
夫婦には「同居して助け合う義務(民法752条)」があります。
これは、夫婦が同じ住居で協力しながら生活することを定めた、法律上の基本的なルールです。
そのため、一方的に家を出てしまうと「同居義務違反」とされ、離婚の話し合いや離婚裁判で不利に扱われることがあります。
しかし、別居がすべて同居義務違反に当てはまるわけではありません。
心身の安全を守る必要がある場合や、家庭生活を続けられない事情がある場合は、別居が認められることがあります。
ここでは、どのような事情であれば別居が認められるのか、また別居を考える際の注意点について、わかりやすくご説明します。
■ 別居が認められるケースとは?
実務や裁判例では、次のような事情があると別居が認められやすいと考えられています。
① 配偶者からの暴力(DV)
殴る・蹴るといった身体的暴力はもちろん、暴言や威圧的な態度、生活費を全く渡さないといった精神的・経済的DVも該当します。
身の安全を守るために家を出る場合は、別居が認められる典型例です。
② モラハラ等で心身に大きな負担がかかっている
日常的な侮辱や無視、過度な束縛で強いストレスを受け、心身に支障が出ている場合は、同居を続けること自体がつらく、「別居が必要」と認められることがあります。
③ 生活が成り立たないほどの浪費・ギャンブル
配偶者が借金やギャンブルを繰り返し、家計が破綻している場合は、これ以上同居を続けることが難しいと判断されやすい状況です。
特に子どもの生活に影響が出ている場合、別居を選ばざるを得ない状況といえます。
④ 冷静に話し合うための一時的な別居
夫婦間の争いが深刻で、自宅では話し合いにならない場合、調停など第三者を交えるために一時的に別居することもあります。
このような状況では、不必要に家を出たとは扱われません。
⑤ 本人の治療や療養のためにやむを得ない別居
本人の入院・治療・静養が必要で、実家など別の場所で生活せざるを得ない場合、別居が認められることがあります。
■ 別居が認められるためには「記録」が大切
正当な理由があって別居しても、証拠となる記録や資料が無ければ、相手から「勝手に出て行った」と主張される可能性があります。
そのため、次のような記録を残しておくと安心です。
• 暴力・暴言の記録(メモ、録音)
• 通院記録や病院の診断書
• 家計の状況が分かる記録(預金通帳など)
• 別居前の話し合いの経緯(メモ)
客観的な資料があると、別居にいたった事情を調停や裁判でも正しく理解してもらえます。
■ 正当な理由なく別居すると不利になることも
正当な理由がない別居は、後の離婚調停や裁判で「別居によって夫婦関係が悪化した」と判断され、不利になる場合があります。
特にお子さんを連れて別居する場合は、慎重な判断が必要です。
別居はその後の手続きに大きく影響しますので、まずは弁護士へ相談することをおすすめします。
■ 別居を検討している方へ
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このようなお悩みはとても多いです。
弁護士細江智洋は、別居のタイミングや準備方法、別居するときの注意点まで、一人ひとりの状況に合わせて丁寧にアドバイスしています。
別居の流れや注意点をまとめたページもございますので参考になさってください。
▶離婚に向けて別居を考えている方へ
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この記事を担当した弁護士

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。















