える
「子どもと一緒に暮らしたい」ではなく、
「親権を希望し、週末は相手方との面会交流の時間を設けたい」など、具体的に伝えましょう。
まとめ:準備と心構えで不安を軽く
離婚調停の流れや質問内容を事前に知っておけば、不安は大きく減らせます。
特に「離婚理由」「子どものこと」「生活費や財産のこと」「離婚理由」はしっかり整理しておく必要があります。
早い時期に弁護士に相談することで、調停での答え方や必要書類の準備について具体的なアドバイスを受けられます。不安な方はぜひ一度、弁護士細江智洋にご相談ください。
→手続きについて詳しくはこちら:離婚相談・離婚調停について
この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。