離婚コラム|横浜の離婚に強い弁護士 細江智洋がわかりやすく解説

2026.01.18更新

離婚コラム82

 

家庭内別居で年金や生活費はどうなる?同居義務と法律の基本
「同じ家に住んでいるのに、夫婦の会話はほとんどない」
「生活費の話をするのも気が重く、いつの間にか別々の生活になっている」

このような家庭内別居の状態に、多くの方が不安を感じています。
特に専業主婦であれば、家事やお子さんの世話をしながらも、心のどこかで「このままで大丈夫なのだろうか」と感じている方も多いのではないでしょうか。
とくに気になるのが、年金や生活費のこと、そして法律的に問題がないのかという点です。
ここでは、家庭内別居と同居義務の関係、年金や生活費の基本的な考え方について、分かりやすくご説明します。

 

家庭内別居とはどのような状態か
家庭内別居とは、夫婦が同じ住居に住み続けながら、食事や家計、会話などを別々にし、実質的には夫婦としての生活が成り立っていない状態を指します。
法律上、「家庭内別居」という言葉が定義されているわけではありませんが、このような生活の実態は、将来別居や離婚を考えるときに重要な意味を持つことがあります。
民法では、夫婦には同居義務や協力義務、生活を支え合う責任があるとされています。
同じ家に住んでいても、夫婦としての協力関係が無い場合、「同居しているから問題がない」とは言い切れないこともあります。

 

家庭内別居でも年金の扱いは変わる?
家庭内別居をしていても、婚姻関係が続いている限り、国民年金の加入区分などの年金の基本的な取り扱いは変わりません。
これらの扱いは、原則として戸籍上の婚姻関係の有無で判断されるため、家庭内別居の段階で直ちに変更されることはありません。
では、将来離婚する際の「年金分割」には影響があるのでしょうか。
結論から言うと、家庭内別居や別居の期間が長くても、それが年金分割において不利に扱われることは原則としてありません
年金分割の対象は「婚姻期間全体」であって、年金分割制度は、離婚した場合に、婚姻期間中の厚生年金記録を分割する制度です。
重要な点は、分割の対象となるのが、別居や家庭内別居の期間を含む「婚姻期間全体」であるという点です。
これは、年金分割制度が財産分与のような清算的要素だけでなく、夫婦双方の老後の所得保障という社会保障的要素が強く、戸籍上の婚姻期間を基準に形式的に判断されるためです。

 

生活費が支払われない場合の考え方
家庭内別居になってから、生活費が支払われなくなった、または大きく減ったというご相談も多く寄せられます。
夫婦である限り、生活を支え合う責任は続いており、家庭内別居をしていても、この責任がなくなるわけではありません。
一定の条件を満たす場合には、婚姻費用として生活費を請求することができます
夫婦の間に収入差があり、家庭内別居後に生活費の支払いが止まった場合などは、請求が認められやすいとされています。
ここで大切なのは、「今現在、生活に困っているかどうか」ではありません。
婚姻費用は、収入の多い側が少ない側の生活を分担するという考え方に基づく制度であり、貯金があって一時的に生活できていたとしても、請求は否定されません。

一方で、夫婦の収入にほとんど差がない場合や、権利の濫用とみなされる場合:例えば、自ら不貞行為をした、あるいは正当な理由なく一方的に家を出て同居を拒否しているなど、婚姻関係を破綻させた責任が主にある側(有責配偶者)からの請求は、信義則違反や権利濫用として、請求が認められなかったり、子の養育費相当分に減額されたりする裁判例があります。
ただし、婚姻費用は子の生活を守る意味合いも強いため、実務では迅速な解決を優先し、有責性について厳密な審理は行わない傾向もあります。

また、婚姻費用は原則として請求した時点以降の分が対象になるため、請求せずに我慢していた期間の生活費は、後からまとめて請求することが原則として困難です。生活費の支払いが滞った場合は、後の不利益を避けるためにも、速やかに請求の意思表示をすることが極めて重要です。

 

家庭内別居と同居義務の関係
「同じ家に住み続けているのだから、同居義務の問題はない」と思われがちですが、法律上は家庭内別居を続けている生活の実態が重視されます。
家庭内別居が長期化し、夫婦の協力関係がほとんど失われている場合には、別居に進むまでに話し合いや、同居を続けるためのお互いの工夫があったかどうかが、確認されることがあります。
家庭内別居の段階から、どのような話し合いがあり、どのような経緯で生活の形が変わっていったのかを整理しておくことが安心につながります。

 

別居を考え始めた方へ
家庭内別居は、精神的に大きな負担がかかる状態です。
この段階で大切なのは、すぐに別居や離婚を決断することではなく、これからの選択に備えて今の状況を落ち着いて整理しておくことです。
具体的には、夫婦としての生活状況や生活費の扱いを整理し、将来、離婚を考えたときに備えて経緯を振り返っておくことが大切です。
これは相手を責めるためではなく、ご自身を守るための準備です。

 

まとめ
家庭内別居は、年金や生活費、同居義務といった法律問題と深く関わっています。
まだ離婚を決めていない段階でも、今の状況が将来どのように見られるのかを知っておくことは大切です。
別居を考え始めた段階での注意点については、
▶ 離婚に向けて別居を考えている方へ

も参考にしながら、まずは状況を整理するところから、ゆっくり考えてみてください。

 

この記事を担当した弁護士

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
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