離婚コラム|横浜の離婚に強い弁護士 細江智洋がわかりやすく解説

2025.12.22更新

離婚コラム73

 

【2026年施行・共同親権対応版】離婚後の親権はどちらに?選び方と決め方
離婚を考えるとき、お子さんの親権を「どちらが持つのか」は、大きな心配のひとつです。
「母親は有利なの?」「父親では不利?」「どうやって決まるの?」といった疑問や、2026年4月より施行される新しい法律で「共同親権」が選べるようになり、「共同親権」についてのお問い合わせも増えています。
ここでは、法改正で変わる親権の基本的な仕組みと、離婚後に親権をどのように決めていくのかを、なるべく分かりやすくご説明します。

 

■ 親権とは? 2024年の法改正で「共同親権」が選択可能に
親権とは、 未成年のお子さんの利益のために生活・財産を守る権利と義務 のことです。
大きく分けると、以下の2つの役割があります。
• お子さんの生活を日々支える「監護・教育」
• お子さんの財産を管理し、法律上の手続を行う「財産管理・法律行為」
婚姻中は父母が共同で親権を行使しますが、これまでの法律では、離婚後は父母のどちらか一方のみが親権者となる「単独親権」が原則でした。 今後は、改正民法により、離婚後も父母双方が親権者となる「共同親権」も選択できるようになります(2026年4月施行予定)。

 

■ 【法改正後】離婚時に親権を決める方法
① 協議離婚の場合=父母の話し合いで選択する
父母が話し合い、その協議によって「共同親権」とするか、「単独親権」とするかを定めることができます。各家庭の状況に応じて選択する形となります。ただし、話し合いが難しいケースも多くあります。感情的になりやすい問題ですので、第三者である弁護士に相談することで、落ち着いて判断できることもあります。
② 調停・裁判で決める場合=家庭裁判所が判断する
話し合いでまとまらなければ、家庭裁判所で調停を行い、それでも合意に至らない場合は裁判官が審判により親権者を決定します。その際、裁判所は、父母と子との関係、父と母との関係など、あらゆる事情を「子の利益」の観点から考慮して、「共同親権」とするか、「単独親権」とするかを判断します。

 

■ 単独親権が決まる判断ポイント
裁判所は、以下のいずれかに該当する場合には、必ず単独親権を定めなければならないとされています。
① 虐待やDV(身体的暴力を含む)のおそれがある場合
② 父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき
③ 父母の一方が他方から身体的暴力や、それに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動
④ その他、共同親権が子の利益を害する場合
⑤ 上記以外にも、夫婦関係で意思疎通ができず、父母双方を親権者と定めることで子の利益を害すると認められるとき

 

■「共同親権」の具体的な内容と注意点
①日常の監護のあり方
(一方が担う場合)共同親権は「父母が常に同じように子どもの世話をすること」や、「共同監護(子どもが両方の家を行き来する)」を意味するものではありません。
実務上は、子どもと同居する一方の親が、日常の監護を主として担う形が多く見られます。
(分担する場合)父母の協議により、「監護の分掌」として、監護の内容や役割を父母で分担することも可能です。
たとえば、
・一定の期間ごとに監護を担当する親を分ける
・教育に関する事項を一方の親に委ねる
といった形がこれに当たります。
日々の食事や身の回りの世話などの日常の行為や、子の利益のための急迫の事情がある場合(緊急の医療行為や危険からの避難など)は、その場で監護を担当している親が単独で判断・対応することができます。
②重要な決定は父母が共同で行う
進学先の選択、転居先の決定、生命に関わる医療行為など、子どもの生活における重要な事項は、父母が共同で決定します。
③父母の意見が合わない場合
父母の協議がまとまらないときは、家庭裁判所に申し立て、その重要な事項について単独で決めることができるよう定める手続きもあります。

 

■ 親権と監護権を分ける方法もあります
改正法が施行された後も、状況によっては「親権をもつ親」と「実際に子どもを育てる親(監護者)」を分けることができます。
例えば、共同親権とした上で、母を「監護者」と定めたときは、母が日常の行為(食事の世話など)だけでなく、子どもの教育や住居の決定などを単独で行えるようになります。
ただし、父母の協力が一層必要になるため、慎重に判断が必要です。

 

■ 親権を決めるときに大切なこと
親権は「どちらの親が親権を勝ち取るか」という問題ではありません。
法改正により選択肢が増えましたが、いちばん大切なのは お子さんが安心して成長できる環境を守ること です。不安な気持ちがあるときは、一人で抱え込まず、早めに弁護士に相談していただくと安心して進められます。親権の仕組みや裁判所の考え方をふまえ、新しい制度の下でどの形がご家庭にとって最善なのか、最善の選択を一緒に考えることができます。

離婚後の親権についてさらに詳しく知りたい方は、親権・監護権の解説ページもご覧ください。

この記事を担当した弁護士

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
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