離婚コラム|横浜の離婚に強い弁護士 細江智洋がわかりやすく解説

2026.03.02更新

離婚コラム93

 

Q. 親権がないと進学先の決定や病院での同意もできない?
「離婚後、子どもの親権は相手にあるけれど、進学先を決めたり、病院での医療行為に同意したりすることはできないのだろうか」
このような心配を抱えている方は、決して珍しくありません。
親として子どもを大事に思う気持ちがあっても、「親権がない」というだけで、何も関われないのではないかと感じてしまうこともあるでしょう。
ここでは、進学や医療の場面を例に、親権がない場合の関わり方や、4月から始まる共同親権について、分かりやすくご説明します。

 

親権とは、どこまでを決める権利なのでしょうか
親権とは、未成年の子どもを守り育てるために、法律で定められた権利と義務のことです。
具体的には、次のような重要な判断をすることです。
• 進学先や転居など、子どもの将来に関わる決定
• 手術など重要な医療行為への同意
• 子どもの財産管理 など
これまで日本では、離婚後はどちらか一方の親が親権を持つ「単独親権」が原則でした。
そのため、基本的な考え方として、法律上の最終的な決定権は親権者にあります。

 

親権がない場合、進学先の決定には関われないの?
結論から言うと、最終的な決定は親権者が行うことになります。
ほとんどの場合、学校への入学手続きや書類への署名は、親権者でなければできないのが実情です。
ただし、親権がないからといって、進学について意見を伝えることはできます。
監護権を持ち実際に子どもと生活している場合や、面会交流などを通じて継続的に子どもの生活に関わっている場合には、その意見が尊重され、親権者との話し合いの中で進学先が決まることも多くあります。
「決める権利」と「子どもの将来を考える立場」は、必ずしも同じではない、という点は知っておいてよいでしょう。

 

病院での同意や手続きはどうなるのでしょうか
基本的な考え方は、病院での同意についても進学先の決定と同じです。
手術など重要な医療行為については、原則として親権者の同意が求められます。親権を持たない親が反対していたとしても、法律上の決定権は親権者にあります。
一方で、日常的な通院や緊急の治療については、親権がない親が対応できる場合があります。
単独親権では「誰が最終的に決めるのか」は明確ですが、手続きを円滑に進めるためには親同士が冷静に話し合える関係を保つことが重要です。

 

2026年4月から選べるようになる「共同親権」ではどう変わるのか
2026年4月から、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を選択できるようになります。
共同親権を選んだ場合、進学先の決定や重要な医療行為については、父母が話し合い、共同で判断することが原則となります。
これは、どちらかの親を排除する制度ではなく、両親がともに子どもの将来に責任を持つという考え方に基づくものです。
もっとも、日常的な通院や学校生活に関する細かな判断まで、すべて共同で決めなければならないわけではありません。
ただし、意見が対立した場合には双方の合意が原則となるため、話し合いがまとまるまで手続きが進まない場合もあります。このように、制度そのものよりも、話し合いが十分にできる関係かどうかが大きなポイントになります。
そのため、共同親権を選ぶ場合には、
• 進学先はどのように協議するのか
• 通院の付き添いや学校への対応はどちらが行うのか
• 何日以内に返答するのか
といった基本的なルールをあらかじめ決めておくことが大切です。

 

親権がなくても、子どもとの関わりは続きます
親権がないと、進学や重要な医療行為の最終判断はできませんが、それは「親ではなくなる」という意味ではありません。実際には、面会交流や日常的な連絡を通じて子どもと関わり続けているご家庭も多くあります。
大切なのは、法律上できること・できないことを正しく理解したうえで、子どもにとって安心できる関わり方を考えていくことです。
親権や監護権について、より詳しく知りたい方は、
親権・監護権のページも参考になさってください。

この記事を担当した弁護士

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

2026.03.01更新

離婚コラム92

 

親権変更に必要な理由とは
離婚時に決めた親権について、
「今の環境は本当に子どものためになっているのだろうか」
「生活が変わり、親権はこのままでよいのか不安」
このようなお気持ちから、親権の変更を考え始める方は少なくありません。
もっとも、親権は一度決まると、簡単には変更できません。
親権者の変更が家庭裁判所で認められるには、法律で定められた要件を満たす必要があります。この記事では、親権変更が認められるための要件や、裁判所がどのような点を重視するのかを具体的に解説します。

 

親権変更の要件は「子の利益のため」
親権者の変更が認められるのは、民法で「子の利益のため必要があると認めるとき」と定められています。父母の希望や都合よりも、あくまで子どもの健全な成長と福祉にとって変更が必要かどうかが最優先で判断されます。生活環境が頻繁に変わることは子どもにとって大きな負担となるため、裁判所は変更の必要性を慎重に判断します。

「前より経済的な余裕ができた」
「やはり親権を取りたい、自分が育てたい」
といった理由だけでは、裁判所で親権変更は認められません。


現在の親権者が育児をほとんど行っていない場合
「育児をほとんど放棄している」と判断されるのは、単に忙しくて育児が出来ていないという程度ではありません。
日常的な養育が継続して行われていない状態が問題になります。
たとえば、
• 平日はほとんど家におらず、子どもの食事や入浴、就寝の世話をしていない
• 学校や保育園との連絡、行事への対応を一切行っていない
• 病気やけががあっても、通院していない
• ほぼ祖父母などに子どもを預けたままになっている
このような生活が長期間続いている場合、養育放棄(ネグレクト)と判断される可能性があります。
一時的な事情ではなく、「常態化しているかどうか」が重要な判断ポイントです。

 

虐待が疑われる場合
親権判断では、身体的な暴力だけでなく、言葉による精神的虐待も重要視されます。
たとえば、
• 「お前なんかいなければよかった」
• 「本当に何もできない子だ」
• 「誰もお前のことなんて気にしていない」
• 「言うことを聞かないなら家から出ていけ」
こうした暴言を日常的に繰り返し浴びせている場合、子どもの心に深刻な影響を与えるとして、親権変更が認められることがあります。


親権者の病気や生活環境の激変
親権者が重い病気にかかり、子どもの面倒を見ることができなくなった場合や、再婚・転居などによって生活環境が大きく変わり、結果として子どもを適切に養育していない状態(例:再婚相手を優先し、子どもを親戚に預けている)になっている場合も、変更の理由となり得ます。

 

子どもの意思が考慮される場合
子どもが一定の年齢に達している場合には、
「どちらの親と暮らしたいか」「今の生活に不安はないか」といった子どもの意思も考慮されます。
家庭裁判所は、子の年齢や発達の程度に応じてその意思を考慮し、特に子が15歳以上の場合には、その子の意見を聞かなければならないと定められています。裁判例でも、11歳の子の意思を尊重して親権者変更を認めたケースがあります。
もっとも、子どもの希望だけで親権が変更されるわけではなく、
養育環境やこれまでの経緯とあわせて、総合的に判断されます。

 

親権変更では「証拠」がとても重要です
親権変更の手続きでは、「心配している」「問題があると思う」という動機だけでは足りず、
現在の養育状況が客観的にわかる資料が重要になります。
• 面会時に気づいた事実を、日時とともに記録したメモ
(身なりや体調、生活の様子についての不自然な発言など)
• 親権者とのLINEやメールのやり取り
(学校や病院の話題に反応を示さない、十分な養育がされていないことが分かる内容)
• 子どもから聞いた普段の様子を簡単に書き留めた日々の記録
(祖父母が主に世話をしている、親権者がそもそも家にいないなど)
• 学校対応を祖父母や第三者が行っていることが分かる資料
これらを無理のない範囲で、複数の証拠を積み重ねることで、養育状況に問題がある可能性を示す材料になります。

 

親権変更を考えたら、早めの相談を
親権変更は、子どもの将来に大きく関わる問題です。

一人で抱え込まず、専門家に相談することで、状況に応じた適切な進め方が見えてくることもあります。
親権や監護権について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページもぜひご覧ください。

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