離婚コラム|横浜の離婚に強い弁護士 細江智洋がわかりやすく解説

2025.12.25更新

離婚コラム74

 

面会交流と親権の関係 | 離婚後の子どもを守る基本知識
離婚を考えている方や、別居を始めたばかりの方から、
「親権がないと子どもに会えないのでは?」というご相談をよくいただきます。
お子さんのことを大切に思うからこそ、離婚後の生活がどうなるのか心配になるのは当然です。
そこで今回は、面会交流と親権の関係性について、できるだけ丁寧に、分かりやすくお伝えします。基本的な仕組みを知っておくことで、今後の見通しが立ちやすくなります。

 

■ 親権とはどんな権利?
「親権」とは、子どもの生活を守り育てるための大切な権限のことです。教育の方針を決めたり、医療に関する判断をしたりと、子どもの成長に大きく関わる責任です。
また、親権とは別に、実際に子どもと一緒に暮らし、日々のお世話を行う「監護権」という考え方もあり、ご家庭の事情によっては親権と監護権を分けることもあります。

 

■ 面会交流とは?
「面会交流」とは、別々に暮らす親子が、会ったり連絡を取り合ったりすることをいいます。
会うだけでなく、電話やSNS、手紙やメッセージのやりとりなど、子どもの気持ちに合わせてさまざまな方法が選べます。
近年は、子どもが両方の親と関係を維持することがより重視されるようになり、面会交流は離婚後の子育てに欠かせないものとなっています。

 

■ 親権と面会交流は別の問題です
結論からお伝えすると、
親権が無くても、子どもに会えないわけではありません。
親権と面会交流は別々に考えられています。
裁判所は、子どもの安全が脅かされるような特別な事情がない限り、面会交流は行う方向で判断します。


■ 面会交流が制限されることもある
とはいえ、どの家庭でも同じように面会交流が進むわけではありません。例えば、
• 子どもが強く拒否している
• 面会交流をすることによって子どもが精神的に不安定になる可能性がある
• もともと暴力や虐待が疑われる
• 子どもを連れ去る可能性がある
こうした場合には、面会の方法を工夫したり、一定期間面会交流を控えたりする場合あります。判断の基準になるのは、いつでも子どもの利益です。

 

■ 面会交流の決め方と進め方
面会交流は、基本は父母の話し合いで決めますが、別居や離婚を前提とした話し合いでは話がまとまりにくいことがあります。
そのようなときには、次のような方法があります。
● 調停で第三者に入ってもらう
家庭裁判所の調停を利用すれば、調停委員が間に入り、双方の意見を整理しながら無理のない形を一緒に考えてくれます。
● 子どもの成長に合わせた柔軟な対応
幼いお子さんであれば短時間の面会交流にしたり、小学生以上なら予定を踏まえて月に数回にしたり、年齢にあわせた方法が大切です。
● 支援機関の利用
連れ去りが心配な場合や、両親が顔を合わせるのが難しい場合には、NPOなどの支援団体や、子育て支援センターなどの第三者機関を利用することができます。

 

■ 2026年4月から共同親権が選択可能に
法律改正により、2026年4月から共同親権を選べる制度が始まります。
共同親権は、離婚後も父母が共に子どもの大切な決定に関わる制度です。
ただし、日々の子どもの世話を父母のどちらかが主に担う点は変わらないため、離れて暮らす親との面会交流は今後も非常に重要です。
両親が協力して子どもの養育に関わる考え方が広がることで、面会交流も、より慎重に考えられるようになると思われます。

 

■ 困ったときは弁護士のサポートを
面会交流はお子さんの気持ちが大切ですが、親同士が冷静に話し合うことができない時期に決めるのは簡単ではありません。
調停や話し合いが負担に感じるときは、弁護士がサポートすることで進めやすくなります。
不安を抱えたままにせず、どうか一人で悩まないでくださいね。
面会交流の仕組みや注意点をさらに知りたい方はこちらもご覧ください。
→面会交流についての解説ページ

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

 

2025.12.22更新

離婚コラム73

 

【2026年施行・共同親権対応版】離婚後の親権はどちらに?選び方と決め方
離婚を考えるとき、お子さんの親権を「どちらが持つのか」は、大きな心配のひとつです。
「母親は有利なの?」「父親では不利?」「どうやって決まるの?」といった疑問や、2026年4月より施行される新しい法律で「共同親権」が選べるようになり、「共同親権」についてのお問い合わせも増えています。
ここでは、法改正で変わる親権の基本的な仕組みと、離婚後に親権をどのように決めていくのかを、なるべく分かりやすくご説明します。

 

■ 親権とは? 2024年の法改正で「共同親権」が選択可能に
親権とは、 未成年のお子さんの利益のために生活・財産を守る権利と義務 のことです。
大きく分けると、以下の2つの役割があります。
• お子さんの生活を日々支える「監護・教育」
• お子さんの財産を管理し、法律上の手続を行う「財産管理・法律行為」
婚姻中は父母が共同で親権を行使しますが、これまでの法律では、離婚後は父母のどちらか一方のみが親権者となる「単独親権」が原則でした。 今後は、改正民法により、離婚後も父母双方が親権者となる「共同親権」も選択できるようになります(2026年4月施行予定)。

 

■ 【法改正後】離婚時に親権を決める方法
① 協議離婚の場合=父母の話し合いで選択する
父母が話し合い、その協議によって「共同親権」とするか、「単独親権」とするかを定めることができます。各家庭の状況に応じて選択する形となります。ただし、話し合いが難しいケースも多くあります。感情的になりやすい問題ですので、第三者である弁護士に相談することで、落ち着いて判断できることもあります。
② 調停・裁判で決める場合=家庭裁判所が判断する
話し合いでまとまらなければ、家庭裁判所で調停を行い、それでも合意に至らない場合は裁判官が審判により親権者を決定します。その際、裁判所は、父母と子との関係、父と母との関係など、あらゆる事情を「子の利益」の観点から考慮して、「共同親権」とするか、「単独親権」とするかを判断します。

 

■ 単独親権が決まる判断ポイント
裁判所は、以下のいずれかに該当する場合には、必ず単独親権を定めなければならないとされています。
① 虐待やDV(身体的暴力を含む)のおそれがある場合
② 父または母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき
③ 父母の一方が他方から身体的暴力や、それに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動
④ その他、共同親権が子の利益を害する場合
⑤ 上記以外にも、夫婦関係で意思疎通ができず、父母双方を親権者と定めることで子の利益を害すると認められるとき

 

■「共同親権」の具体的な内容と注意点
①日常の監護のあり方
(一方が担う場合)共同親権は「父母が常に同じように子どもの世話をすること」や、「共同監護(子どもが両方の家を行き来する)」を意味するものではありません。
実務上は、子どもと同居する一方の親が、日常の監護を主として担う形が多く見られます。
(分担する場合)父母の協議により、「監護の分掌」として、監護の内容や役割を父母で分担することも可能です。
たとえば、
・一定の期間ごとに監護を担当する親を分ける
・教育に関する事項を一方の親に委ねる
といった形がこれに当たります。
日々の食事や身の回りの世話などの日常の行為や、子の利益のための急迫の事情がある場合(緊急の医療行為や危険からの避難など)は、その場で監護を担当している親が単独で判断・対応することができます。
②重要な決定は父母が共同で行う
進学先の選択、転居先の決定、生命に関わる医療行為など、子どもの生活における重要な事項は、父母が共同で決定します。
③父母の意見が合わない場合
父母の協議がまとまらないときは、家庭裁判所に申し立て、その重要な事項について単独で決めることができるよう定める手続きもあります。

 

■ 親権と監護権を分ける方法もあります
改正法が施行された後も、状況によっては「親権をもつ親」と「実際に子どもを育てる親(監護者)」を分けることができます。
例えば、共同親権とした上で、母を「監護者」と定めたときは、母が日常の行為(食事の世話など)だけでなく、子どもの教育や住居の決定などを単独で行えるようになります。
ただし、父母の協力が一層必要になるため、慎重に判断が必要です。

 

■ 親権を決めるときに大切なこと
親権は「どちらの親が親権を勝ち取るか」という問題ではありません。
法改正により選択肢が増えましたが、いちばん大切なのは お子さんが安心して成長できる環境を守ること です。不安な気持ちがあるときは、一人で抱え込まず、早めに弁護士に相談していただくと安心して進められます。親権の仕組みや裁判所の考え方をふまえ、新しい制度の下でどの形がご家庭にとって最善なのか、最善の選択を一緒に考えることができます。

離婚後の親権についてさらに詳しく知りたい方は、親権・監護権の解説ページもご覧ください。

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
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2025.12.19更新

離婚コラム72

 

親権変更は可能?知っておきたい条件と手続き
離婚後、「最初に決めた親権を変えたい」というご相談は珍しいことではありません。
子どもが成長して生活が変わったり、親権者の環境に変化があったりすると、今のままで良いのかと不安になることはあるでしょう。
ただし、親権の変更は簡単ではなく、必ず家庭裁判所の判断が必要です。ここでは親権変更が認められる条件と手続きの流れを、初めての方にも分かりやすくご説明します。

 

1.親権変更はどんなときに認められるの?
親権変更が認められるのは、「今の環境のままでは子どもの生活が安定しない」「親権を変えた方が子どものためになる」と裁判所が判断した場合です。一般的には次のようなケースがあります。
● 親権者が十分に養育できなくなった場合
病気や精神的な不調、生活環境の悪化などで子どもの世話が難しくなったときは、親権変更が検討されます。
● 子どもの意向がはっきりしてきた場合
子どもの年齢が上がり、自分の考えをしっかり伝えられるようになると、その意向が判断材料になることがあります。
● 子どもの環境に問題がある場合
しつけが厳し過ぎている、学校生活が規則正しく送れていないなど、子どもの生活に不安があると認められると、親権変更が必要となる場合があります。

 

2.親権変更の手続きはどう進むの?
親権変更は、両親の話し合いだけでは決められません。家庭裁判所での手続きが必要になります。
【1】親権者変更調停の申し立て
まず調停を申し立て、調停委員が両親の話を聞きながら解決を目指します。
【2】合意できない場合は審判へ
調停がまとまらない場合、審判に移り、裁判官が最終的にどちらが親権者として適切かを判断します。
【3】調査官による調査が入ることも
子どもの生活状況を把握するため、家庭裁判所調査官が家庭訪問や面談を行う場合があります。

 

3.2026年4月から始まる共同親権制度について
2026年4月からは、離婚後も父母がそろって子どもの親権を持つことができる共同親権が選べる制度が導入される予定です。
ただし、父母が協力して子どもを育てられるか、子どもの生活が安定するかなどが慎重に判断されます。
制度施行後は、
• 単独親権から共同親権へ変更したい
• 共同親権が難しくなり単独に戻したい
といった相談も増えると考えられます。
共同親権には良い面もある一方で、大事な決定が進みにくいなどの注意点もありますので、どの形が子どもにとって一番良いのか慎重に考えることが大切です。

 

4.親権変更を考えるときのポイント
● 子どもの環境が安定するかを検討する
住居・学校・周囲のサポートなど、子どもが安心して暮らせる環境を整えることが重視されます。
● 親権者ではない立場の方も日頃の養育状況を記録しておく
現在は親権者でなくても、実際にお子さんの生活を支えている場合は、
「どのように世話をしてきたか」「どれほど関わってきたか」
といった事実を記録しておくと、裁判所の判断材料になります。
● 今の親権者の養育状況に心配があるときは事実を伝える
たとえば、
• 不規則な食事や生活リズムが続いている
• 学校を欠席しているときが多い
• 家庭内で落ち着かない様子が見られる
など、子どもの生活が安定していない様子が見られる場合は、落ち着いて状況を伝えることが大切です。裁判所は、どちらの環境が子どもにとって安定しているかを基準に判断します。

 

5.一人で悩まず、早めに相談を
親権に関する問題は難しく、家庭だけで解決しようとすると混乱しやすいものです。弁護士が関わることで、手続きが整理され、子どものために最適な判断がしやすくなります。
親権や監護権について詳しく知りたい方は、
弁護士細江智洋の親権・共同親権の解説ページを参考になさってください。
お子さまが安心して暮らせる環境を一緒に考えていきましょう。

 

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
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