離婚コラム|横浜の離婚に強い弁護士 細江智洋がわかりやすく解説

2025.11.16更新

離婚コラム61

 

離婚を夫婦の話し合いでまとめられない場合、家庭裁判所で「離婚調停」を申し立てることができます。
しかし、「調停はどれくらいの期間がかかるのか」「仕事や育児に支障はないのか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、離婚調停にかかる平均的な期間や、調停が長引くケース・円滑に進むためのポイントについて、弁護士が分かりやすく解説します。

 

離婚調停の平均期間はおよそ6か月前後
家庭裁判所が公表する令和5年度司法統計によると、離婚調停が成立または不成立に至るまでの平均期間はおよそ6か月~1年程度です。
ただし、実際には3か月ほどで終わるケースもあれば、1年以上かかるケースもあります。
通常、離婚調停は1〜2か月おきに1回開かれるのが一般的です。
たとえば、月1回のペースで調停期日が3〜5回程度開かれた場合、半年ほどで結論が出るという計算になります。

 

調停が長引く原因とは
離婚調停の期間が通常より長くなる主な理由には、以下のようなものがあります。
1. 争点が多い場合
 離婚するかどうかだけでなく、親権・養育費・財産分与・慰謝料など、複数の問題を同時に話し合う必要がある場合は時間がかかります。
2. 相手が出席しない・話し合いに応じない場合
 相手方が期日に欠席する場合、あるいは話し合いが平行線のまま進まない場合は、次回期日までの間隔が長くなりがちです。
3. 資料の提出や財産調査に時間がかかる場合
 不動産や預貯金の調査、収入証明などが必要な場合、書類の取り寄せに時間がかかることがあります。
4. 家庭裁判所の混雑
 地域や時期によっては、家庭裁判所のスケジュールが立て込んでおり、次の期日まで数か月空くこともあります。

 

できるだけ円滑に進めるためにできること
離婚調停は、長引けば長引くほど精神的にも肉体的にもお互いの負担が大きくなります。
話し合いが進まないまま何か月も過ぎると、生活や仕事に支障が出ることもあり、相手との関係がさらに悪化してしまうケースもあります。
だからこそ、できるだけ円滑に調停を進めるための準備が大切です。
• 主張や希望を整理しておく
 「どんな条件で離婚したいのか」「譲れない点は何か」を明確にしておくと、調停がスムーズに進みます。
• 必要書類を早めにそろえる
 婚姻費用・養育費・財産分与などを求める場合には、収入や資産を数字やデータで示す資料を準備しておくことが重要です。
• 弁護士に相談する
 弁護士に依頼すれば、法律的に整理された主張を調停委員に伝えられるため、話し合いが脱線しにくくなります。
 また、弁護士が間に入ることで感情的な対立を避けられ、必要な資料の収集や交渉の進め方も的確にサポートしてもらえます。
 その結果、調停全体がよりスムーズに進み、納得のいく解決に近づきやすくなります。

 

調停が不成立だった場合はどうなる?
調停で合意に至らなかった場合、「調停不成立」となり、審判や離婚裁判へ進むこともあります。
ただし、調停で話し合った内容はその後の裁判に活かされることも多く、無駄にはなりません。
離婚調停の流れや、申し立てから解決までのステップについては、下記ページで詳しく解説しています。
➡ 離婚調停の解説はこちら

 

まとめ
離婚調停は平均で6か月前後かかるのが一般的ですが、争点が多い場合や準備が不足した場合は1年以上に及ぶこともあります。
長期化すれば心身の負担が大きくなるため、早めに弁護士の力を借りて、効率よく進めることが重要です。
調停はあくまで「話し合いの場」です。感情的にならず、落ち着いて対応することが解決への近道です。
不安や疑問がある場合は、離婚問題に詳しい弁護士細江智洋にご相談ください。
豊富な経験をもとに、あなたの状況に合わせた最適な解決策をご提案いたします。

 

この記事を担当した弁護士

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

2025.10.08更新

離婚コラム48

 

離婚調停は、多くの方にとって初めての経験ではないでしょうか。
「調停委員から何を質問されるのだろう?」
「どう答えればいいんだろう…」
そんな気持ちを抱えて、当日を迎える方がほとんどです。今回は、離婚調停の当日に聞かれる一般的な質問内容と、その答え方のポイントを弁護士の視点からわかりやすく解説します。

 

1. 調停で必ず聞かれる基本的な質問
離婚調停は、家庭裁判所で行われ、男女1名ずつの調停委員が中心となって話し合いを進めます。最初に、次のような基本情報を確認されます。
• 結婚した経緯(円満だった時期はあるか,破綻した理由は何か)
• 現在の同居・別居状況(別居している場合、別居期間はどのくらいか)
• 子どもの有無と養育状況(健康状態,誰が子どもの世話をしているか)
• 夫婦の生活費(婚姻費用)の支払い状況(誰が生活費を負担しているか)
この質問は事実確認の意味が大きいので、正直に、簡潔に答えることが大切です。難しく考える必要はなく、「はい」「いいえ」に少し補足を加える程度で十分です。

 

2. 離婚理由についての質問
次に多く聞かれるのが「なぜ離婚を考えているのか」という点です。
性格の不一致、不貞行為、モラハラ、経済的な問題など、人によって事情はさまざまです。
ここでのポイントは、事実を整理してはっきり端的に調停委員に伝えること。
例えば、配偶者の不貞行為が理由であれば、
「夫(妻)の不貞行為があり、証拠となるメールや写真があるため、信頼関係の修復は困難だと考えています」
と感情的にならずに具体的に述べることで、説得力を持たせることができます。

 

3. 子どもに関する質問
未成年のお子さんがいる場合は、特に丁寧に聞き取りが行われます。
• 親権はどちらが持つのが適切か
• 現在の子どもの生活環境(住居・学校・健康面など)
• 面会交流の希望(どのくらいの頻度で会わせたいか)
ここでは、子どもの利益を第一に考えていることを示すことが大切です。
「自分が親権を取りたい」という希望を前面に出すよりも、
「子どもにとって安定した環境を守るために、自分が親権を持つのが望ましいと考えています」と答えると、調停委員の心証も良くなります。

 

4. 財産や生活費についての質問
離婚にあたって必ず取り上げられるのが「金銭面の問題」です。
• 婚姻費用(別居中の生活費)を誰がいくら負担するか
• 養育費はいくらが妥当か、いつまで支払うか
• 財産分与の対象となる資産は何か
これらの点は感情よりも数字が重視されます。収入(給与明細)、預貯金(預金通帳のコピー)あるいは不動産(登記事項証明)など、証拠資料を整理しておくとスムーズです。
さらに調停の場では、調停委員から「財産の内容や名義」「住宅ローンなどの残債」「生活費の支払実績」について実際の数字を聞かれることがあります。そのため、単に「家は夫名義です」と答えるだけでなく、「夫名義でローンの残債が○○万円ある」など、数値を伴って具体的に答えられるよう準備しておくと安心です。

 

5. 答え方の基本姿勢
離婚調停に臨むうえで、共通して大切な心構えは次の3つです。
 1. 事実を正確に伝える
嘘やごまかしは、後で矛盾が生じてしまい不利になります。
 2. 冷静で落ち着いた態度を取る
感情的になると本来伝えるべき事実が調停委員に伝わりにくくなります。
 3. 自分の希望を具体的に伝える
「子どもと一緒に暮らしたい」ではなく、
「親権を希望し、週末は相手方との面会交流の時間を設けたい」など、具体的に伝えましょう。

 

まとめ:準備と心構えで不安を軽く
離婚調停の流れや質問内容を事前に知っておけば、不安は大きく減らせます。
特に「離婚理由」「子どものこと」「生活費や財産のこと」「離婚理由」はしっかり整理しておく必要があります。
早い時期に弁護士に相談することで、調停での答え方や必要書類の準備について具体的なアドバイスを受けられます。不安な方はぜひ一度、弁護士細江智洋にご相談ください。
→手続きについて詳しくはこちら:離婚相談・離婚調停について

 

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
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2025.10.05更新

離婚コラム47

 

「離婚調停を考えているけれど,どんな書類が必要なんだろう?」
そんな疑問を持つ方は少なくありません。離婚調停は家庭裁判所で行う正式な手続きですが,事前に必要書類をきちんと揃えておけば,とてもスムーズに進みます。逆に,「あの書類が必要だった」となってしまうと,手続きが途中で止まってしまったり,余計に時間がかかってしまったりすることも。
ここでは,離婚調停に必要となる主な書類と,合わせて準備しておくと安心な資料を,できるだけ分かりやすくまとめました。

 

1. 離婚調停申立書
これは家庭裁判所に提出する“基本の書類”です。家庭裁判所の窓口やホームページから書式を入手でき,氏名・住所・結婚した年月日・子どもの有無・調停を申し立てる理由などを記入します。
「ここはどう書いたらいいの?」と迷うことも多いため,必要に応じて弁護士に確認しながら準備すると安心です。

 

2. 戸籍謄本
夫婦が結婚していることを証明するために必要です。本籍地の役所で取得でき,発行から3か月以内のものを用意しましょう。最近では,マイナンバーカードをお持ちであれば,「コンビニ交付サービス」を利用して戸籍謄本を取得できる場合もあります。役所の窓口が開いていない時間帯でも取得できるので,忙しい方に便利です。

 

3. 住民票
裁判所から相手の住所に書類を送るために必要になる場合があります。こちらも戸籍謄本と同様に,役所で,あるいはコンビニ交付サービスを利用して取得できます。


4. 子どもに関する書類
お子さんがいる場合は,親権や養育費,面会交流について話し合うことが多くなります。
そのため,学校の在学証明書や,習い事・医療費の領収書などがあるとよいでしょう。子どもの生活にどの程度費用がかかっているかが分かる資料があれば,調停を進めやすくなります。

 

5. 財産に関する書類
財産分与や生活費の分担を話し合う場合には,次のような資料が役立ちます。
• 預貯金通帳のコピー
• 不動産の登記事項証明書
• 生命保険や年金保険の記録(将来の受取金額が財産分与の対象になります)
• 厚生年金や国民年金の記録(年金分割の対象になる場合があります)
• 給与明細や源泉徴収票
• 住宅ローンや自動車ローンの契約書
具体的な数字や証拠があると,客観的に話し合うことができます。

 

6. 夫婦間のトラブルを裏付ける資料
調停では,夫婦間のトラブルが大きな争点になる場合には,次のような証拠があると調停委員にも事情を理解してもらいやすくなります。


DV(家庭内暴力)の証拠:病院の診断書やけがの写真,警察に相談した記録
暴言やモラハラの証拠:LINEやメールでのやり取り,録音データ
不倫の証拠:交際を示すメッセージや写真,ホテルの領収書
金銭トラブル:高額な買い物の領収書や使い込みが分かるクレジットカード明細
生活費を渡さない証拠:通帳に入金がない記録,水道光熱費・授業料などの滞納通知など

 

書類を揃えるのが大変…そんなときは
役所での書類取得や資料の整理など,離婚調停の手続きは,初めての方にとって負担になることも多いものです。そんなときは,早めに弁護士へご相談ください。必要な書類を一緒に確認し,整理するお手伝いをいたします。

 

まとめ
離婚調停に必要な主な書類は、
• 離婚調停申立書
• 戸籍謄本
• 住民票
• 子どもや財産に関する資料
• トラブルを裏付ける証拠資料
です。これらをしっかり準備することで,落ち着いて調停を進めやすくなります。

「自分はどんな書類を集めたらいいの?」と迷ったら,弁護士細江智洋へお気軽にご相談ください。
当事務所の離婚相談・離婚調停に関する詳しいご案内はこちらからご覧いただけます。
→離婚調停について詳しくはこちら

 

 

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
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2025.10.02更新

離婚コラム46

 

離婚を考えている方の中には、裁判所での「離婚調停」を利用する方も多くいらっしゃいます。しかし、実際に手続きを始めるとなると「費用がいくらかかるのだろう?」「想定外の出費になるのではないか」と心配になる方も少なくありません。
この記事では、離婚調停に必要な費用の内訳を分かりやすく解説し、特に横浜エリアにおける弁護士費用の相場もご紹介します。

 

1. 離婚調停に必要な基本的な費用
・申立手数料(収入印紙代)
離婚調停を申し立てる際には、「申立手数料」を裁判所に納める必要があります。具体的には 1,200円分の収入印紙 を申立書に貼り付けます。これは全国共通の定められた金額で、誰でも同じです。
・郵便切手代(予納郵券)
裁判所から相手方に書類を送付するための費用として、1,000円〜2,000円程度 の郵便切手を裁判所に納めます。金額や枚数は家庭裁判所ごとに異なるため、申し立てを行う裁判所で事前に確認しておくと安心です。
・書類取得費用
離婚調停の申し立てには、夫婦の戸籍謄本などの添付書類が必要です。これらの取得には、1通数百円程度の費用がかかります。
これら裁判所関連の費用は、すべて合わせても数千円程度に収まることがほとんどです。

 

2. 横浜エリアの弁護士に依頼する場合の費用相場
離婚調停はご自身だけで進めることも可能ですが、専門知識を持つ弁護士に依頼する方も多くいらっしゃいます。弁護士に依頼することで、書類の作成や主張の整理、調停期日の代理出席などをしてもらえるため、安心して進められます。
横浜の弁護士費用の相場は次のとおりです。
着手金:33万円〜44万円以上
報酬金:33万円〜66万円以下(経済的利益がある場合には加算されることもあります)
実費:交通費や書類送付,資料取得にかかる費用など、数千円〜数万円程度
これらを合算すると、離婚調停全体での弁護士費用は80万円〜100万円前後になるケースが一般的です。全国的な水準とも大きく差はなく、横浜エリアでもおおよそ同じ目安で考えてよいでしょう。

 

3. その他にかかる可能性のある費用
場合によっては、次のような追加費用をご自身で負担することがあります。
• 財産分与や慰謝料に関する調査費用
• 探偵の調査費用
• 書類を揃えるための交通費や調査費用
• 調停が不成立となり、その後に離婚訴訟へ移行する場合の追加費用
ケースによって費用は変わりますので、見通しを立てるためには弁護士へ早めに相談することが大切です。

 

4. 費用を抑える工夫
「弁護士費用が大きな負担になるのでは」と心配される方も多いでしょう。次のような工夫で、費用面の不安を軽減することが可能です。
 1. 弁護士費用の分割払いや一部後払いに対応
 当事務所では、依頼者のご状況に応じて 分割払いや一部後払いにも柔軟に対応しております。まとまった費用をすぐに用意することが難しい場合でも、まずは一度ご相談ください。
 2. 見通しを明確にした初回相談
 費用の見通しを早めに立てることで、調停の長期化や不必要な出費を防ぐことができます。当事務所では、初回の法律相談で方針や想定される費用を丁寧にご説明します。
 3. 法テラスの利用を検討されている方へ
 一定の収入基準を満たす場合、日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助制度を利用することで、調停手続きにかかる弁護士費用を一時的に立て替えてもらえる制度があります。
ただし、法テラスを利用するためには、対応している弁護士に依頼する必要があります。当事務所は法テラスとの契約は行っておりませんが、費用の分割払いや柔軟な対応についてはご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください。

 

まとめ:安心して調停に臨むために
離婚調停にかかる費用は、裁判所に納める少額の費用に比べたら、弁護士費用の割合が大きくなります。
そのため「本当に依頼する価値があるのか」と迷われる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、弁護士に依頼することは一定の費用がかかるものの、それ以上に得られるメリットが多くあります。
• 調停において主張や希望を適切に伝えられるようサポートしてもらえる
• 専門知識に基づいて主張や証拠を整理し、法的根拠に基づいた主張ができる
• 相手方と直接交渉する必要が無いため精神的な負担を軽くできる
• ご本人が調停に出席できない場合でも、代理人として弁護士が対応できる
こうしたサポートによって、安心して調停に臨むことができ、結果的に時間や精神的な負担を減らせます。
「費用がかかっても、安心して調停を進めたい」「相手と直接やり取りせずに解決したい」とお考えの方は、ぜひ当事務所の法律相談をご利用ください。あなたにとって最適な解決方法を、一緒に探してまいります。
詳しくはこちらのページもご覧ください:
→離婚調停について(みなと綜合法律事務所)

  

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2025.09.29更新

離婚コラム45

 

「夫婦で話し合っても解決しない」「相手が離婚届に判を押してくれない」――。離婚を考えるとき、多くの方がこのような悩みにぶつかります。
離婚を検討される方の中には、「これからの生活を自分らしく送りたい」「年金や財産の分け方をきちんと決めたい」といった不安やご希望を抱える方も少なくありません。そんなときこそ家庭裁判所での離婚調停を利用しましょう。ここでは、申し立てから終了までの流れを分かりやすく解説します。

 

1. 離婚調停とは?
離婚調停は、家庭裁判所で「調停委員」という中立的な第三者を交えて話し合う制度です。
• 感情的になりにくく、落ち着いて進められる
• 財産分与や年金分割、慰謝料、親権など幅広く対応
• 合意した内容は裁判所の文書となるため、強い効力を持つ
このような仕組みにより、夫婦間だけでは難しい問題も解決できます。

 

2. 申し立ての方法
離婚調停を始めるには、家庭裁判所に「調停申立書」を提出します。
申立てをする裁判所は、相手が住んでいる地域の家庭裁判所です。たとえば相手が東京に住んでいれば東京家庭裁判所、横浜に住んでいれば横浜家庭裁判所、というように相手の住所で決まります。
費用は数千円程度で、「離婚」「財産分与」「慰謝料」「年金分割」など話し合いたい内容を記載した申立書を作成します。

 

3. 調停期日の流れ
調停は1か月から1か月半ごとに1回のペースで開かれます。
1. 夫婦は別々の部屋で待機できる
2. 当事者は交互に調停室に入り、調停委員がそれぞれの話を一人ずつ聞く
3. 調停委員が公平かつ中立的な立場から合意をサポートする
当事者同士が顔を合わせずに進められる点も安心です。

 

4. 調停成立後の手続き
合意ができた場合「調停調書(ちょうていちょうしょ)」が作成され、判決と同じ効力を持ちます。相手が財産分与や慰謝料を支払わない場合でも、この調書を使えば財産の差押えなどの強制執行が可能です。
離婚を成立させるには、「離婚届」と「調停調書の謄本」を調停成立から10日以内に役所へ提出します。離婚届に相手の署名は不要ですが、提出する本人は署名が必要です。相手の協力がなくても、調停調書の謄本を添えれば正式に離婚できます。

 

5. 調停が不成立の場合
調停で話し合いがまとまらなければ「調停不成立」となり、その後離婚訴訟に進むかを検討することになります。

 

6. 調停にかかる期間
平均で半年から1年程度です。財産分与や年金、親権など複雑な問題があって話し合いが難航する場合は長引くこともあります。

 

7. 弁護士に相談するメリット
調停は一人でも手続きを進められますが、
• 離婚後の財産や年金の分け方についてよく理解していない
• 相手が感情的に強く主張してきて、うまく交渉できるか心配
• 財産や年金の資料を揃えるのに時間がかかり、調停が長引いてしまいそう
といった心配を抱える方も少なくありません。弁護士がいれば調停に提出する書類やご自分の主張を整理でき、安心して調停に臨めます。

 

まとめ
離婚調停は、夫婦だけでは解決が難しい離婚に関する問題を冷静に整理し、新しい生活へスタートを切るための制度です。
ご自分がいざ始めるとなると「私の場合はどうなるの?」「どんな書類が必要になるの?」と疑問や不安が出てくるものです。「自分の場合はどうなるのか詳しく知りたい」と思われた方は、一人で悩まずにまず弁護士へご相談ください。専門家と一緒に進めることで、確実な手続きと納得のいく解決につながります。
→離婚調停の流れについて詳しくはこちら

 

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2025.06.22更新

離婚コラム12

 

配偶者からのモラルハラスメント(モラハラ)に苦しめられ、「もう離婚したい」と思いながらも、どういった手続きを踏めば良いのか不安を感じている方は多いものです。
中でも、「離婚調停」と「離婚裁判」の違いは分かりづらく、どちらを選ぶべきか迷われる方も少なくありません。
この記事では、モラハラ離婚における調停と裁判の違いを分かりやすく解説し、それぞれのメリット・デメリットを踏まえながら、状況に応じた適切な選択のポイントをご紹介します。

 

離婚調停とは?|家庭裁判所での話し合い
離婚調停は、家庭裁判所において調停委員(当事者双方の言い分を公平に聞く中立者)が間に入り、当事者双方の話し合いを支える制度です。裁判とは異なり、双方の合意が前提となるため、比較的柔軟な解決が可能です。


【モラハラ事案では弁護士の同席が安心材料に】
モラハラ加害者は、外面が良く調停の場で虚偽の主張をしたり、問題を小さく見せようとしたりすることがあります。一方で、長い間精神的に支配されてきた被害者は、調停委員の前で自身の主張を上手く伝えることが難しい場合も少なくありません。
しかし、弁護士が同席することで、被害者の気持ちを整理し、調停委員に対する適切な主張が可能になります。また、法的なアドバイスをその場で受けることができるため、安心して調停に臨むことができます。

 

離婚裁判とは?|調停が不成立となった場合の法的手続き
離婚裁判は、調停で合意しなかった場合に、家庭裁判所の裁判官が証拠に基づいて離婚の可否を判断する手続きです。
日本の裁判所では原則として「調停前置主義」がとられており、離婚裁判は調停を経てからでないと起こすことができません。そのため、モラハラ事案であっても、一般的な流れはまず調停を行い、話し合いが成立しなかった場合に裁判に進みます。
【モラハラの証拠と慰謝料請求】
モラハラを原因とする離婚裁判では、「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるかどうかが審理されます。暴言や人格否定など、継続的な精神的暴力の事実を裏付ける証拠(日記、音声データ、LINEのやり取りなど)が極めて重要です。
また、モラハラによって精神的な苦痛を受けた場合は、慰謝料を請求することも可能です。慰謝料請求は、離婚裁判の中で同時に主張することができ、裁判所が判断します。

 

どちらを選ぶべき?|状況に応じた判断を
以下のような基準で、調停あるいは裁判いずれかの選択を検討してみましょう。

離婚コラム12表

 

いずれにしても、弁護士が代理人になることで冷静かつ戦略的な対応ができるため、精神的負担が軽くなります。

 

不安を一人で抱えず、まずは相談を
モラハラ事案は、精神的な苦痛が目に見えにくいため、状況を適切に伝えることが難しい場合が多くあります。しかし、法律の専門家に依頼することで、ご自身の権利を正しく主張し、適切な手続きを選ぶことができます。
「私のケースは調停で解決できるの?」「慰謝料は請求できるの?」そんな不安や疑問をお持ちの方は、ぜひ以下のページをご覧ください。


→モラハラ離婚に関する詳しい解説はこちら

 

誰にも相談できずに一人で悩んでいる方こそ、まずは一歩を踏み出してみてください。未来を切り開くサポートが、ここにあります。

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2025.06.16更新

離婚コラム10

 

「人格を否定されるような言葉を浴びせられる」「毎日のように無視され、威圧的な態度を取られる」――
このような精神的な暴力、いわゆるモラルハラスメント(モラハラ)に苦しみ、離婚を決意される方が増えています。
その際、多くの方が「離婚調停」という手続きに直面します。
モラハラ加害者は、家庭内では高圧的な態度を取ることが多い一方で、外では理性的に振る舞い、離婚調停でも「常識的な人物」を装います。
調停の場で被害者の方が感情的になってしまうと、調停委員からの信頼を損ねてしまう可能性もあります。
調停を有利に進めるためには、落ち着いて事実を伝えることに加え、証拠の準備と心の備えが非常に重要です。

 

■ 証拠集めは“見える化”がカギ
モラハラは発言や態度によるため、目に見える傷がなく、周囲に理解されにくいという難しさがあります。そのため、調停で有利に立つには客観的な証拠が不可欠です。
有効なものとしては:
• 暴言や威圧的な言動の音声データ
• LINE・メールなどの攻撃的なメッセージの記録
• 精神的な被害を日々記録した日記
• 心療内科などの診断書
モラハラが行われている日付や状況がわかる形で普段から証拠を集めておくことが大切です。


■ 調停で気をつけたい3つの注意点
① 感情的にならず、事実を伝える
被害の訴えが正当であっても、悲しみや怒りをそのままぶつけてしまうと、調停委員に「冷静な話し合いができない人」と誤解されてしまうことがあります。
相手の態度に腹が立っても、事実を冷静に伝える姿勢を意識しましょう。


② 相手の挑発に乗らない
モラハラ加害者は、調停でも「嘘ばかり言っている」「被害妄想だ」などと発言し、あえて怒らせるような挑発をしてくることがあります。
そこで反論して口論になってしまうと、調停委員に「どちらも悪い」と受け取られ、モラハラ構造を理解してもらいにくくなります。
こうした挑発に乗らず、落ち着いて調停委員へ説明することが大切です。精神的に辛い場合は、できる限り書面での説明にする、弁護士に依頼して発言を任せるなどの方法もあります。


③ 自分の安全と心の安定を最優先にする
調停は長い期間、複数回行われ、精神的にも体力的にもストレスが大きくなります。
「早く終わらせたい」と思って相手に妥協してしまうと、後々後悔することにもなりかねません。
心身の不調を感じた場合は無理をせず、医師の診断書をもとに期日の延期を申し出たり、Web調停や電話調停を検討したりすることも可能です。
「交渉を成立させること」よりも、「自分の人生を守ること」が何より大切です。


■ 弁護士のサポートは大きな安心に
調停では、被害の背景を正しく主張することが必要とされます。しかし被害者ご本人がその役割を果たすのはとても難しいことです。
信頼できる弁護士が代理人となることで、法的根拠に基づいた主張を行い、主張の信頼性を高めることができます。
また、書類の作成や調停の進行も弁護士が担うため、精神的な負担を大きく軽減することができます。
モラハラ離婚を有利に進めたい方は、一人で抱え込まず、専門家の力を借りて進めることをおすすめします。
弁護士細江智洋が、あなたの立場に立ち、最善のサポートをいたします。


→モラハラ離婚の詳しい情報はこちら

 

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