離婚コラム|横浜の離婚に強い弁護士 細江智洋がわかりやすく解説

2025.09.26更新

離婚コラム44

 

50代・60代になってからの離婚、いわゆる「熟年離婚」は、珍しいことではなくなってきました。長年連れ添ったご夫婦が、定年退職後や子育てが一段落したことをきっかけに、それぞれの生き方を見直す人が増えているのです。
ただし、熟年離婚は人生における大きな転機です。特に女性にとっては、生活費のことや気持ちの整理を後回しにすると、その後の生活に大きな不安が残ることがあります。ここでは、弁護士として「熟年離婚を考える前に知っておきたい5つの大切なこと」をお伝えいたします。

 

1. 年金分割の仕組みを理解する
熟年離婚で重要なのが「年金分割」です。結婚期間中に夫が厚生年金に加入していた場合、厚生年金記録をもとにして、原則として2分の1まで自分の年金として分けてもらえる制度です。これは60才以降の生活に直接影響します。あわせて、実際に自分がいくら受け取れるのかを試算しておくと、将来の見通しが立てやすくなります。なお、分割請求は 離婚から2年以内 に行う必要があります。

 

2. 住宅や財産の分け方を考える
マイホーム、預貯金、退職金などの財産は、夫婦で築いた共有財産として分け合う必要があります。特に住宅は「どちらかが住み続けるのか」「売却するのか」でその後の暮らし方が変わります。財産分与は感情的に対立しやすい部分でもあるため、冷静に状況を整理しながら検討することが大切です。

 

3. 離婚後の生活費を試算する
離婚後に必要となる生活費は、毎月の支出だけではありません。医療費や介護費用、老後の生活資金なども考慮する必要があります。年金や財産分与だけで足りるのか、それとも別の収入源が必要かを把握しておくと、離婚後の暮らし方を具体的にイメージできます。

 

4. 離婚後の心の支えを準備する
熟年離婚は経済面だけでなく、精神面にも大きな影響を与えます。「自由になれる」と感じる方もいれば、孤独に不安を覚える方も少なくありません。信頼できる友人やご家族に相談する、地域の交流の場に参加する、専門家のカウンセリングを受けるなど、自分に合った形で心の支えを用意しておくことが大切です。

 

5. 専門家の助言を得る
インターネットの情報や周囲の体験談だけでは、誤解や不利益につながることがあります。財産分与や年金分割の内容は、ご家庭ごとの事情によって大きく異なるため、弁護士に相談して正確な情報を得ることが必要です。早めに専門家へ相談することで、準備すべきことや優先順位が明確になり、安心して前に進むことができます。

 

まとめ
熟年離婚は、新しい人生のスタートである一方で、生活基盤を大きく変える出来事です。年金や財産、生活費、心の支えなどを冷静に整理したうえで進めることが、後悔しないための第一歩になります。
「私の場合はどうだろう?」と思われた方は、まずは一度ご相談ください。詳しくは当事務所の熟年離婚専用ページでご案内しています。
→熟年離婚について詳しくはこちら

 

この記事を担当した弁護士

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

2025.09.20更新

離婚コラム42

 

長年連れ添った夫が、定年後や子育てが落ち着いた頃からお金を浪費するようになった…。
趣味やギャンブル、交際費などに使い込み、しまいには生活費が足りなくなる。そんな状況では、「この先の生活はどうなるのだろう?」と不安になる方は少なくありません。
特に50代・60代の女性にとって、夫の浪費は老後の生活資金に直結する深刻な問題です。本記事では、熟年離婚を考える前に知っておくべき法律的なポイントを、弁護士の視点からわかりやすくお伝えします。

 

1. 浪費は「婚姻費用の不払い」や「経済的DV」にあたる可能性がある
夫婦には、法律上「互いに協力し扶助する義務」(民法第752条)があります。つまり、夫婦は一緒に生活を維持するために、収入を分かち合い、家庭を支える責任を負っています。
ところが、夫が趣味やギャンブル、女性などにお金を使い込み、本来家庭に入れるべき生活費(婚姻費用)を支払わない場合、それは「婚姻費用の不払い」という法律上の問題となります。
このような行為が続けば、妻に大きな経済的負担を強いることになり、経済的DV(ドメスティックバイオレンス)と評価されることもあります。

 

2. 離婚を考える前にできること
浪費に悩んでいるからといって、すぐに離婚を決断するのは不安が大きいものです。
まずは次のような方法で、現状を少しでも改善できないか試してみましょう。
  ①お金の使途を確認し、記録を残す
預金通帳やクレジットカードの明細を確認し、浪費の実態を明らかにします。記録を残しておくことで、後々の法的手続きにも役立ちます。
  ②冷静に話し合う
「将来が不安」「生活費が足りない」といった気持ちを、感情的にならずに具体的な数字を交えて伝えることが大切です。
  ③家庭裁判所に相談する
話し合いが難しい場合、婚姻費用の請求や調停の制度を利用することで、生活費の確保を図ることができます。
  ④弁護士への相談
専門家に相談すれば、どのような証拠を集めればよいか、どんな法的手段を取れるのか整理できます。

 

3. 調停や裁判で問題とされるケース
「夫の浪費は本当に法律上の問題になるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
実際には、浪費と生活費不払いが続くことで、調停や裁判で以下のように扱われることがあります。
• 生活費の支払いを命じられる
妻が婚姻費用分担請求調停を申し立てれば、裁判所が夫に生活費の支払いを命じることもあります。
• 離婚理由(有責事由)として認められる
婚姻生活の破綻原因が浪費と判断されれば、離婚の理由のひとつになります。
• 財産分与で考慮される
夫の浪費が原因で夫婦の財産が減ってしまっている場合、調停や裁判で財産分与の割合を決める際に妻の方に有利に働く場合もあります。

 

まとめ ― 専門家と一緒に考える安心を
夫の浪費は、単なる「趣味にお金をかけすぎている」という範囲であれば、夫婦間の価値観の違いにとどまる場合もあります。しかし、生活費を入れない、家庭を支える義務を果たさない、夫婦の財産を大きく減らしてしまうといった状況になると、それは単なる性格や生活習慣の問題にとどまらず、調停や裁判で認められるほどの深刻な法的問題に発展することがあります。
だからこそ、一人で悩むのではなく、早めに専門家に相談してみることが大切です。
弁護士に相談すれば、離婚をすべきかどうかを含めて、これからの生活を守るための具体的な道筋を一緒に考えることができます。

熟年離婚の詳しい情報や実際の事例は、当事務所の特設ページをご覧ください。
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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
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