離婚コラム|横浜の離婚に強い弁護士 細江智洋がわかりやすく解説

2025.11.07更新

離婚コラム58

 

最近、「共同親権」という言葉をニュースなどで耳にする機会が増えてきました。これまで日本では、離婚後の親権は父親あるいは母親のどちらか一方にしか認められない「単独親権制度」が採用されていました。しかし、2024年に民法が改正され、離婚後も父母が共同で親権を持つことができるようになる方向で制度が見直されています。今回は、この「共同親権」について、その概要や導入の背景、そして今後の方向について分かりやすく解説します。

 

1.そもそも「親権」とは?
「親権」とは、未成年の子どもを育てるための必要な法律上の権限や責任のことです。具体的には、子どもの生活や教育、居住地の決定といった「身上監護権」と、財産を管理する「財産管理権」の二つの意味があります。
これまで日本では、離婚後はどちらか一方の親が親権者になる単独親権制度が原則でした。そのため、離婚後に親権を持たない親が、子どもの進学や居住などの大事な決定に関われないという問題が指摘されてきました。

 

2.共同親権制度の概要
改正民法では、離婚時に父母が話し合いによって「共同親権」または「単独親権」を選択できる仕組みが導入されます。
共同親権を選んだ場合、父母が協力して子どもの養育方針を決め、進学・医療・財産管理などについて話し合いながら決定することになります。
共同親権とは、子どもの利益を最優先に考えて両親が「一緒に」判断することが基本ですが、両親の意見が常に一致するとは限りません。重要な決定事項について意見が食い違った場合、一方に単独行使を認めるよう家庭裁判所に判断を求めることもできます。なお、急を要する場合や日常行為は例外的に単独行使が認められています。

 

3.共同親権導入の背景と目的
共同親権制度の導入の目的は、「子どもにとって離婚しても両親との関わりを保てるようにする」ことです。
最近では、父親の育児参加が進み、家庭のあり方も変化しています。その中で、「離婚後も父母がともに子育てに責任を持つ仕組みが大切ではないか」という声が高くなりました。
また、国際的には共同親権が主流であり、日本の単独親権制度は一部の国際機関から「子どもの福祉の観点で再検討が必要」と指摘されてきました。このような流れを受け、法改正が進められたのです。

 

4.今後の課題と注意点
一方で、DV(家庭内暴力)や虐待がある場合は、共同親権が子どもの安全を脅かすおそれもあります。そのため、改正法では、どちらかの親からの暴力や虐待がある場合には共同親権を認めないといった制限も設けられています。また、離婚時に「単独親権」あるいは「共同親権」にするか協議がまとまらない場合、家庭裁判所はどちらが子どもの利益に適うか判断します。つまり、共同親権はすべての家庭に対応できる制度ではなく、家庭ごとに慎重な判断が必要になります。
制度の運用方法や家庭裁判所での判断基準など、まだこれから整備が進む段階です。離婚を検討している方にとっては、今後の法施行や運用についての情報を把握しておくことが大切です。

 

5.共同親権を考えるときのポイント
共同親権を選ぶかどうかを考える際は、次のような点を意識しましょう。
• 子どもにとって安定した生活・学習環境か
• 父母の間で十分なコミュニケーションや協力ができるか
• 子どもが安心できる関係を維持できるか
特に、別居している場合には、日々の育児や学校への対応などをどう分担するか、具体的なルールを決めておくことが重要です。制度の仕組みについて理解するだけでなく、今後の生活を見据えた話し合いが欠かせません。

 

まとめ:制度の理解と弁護士への相談を
共同親権の導入は、子どもの成長を支える新たな制度として注目されています。しかし、共同親権を選択する場合や制度の運用にはそれぞれメリットと注意点があります。
制度の詳細を理解したうえで、将来の自分と子どもにとってベストな選択をすることが大切です。
離婚や親権についてお悩みの方は、専門知識を持つ弁護士にご相談ください。状況に応じて、単独親権・共同親権いずれが適切か、具体的にアドバイスをいたします。
詳しくは、弁護士細江智洋の「親権・監護権のページ」をご覧ください。

 

この記事を担当した弁護士

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

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