離婚コラム|横浜の離婚に強い弁護士 細江智洋がわかりやすく解説

2025.11.04更新

離婚コラム57

 

離婚後のお子さんとの生活を考えるうえで、もっとも重要なテーマが「親権」です。
ニュースなどで耳にする機会は多いものの、「親権ってそもそもどういう意味?」「監護権との違いは?」と疑問を感じる方も少なくありません。ここでは、離婚を考えている方が知っておくべき親権の基本知識と、注意しておきたいポイントをわかりやすく解説します。

 

■ 親権とは?法律上の定義と内容
親権とは、未成年の子どもが大人になるまでの間、子どもを監護・教育し、その財産を管理する権利と義務のことを指します。
法律(民法第820条など)では、「子の利益のために親権を行使すべき」と定められており、親の権利というよりも“責任”の側面が強い権限です。
親権の中には、大きく分けて次の2つの内容が含まれます。
1. 身上監護権(子どもの生活・教育・しつけなど)
2. 財産管理権(子どもの財産を管理する権利義務、法律行為を代理・同意する権限)
身上監護権には、子どもの日常生活の世話や教育、医療同意などの権限が含まれます。
一般的に「監護権」と呼ばれることもあり、具体的にはたとえば子どもの食事や通学の世話、病院への付き添い、生活リズムを整えることなど、実際に子どもを育てるための権限を指します。
一方、財産管理権は、子ども名義の預貯金を管理したり、契約や相続の手続きを行ったりするときに必要な権限です。
つまり、親権は法律的な決定から日常的な養育までを幅広く含むものであり、親が子どもの利益を守るために行使する「包括的な責任」といえます。

 

■ 離婚後の親権はどちらか一方の親に
現在の日本の法律では、離婚後は父母のどちらか一方しか親権者になれません
協議離婚の場合、親権者を話し合いで決め、離婚届に記載する必要があります。もし話し合いでまとまらなければ、家庭裁判所の調停・審判で決定されます。
家庭裁判所が親権者を判断するときに、最も重視されるのが「子の福祉」です。
具体的には、
• 現在の子どもの監護状況(どちらが主に世話をしているか)
• 父親あるいは母親の住環境や経済力
• 子どもへの愛情や養育への意欲
• 子どもの年齢や意思(特に10歳以上の場合)
などを総合的に考慮して判断されます。
もっとも、今後は法律改正(2026年5月までに施行)により、一定の条件のもとで離婚後も父母がともに親権を持つ「共同親権制度」が導入される予定です。これにより、父母の両方が子どもの養育に関われるようになりますが、子どもの安定した生活への配慮といった課題はあります。

 

■ 親権をめぐるトラブルを防ぐために
親権は子どもの将来につながる大切な問題です。離婚協議では感情的になりやすく、「相手に渡したくない」「一緒に住みたい」という思いが先行してしまうことも少なくありません。
離婚後に親権を持たない親であっても、養育費の支払いや面会交流を通じて、子どもと関わり続けることはできます。親権を決めるうえで重要なのは、「どちらがより子どもの利益になるか」という視点です。

親権や監護権をめぐる判断には、家庭裁判所の実務や法律知識が大きく関わります。将来のトラブルを防ぐためにも、早めに弁護士へ相談し、冷静に対処することが大切です。

 

■ まとめ:まずは弁護士に相談を
親権は「父母のどちらが子どもを引き取るか」という単純な問題ではなく、離婚後の子どもの利益を最優先に考える法的制度です。親として、子どもが安心して成長できる環境をどう整えるかを意識して決断することが大切です。
また「共同親権制度」は父母が協力して子どもを養育できる制度として期待されていますが、制度が変わると分かりにくい点も増えていくため、早めに専門家に相談して、自分の状況に合った方法を一緒に考えることが大切です。
弁護士細江智洋は、これまでの豊富な離婚・親権問題の経験をもとに、依頼者の事情に寄り添った解決をサポートしています。
親権や監護権の詳細について知りたい方は、ぜひこちらのページもご覧ください。
→親権・監護権について詳しく見る

 

この記事を担当した弁護士

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

 

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