
離婚調停は、夫婦間の感情的な対立を避けながら、調停委員を通じて話し合いを進める手続きです。本来は「勝ち負け」を競う場ではありませんが、実際には、主張の伝え方や準備の仕方によって結果に大きな差が出ます。
その意味では、あなたにとって「勝つ」「負ける」と感じる結果の差が生まれることは確かです。
そこで本コラムでは、離婚調停で”勝つ”、すなわち有利に進めるための7つの戦略を弁護士の視点から解説します。
1.目的を明確にする
まず大切なのは、調停で「何を求めているのか」をはっきりとさせることです。離婚自体を成立させたいのか、親権を取りたいのか、あるいは慰謝料や財産分与の金額を重視するのか。ご自身の目的を明確にしておかないと、主張がぶれて調停委員に伝わりにくくなります。
具体的に目的を書き出しておくことで、混乱せずに優先順位をつけられるようになります。
2.感情的にならず事実を伝える
調停は話し合いの手続きですから、「どちらが悪いか」を決める場ではなく、離婚するかどうか、離婚する場合の条件をお互いの合意で決める場所です。感情的に発言をしてしまうと、合意を目指した話し合いが難しくなり、調停委員にマイナスの印象を与えかねません。
「時系列で事実を整理して、冷静に伝える」ことが信頼につながります。LINEのやり取りや家計の記録など、客観的な証拠を準備して説明すると効果的です。
3.証拠をしっかり準備する
特に慰謝料や財産分与の話し合いでは、有効な証拠の有無が大きな差になります。預貯金通帳やローンの残高証明、生活費の支出記録など数字やデータで示せる証拠を準備しておくと、財産や費用の実態を客観的に示せます。
また、子どもの教育費や医療費の明細は、養育費を決める際の参考にもなります。
弁護士に相談すれば、どの証拠が効果的で、どのように提出すべきか具体的なアドバイスを受けられます。
4.調停委員の信頼を得る
調停では、調停委員が双方の意見を整理して合意できる条件を探ります。したがって、調停委員の信頼を得ることはとても大切です。
誠実な態度を心がけ、相手の人格を否定する言葉は避けましょう。「落ち着いて話を聞ける人」という印象が、調停の流れを円滑にします。
5.相手の主張を予測しておく
相手がどのような主張をしてくるかを想定しておくことで、調停当日に慌てずに対応できます。
たとえば、「生活費は十分に渡していた」と言われそうなら、実際に支払記録を示す証拠を準備しておく、といった具合です。争点がいくつもあるのであればまずは整理しておくことが“勝つ”ための鍵となります。
6.妥協点を考えておく
調停は裁判のような「勝ち負け」を決める手続きではなく、合意を目指す話し合いです。たとえば「財産はすべて半分ずつにしたい」と主張しても、相手が「住宅ローンを自分が多く負担してきた」と譲らない場合、調停が長引くことがあります。このような調停手続きでも「勝つ」「有利に進める」という場合、どの条件であれば受け入れられるか、事前に妥協点を決めておくことが大事です。自分にとってここまでは守りたい、早期解決のためならここまでは譲歩できる、ということを決めておくことで、あなたにとっての「勝ち」「有利」を設定することができます。多くのケースで、多少の譲歩をして早期に合意することで、結果的に精神的負担や時間的コストを減らせます。
7.弁護士に相談して戦略を立てる
離婚調停を有利に進めるには、法律と実務の両面を考慮した戦略が欠かせません。弁護士は、あなたの主張を整理し、必要な証拠を整え、調停委員に伝わりやすい形にまとめるサポートをします。
「感情的にならず、理論的に伝える」ためにも、早めの相談が安心です。
まとめ
離婚調停は、証拠等の準備と調停に臨む姿勢によって結果が大きく変わります。事実をもとに、落ち着いて主張を整理することが大切です。
弁護士に相談すれば、調停の流れを理解しながら、あなたにとって最善の解決策を一緒に考えることができます。
離婚調停に出ることに不安を感じている方や、条件や主張をうまく伝えられるか心配な方は、弁護士細江智洋にご相談ください。豊富な調停経験をもとに、あなたの立場をしっかりと整理し、有利に進めるための戦略を一緒に立てていきます。
➡離婚調停の解説はこちら
この記事を担当した弁護士

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。















