
不倫が分かったとき、不倫相手に慰謝料を請求したいけれど、まず何をすればいいのか分からないというご相談を多くいただきます。
実は、慰謝料請求の第一歩としてとても大切なのが、不倫相手に対して“慰謝料請求書”を送ることです。文書としてきちんと意思を伝えることで、その後の交渉が進みやすくなり、紛争も避けられます。
ここでは、不倫相手に送る場合を前提として、弁護士の視点から分かりやすく解説します。
■ なぜ不倫相手に慰謝料請求書を送るの?
不倫(不貞行為)は、あなたに精神的苦痛を与える“違法な行為”です。
そのため、不倫相手には法律上の慰謝料支払い義務があり、あなたは直接、不倫相手に請求できます。
また、実務上では次の理由で、不倫相手に請求書を送るケースが最も多いです。
• 配偶者とは離婚協議とまとめて話し合う場合が多い
• 不倫相手のほうが交渉を進めやすい
• 配偶者の態度に左右されず、手続を進めやすい
まずは不倫相手の責任を明確にする意味でも、書面で請求することが効果的です。
■ 慰謝料請求書に書くべき内容(不倫相手向け)
難しい専門用語を使う必要はありません。次の項目を押さえて書けば、十分に意思が伝わります。
① あなたの氏名・住所
誰からの請求なのかを明確にします。
② 不倫相手(相手方)の氏名・住所
正確な氏名・住所を記載します。相手の住所が分からない状態では送付できませんので、
事前に配偶者へ確認する、弁護士に調査を依頼するなどして、
必ず正しい情報を把握してから作成・発送しましょう。
③ 不倫の事実と精神的苦痛
長文である必要はありません。
例:「あなたは私の配偶者と不貞関係にあり、私は大きな精神的苦痛を受けました。」
④ 請求する慰謝料の金額
例:「慰謝料として150万円を請求します。」
※慰謝料の相場は状況により大きく金額が異なるため、不安な場合は弁護士へご相談ください。
⑤ 慰謝料の支払い期限
例:「本書面到達後14日以内にお支払いください。」
⑥ 振込先の記載
銀行名・支店名・口座番号を明記します。
⑦ 期限までに支払いがない場合の方針
例:「ご連絡やお支払いがない場合、法的手段を検討せざるを得ません。」
強く聞こえるかもしれませんが、このような表現で問題ありません。
■ 送付方法は「内容証明郵便」が安心
不倫相手に慰謝料を請求する場合、内容証明郵便で送ることが一般的です。
理由は次のとおりです。
• 郵便局が送った日付と内容を証明してくれる
• 時効対策として有効(“催告”として機能)
• 相手が「受け取っていない」と言えない
• 裁判になった場合、証拠として使用できる
普通郵便では残らない請求したという証拠がしっかり残るため、安心して手続を進められます。
■ 不倫相手へ送るタイミングはいつ?
慰謝料請求には時効(通常は不貞を知ってから3年)があります。
そのため、次のような状況では、早めに送ることが大切です。
• 不倫の証拠が手元にある
• 不倫相手が連絡を避けている
• 配偶者が不倫を認めず話が進行しない
• 離婚を検討しており、早く準備を進めたい
一方、「配偶者との関係修復を第一に考えている」といった場合は、送付したことによって関係修復の空気が壊れてしまう可能性もあるので、送付の時期を慎重に決めた方が良いこともあります。
ご心配な場合は、一度弁護士に相談すると安心です。
■ 不倫相手からの反応がない場合の対応
請求書を送っても、相手が
• 無視する
• 支払いを拒否する
といったケースもあります。
その場合には、
• 弁護士による交渉
• 慰謝料請求の調停
• 訴訟(裁判)
といった次のステップへ進むことになります。
不倫相手への対応は感情的になるため、大きなストレスになる方がほとんどです。弁護士に入ってもらうことで直接のやり取りがなくなり、精神的な負担がかなり軽くなります。
■ まとめ:不倫相手への慰謝料請求は、まず“きちんと伝えること”から
不倫相手に慰謝料を請求する際には、
正確な文面で、適切なタイミングで請求書を送ることが大切です。
文面次第では交渉がスムーズに進むこともあれば、不要なトラブルを避けられることもあります。
弁護士細江智洋の事務所では、
• 請求書の文面作成
• 相手方との交渉
• 調停・訴訟の対応
など、状況に応じてしっかりサポートしております。
慰謝料についてさらに詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
→ 不倫慰謝料の基礎知識
お一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談くださいね。
この記事を担当した弁護士

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。















