
面会交流と親権の関係 | 離婚後の子どもを守る基本知識
離婚を考えている方や、別居を始めたばかりの方から、
「親権がないと子どもに会えないのでは?」というご相談をよくいただきます。
お子さんのことを大切に思うからこそ、離婚後の生活がどうなるのか心配になるのは当然です。
そこで今回は、面会交流と親権の関係性について、できるだけ丁寧に、分かりやすくお伝えします。基本的な仕組みを知っておくことで、今後の見通しが立ちやすくなります。
■ 親権とはどんな権利?
「親権」とは、子どもの生活を守り育てるための大切な権限のことです。教育の方針を決めたり、医療に関する判断をしたりと、子どもの成長に大きく関わる責任です。
また、親権とは別に、実際に子どもと一緒に暮らし、日々のお世話を行う「監護権」という考え方もあり、ご家庭の事情によっては親権と監護権を分けることもあります。
■ 面会交流とは?
「面会交流」とは、別々に暮らす親子が、会ったり連絡を取り合ったりすることをいいます。
会うだけでなく、電話やSNS、手紙やメッセージのやりとりなど、子どもの気持ちに合わせてさまざまな方法が選べます。
近年は、子どもが両方の親と関係を維持することがより重視されるようになり、面会交流は離婚後の子育てに欠かせないものとなっています。
■ 親権と面会交流は別の問題です
結論からお伝えすると、
親権が無くても、子どもに会えないわけではありません。
親権と面会交流は別々に考えられています。
裁判所は、子どもの安全が脅かされるような特別な事情がない限り、面会交流は行う方向で判断します。
■ 面会交流が制限されることもある
とはいえ、どの家庭でも同じように面会交流が進むわけではありません。例えば、
• 子どもが強く拒否している
• 面会交流をすることによって子どもが精神的に不安定になる可能性がある
• もともと暴力や虐待が疑われる
• 子どもを連れ去る可能性がある
こうした場合には、面会の方法を工夫したり、一定期間面会交流を控えたりする場合あります。判断の基準になるのは、いつでも子どもの利益です。
■ 面会交流の決め方と進め方
面会交流は、基本は父母の話し合いで決めますが、別居や離婚を前提とした話し合いでは話がまとまりにくいことがあります。
そのようなときには、次のような方法があります。
● 調停で第三者に入ってもらう
家庭裁判所の調停を利用すれば、調停委員が間に入り、双方の意見を整理しながら無理のない形を一緒に考えてくれます。
● 子どもの成長に合わせた柔軟な対応
幼いお子さんであれば短時間の面会交流にしたり、小学生以上なら予定を踏まえて月に数回にしたり、年齢にあわせた方法が大切です。
● 支援機関の利用
連れ去りが心配な場合や、両親が顔を合わせるのが難しい場合には、NPOなどの支援団体や、子育て支援センターなどの第三者機関を利用することができます。
■ 2026年4月から共同親権が選択可能に
法律改正により、2026年4月から共同親権を選べる制度が始まります。
共同親権は、離婚後も父母が共に子どもの大切な決定に関わる制度です。
ただし、日々の子どもの世話を父母のどちらかが主に担う点は変わらないため、離れて暮らす親との面会交流は今後も非常に重要です。
両親が協力して子どもの養育に関わる考え方が広がることで、面会交流も、より慎重に考えられるようになると思われます。
■ 困ったときは弁護士のサポートを
面会交流はお子さんの気持ちが大切ですが、親同士が冷静に話し合うことができない時期に決めるのは簡単ではありません。
調停や話し合いが負担に感じるときは、弁護士がサポートすることで進めやすくなります。
不安を抱えたままにせず、どうか一人で悩まないでくださいね。
面会交流の仕組みや注意点をさらに知りたい方はこちらもご覧ください。
→面会交流についての解説ページ
この記事を担当した弁護士

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。















