離婚についてAIに相談しても大丈夫?弁護士が考えるAIの上手な使い方
監修:弁護士 細江智洋
この記事のまとめ
- AIは離婚の基礎知識や気持ちの整理に役立つ
- ただし、離婚問題では、AIの回答も入力された情報の影響を受ける
- 調停や裁判では、感情だけでなく客観的な事実や証拠が重要
- AIと弁護士を上手に使い分けることが、よりよい解決につながる
はじめに
最近は、ChatGPTなどのAIに離婚について相談する方が増えています。
実際、離婚問題について調べる際にAIを利用することには多くのメリットがあります。
いきなり弁護士へ相談するのはハードルが高いと感じる方もいるでしょう。
「離婚したいのかどうかもまだ分からない」
「こんな初歩的なことを聞いてもよいのだろうか」
そのような段階では、AIは非常に便利な存在です。
私自身、離婚についてAIに相談すること自体は悪いことではないと思っています。
むしろ、気持ちを整理したり、基礎知識を得たりするためには有効な場面も少なくありません。
もっとも、離婚問題にはAIだけでは対応しきれない部分もあります。
それはAIの知識量が不足しているからという単純な理由によるものではありません。
離婚問題そのものが、人間の感情や認識の偏りと深く関係しているからです。
目次
1 AIは離婚の基礎知識を知るためには便利
例えば、
• 離婚調停とはどのような手続きか
• 財産分与とは何か
• 養育費はどのように決まるのか
• 別居すると何が変わるのか
このような基礎的な内容については、AIはかなり有益な情報を提供してくれます。
また、
「離婚したい気持ちはあるけれど、何に悩んでいるのか自分でも分からない」
という場合に、考えを整理する手助けになることもあります。
離婚問題に直面している方の中には、誰にも相談できず、一人で悩み続けている方も少なくありません。
そのような方にとって、24時間いつでも相談できるAIは大きな助けになることがあります。
2 AIはあなたの味方になってくれる
AIの大きな特徴は、入力された情報をもとに回答することです。
例えば、
「夫は育児をしてくれません」
「妻はいつも私を責めます」
「私はずっと我慢してきました」
と入力すれば、AIはその前提をもとに考えます。
そのため、
「辛かったですね」
「大変な状況ですね」
という形で、気持ちを受け止めながら回答してくれることもあります。
傷ついているときには、そのようなやり取りに救われたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際、気持ちの整理という意味では大きなメリットがあります。
私自身、離婚について誰にも相談できずに悩み続けるよりも、まずAIを活用して考えを整理することには意味があると考えています。
3 離婚問題ではそれが落とし穴になることもある
離婚問題では、多くの方が強い感情を抱えています。
配偶者への怒り。
裏切られた悲しみ。
子どもへの愛情。
将来への不安。
そうした感情を抱えながら、自分の状況を完全に客観視することは簡単ではありません。
例えば、
「私は子どものことを第一に考えてきました」
と思っていても、実際には、
• 日常的な子どもへの関わりは相手も多かった
• 祖父母の支援が大きかった
• 別居後は相手が主に監護している
といった事情が存在することがあります。
もちろん逆の場合もあります。
問題なのは、人は自分に不利な事情を認識しにくいし、積極的には話したくないということです。
しかし、AIは入力された情報をもとに回答します。
そのため、入力されなかった事情は考慮されません。
結果として、状況を客観的に評価するために必要な事情が回答に反映されないことがあります。
4 AIはユーザーの主観を整理するのが得意
実は、AIの本当の弱点は、法律知識の問題ではないかもしれません。
むしろ、
「ユーザーの見ている世界を整理すること」
が得意すぎることにあります。
例えば、
「私は結婚生活において、ひどい目に遭わされている。」
という認識を持っている人がいたとします。
AIは、その認識を前提に文章を整理します。
すると、AIに話した辛い感情のコメントが、説得力のある文章に変わります。
しかし、その文章はあなたの気持ちをきれいに整えた文章であって、離婚手続きに有利な整理とは限りません。
5 裁判所が見ているのは感情よりも事実
離婚調停や離婚訴訟で重要になるのは、
「誰がどれだけ怒っているか」
ではありません。
重要なのは、
• どのような事実があったのか
• その事実を裏付ける資料があるのか
• 第三者から見てどう評価されるのか
です。
例えば、
「私は子どもを愛しています」
という気持ちはとても重要です。
その気持ち自体が否定されるわけではありません。
しかし親権が争われる場面では、
• 誰が保育園へ送迎していたか
• 誰が病院へ連れて行っていたか
• 現在誰が監護しているか
といった具体的な事情も重要になります。
また、
「相手はモラハラでした」
という主張だけでなく、
• どのような発言があったのか
• 記録は残っているのか
• その発言が出た経緯
という点も重要になります。
強く感情が動く場面でこそ、相手や第三者からどう見えるかを、感情を離れて整理する必要が生じます。
6 弁護士は相談者のお話をうかがいながら、必要な事情を確認していきます
弁護士が行っているのは、単に相談者の話を整理することだけではありません。
例えば、
「相手はどう言っていますか」
「なにか証拠になりそうなものはありますか」
「逆に不利になりそうな事情はありませんか」
という確認を行います。
これは意地悪をしているわけではありません。
相手方や裁判所がどう見るかを考えているからです。
離婚手続きで重要なのは、自分の状況を客観的に理解し、交渉や調停、裁判に臨むことです。
AIにだけ相談していると、この客観視の部分が弱くなってしまうことがあります。
7 AIと弁護士は対立する存在ではない
AIか弁護士か。
そのように考える必要はありません。
AIは、
• 気持ちを整理する
• 基礎知識を得る
• 相談前の準備をする
ために役立ちます。
一方で、
• 自分の見通しが正しいのか
• 裁判所からどう評価されるのか
• 自分に不利な事情はないのか
を考える場面では、専門家の視点が役立つことがあります。
8 まとめ
離婚についてAIに相談することは、決して悪いことではありません。
むしろ、気持ちを整理したり、離婚に関する基礎知識を得たりするためには非常に便利なツールです。
もっとも、離婚問題は感情が強く関わる分野です。
AIはあなたの話を整理してくれます。
しかし、離婚手続きで重要になるのは、自分の話を整理することだけではありません。
相手方や裁判所から見た場合に、自分の状況がどのように評価されるかを理解することも重要です。
AIを上手に活用しながら、必要に応じて専門家の視点も取り入れることが、よりよい解決につながるでしょう。
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この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
横浜で離婚問題に携わり12年以上、離婚問題を280件以上解決した実績あり。
あなたの気持ちに寄り添いながら、より良い未来のために、離婚手続きや養育費、慰謝料を親身にサポート。お気軽にお問合せください。
この記事の編集・SEO担当者
阿部絵美(元裁判所書記官)
横浜家庭裁判所で3年間、離婚調停などの家事事件を担当。
裁判所での実務経験を踏まえ、弁護士細江智洋の法律解説に、
「調停の現場で実際に起きていること」が伝わる視点を加えて編集しています。
※法律解説は弁護士監修です。















