離婚コラム|横浜の離婚に強い弁護士 細江智洋がわかりやすく解説

2025.12.04更新

離婚コラム67

 

夫婦生活がつらくなり、「しばらく距離を置きたい」「別々に暮らしたい」と感じることは、どなたにでも起こり得ることです。しかし、法律上は夫婦に「同居義務」があるため、別居を検討したときに「これって悪意の遺棄になるのでは?」と不安になられる方も多くいらっしゃいます。
ここでは、別居と悪意の遺棄の関係、離婚や慰謝料への影響を、できるだけ分かりやすくご説明いたします。

 

■ 夫婦の同居義務とは
民法752条では、夫婦は「同居し、互いに協力し扶助しなければならない」とされています。これは、夫婦が生活を共にし、助け合うことを基本とする決まりです。
ただし、どんな場合でも同居し続けなければならないわけではありません。単身赴任、家族の介護、心身の不調、家庭内で精神的な負担を受けている(いわゆるモラハラ)など、状況によっては別居が認められることがあります。

 

■ 悪意の遺棄とはどんな状態?
悪意の遺棄とは、正当な理由もないのに夫婦の協力関係を放棄してしまう行為をいいます。
たとえば次のようなケースです。
・何の連絡もなく突然家を出て行く
・家族を避けるためだけに別居を続ける
・全く生活費を負担せず家族を放置する
いずれも、夫婦として当然果たすべき責任を自ら放棄していると判断されやすく、法律上も重大な問題とされています。

 

■ 別居=悪意の遺棄ではない
多くの方が誤解しやすいのですが、別居をしたからといって必ずしも悪意の遺棄になるわけではありません
たとえば、
・相手からのモラハラがあり、身を守るための避難として別居した
・心身の不調がひどく、医者から環境を変えるようすすめられた
・相手からの暴力から子どもを守るためにやむを得ず家を出た
といった事情がある場合には、正当な理由があります。
このような状況での別居は悪意の遺棄にあたることはありません。むしろ、安全を確保するための大切な行動といえます。

 

■ どんな別居が悪意の遺棄と判断されやすいの?
次のような場合は、悪意の遺棄と評価されやすくなります。
・夫婦関係を修復する意思がなく、一方的に家を出た
・理由を説明せず、連絡も断ち、生活費も負担しない
・家庭を支える姿勢が見られないまま、一方的に離れて生活している
たとえ正当な事情があって別居した場合でも、相手に全く事情を伝えないまま家を出たり、別居後の生活の見通しを全く立てずに別居を始めてしまったりすると、誤解されてしまうかもしれません。結果として、「家庭を放置した」「理由のない別居だ」と受け取られ、悪意の遺棄だと主張される可能性もあります。
もちろん、DV・モラハラのように緊急性がある場合は準備が不十分でも仕方ありません。しかし、安全を確保できる場合には、別居前にできる範囲で準備や相談をしておくことが大切です。

 

■ 悪意の遺棄と離婚・慰謝料の関係
悪意の遺棄は、民法に定められている「離婚原因」のひとつです。
そのため、相手が「悪意の遺棄」に該当する行動をとっている場合は、離婚請求が認められやすくなります。
また、長期間の放置や生活費の不払いが続いたために、精神的な苦痛が大きい場合には、「悪意の遺棄」とみなされ、慰謝料の請求が認められる可能性があります。
相手とのトラブルを大きくしないためにも、別居に踏み切る際には慎重な判断が求められます。

 

■ 別居を考えている方へ
別居は、夫婦関係をいったん整理し、自分の心と体を守るためには大切な選択です。しかし、自分から別居した場合に法律上どうみられるか、また別居後の生活費はどう工面したらいいかなど、考えるべきことも多く、不安で踏み切れない方も多いでしょう。
・自分の別居理由は正当といえるのか
・悪意の遺棄と誤解されないための準備は何か
・別居後の生活費(婚姻費用)はどうなるのか
こうした疑問は、それぞれの状況によって答えが異なります。ひとつずつ確認しながら、着実に進めていきましょう。
別居に関する詳しい情報は、
「離婚に向けて別居を考えている方へ」のページでもご覧いただけます。


お一人で悩まず、どうぞお気軽にご相談ください。
弁護士細江智洋が、今の状況とお気持ちに寄り添いながら、最適な方法をご一緒に考えてまいります。

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

2025.11.01更新

離婚コラム56

 

離婚に際してよくトラブルに発展するのが「慰謝料」です。一般的なイメージは「不倫をした側が払うもの」と思われがちですが、慰謝料の金額や支払い義務をめぐって、夫婦の間で大きな問題になることが少なくありません。特に、生活にゆとりのあるご家庭では、金銭的な余裕があるからこそ相手から高額な慰謝料請求を受けやすく、争いが複雑化するケースも多く見られます。今回は、離婚時の慰謝料トラブルと注意すべきポイントについて、弁護士の視点からわかりやすく解説します。

 

慰謝料の相場は「生活水準」で変わるのか?
慰謝料の算定には一律の「計算式」があるわけではなく、個別の事情に応じて裁判所が判断します。特に生活にゆとりがあるご家庭では、「経済的に余裕があるのだから、高額の慰謝料が払えるはず」といった主張をする傾向にあります。
慰謝料の金額は「支払能力」だけで決まるものではありません。法律上は、不倫や暴力などの離婚原因となった行為の内容・期間・悪質性、もしくは被害を受けた側の精神的苦痛の度合いなどが重視されます。つまり、生活水準が高いからといって自動的に慰謝料の金額が高くなるわけではありません。

 

生活水準の高い家庭で起こりやすい慰謝料トラブル
生活にゆとりのあるご家庭でよく見られるトラブルとして、以下のようなケースがあります。

1. 不倫の慰謝料が「数千万円」になると誤解している
慰謝料の相場は50万~300万円程度が中心であり、極端に高額な金額が認められるのは例外的なケースです。


2. 話し合いの中で慰謝料と財産分与の境目があいまいになるケース
協議離婚では、専門的な言葉を理解しないまま合意してしまうことがあります。例えば「慰謝料としてまとめて1,000万円払う」と取り決めたものの、その中には本来は財産分与にあたる部分が多く含めていた、というケースもあります。
慰謝料と財産分与を厳密に区別しないと、本来は財産分与として支払うべきお金まで『慰謝料』として支払うことになり、結果的に相場よりも多く慰謝料を払ってしまう危険があります。

3. 「請求されたら必ず払わなければならない」と思い込む
相手から高額の慰謝料を請求されても、すぐに応じる必要はありません。相手からの請求額と法的に認められる相場には大きな差があることが多いため、弁護士に相談するなど冷静に判断することが大切です。

 

慰謝料トラブルを避けるためのポイント
慰謝料をめぐるトラブルを防ぐには、次の点に注意するとよいでしょう。
• 慰謝料の相場を知っておくこと
インターネット上には誤解を招く情報が多いため、信頼できる専門家や公的資料から情報を取得しましょう。
• 慰謝料と財産分与との違いを整理すること
慰謝料は精神的苦痛への賠償、財産分与は夫婦で築いた財産を公平に分ける制度です。この違いを理解しておくと、誤って相場以上の金額を払ってしまうリスクを避けられます。
• 慰謝料請求を受けたらすぐに対応しないこと
安易に慰謝料の条件に合意すると、後で不利になることがあります。必ず弁護士に相談してから対応することをおすすめします。

 

弁護士に相談するメリット
慰謝料の請求を受ける、あるいは自分から請求をする場合は、専門的な知識が不可欠です。弁護士に相談すれば、相場に基づいた適切な金額を判断できるほか、交渉や調停の場で不利にならないよう全面的なサポートを受けることができます。
また、生活にゆとりがあるご家庭では、慰謝料に加えて財産分与や養育費など複数の金銭問題が複雑であることが多いため、総合的な視点で戦略を立てることが大切です。

 

まとめ
離婚時の慰謝料は、生活水準や経済状況だけで決まるものではありません。しかし、生活にゆとりのあるご家庭では相手に「払えるはず」と思われやすいため、請求額が相場を大幅に超えるケースが少なくありません。
まずは慰謝料の相場や法的な位置づけを正しく理解し、冷静に対応することが大切です。そのためには、離婚問題に精通した弁護士のサポートを受けることが、最も安心で確実な方法といえるでしょう。
慰謝料トラブルに不安を感じている方は、ぜひ弁護士細江智洋の事務所にご相談ください。詳しくは当事務所の「離婚慰謝料についての解説ページ」をご覧いただけます。

 

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2025.10.29更新

離婚コラム55

 

近年、40代・50代の夫婦の離婚が増えています。仕事や子育てが一段落し、第二の人生を考えるタイミングで「このまま結婚生活を続けるべきか」と思い悩む方も少なくありません。離婚を考える中で気になる問題のひとつが「離婚慰謝料」です。
「慰謝料の相場はどのくらいなのか」「自分の場合はいくら請求できるのか、または払うことになるのか」――多くの方が抱える疑問ですが、実はインターネットや噂で広まっている情報には正確ではないものが多く見受けられます。この記事では、40代・50代の離婚における離婚慰謝料の相場と、離婚慰謝料における誤解についてわかりやすく解説します。

 

離婚慰謝料の基本
離婚慰謝料とは、配偶者の不倫や暴力などの有責行為によって精神的苦痛を受けた側が、相手に対して請求する損害賠償金のことです。性格の不一致や単なる気持ちのすれ違いでは、基本的に慰謝料の対象にはなりません。
代表的な原因としては、
• 不倫(不貞行為)
• モラルハラスメントや暴力
• 勝手に家を出ていく、生活費を渡さないなどの悪意の遺棄(あくいのいき)
• 離婚そのものによる精神的苦痛(一方の有責行為が原因で平穏な婚姻生活が破綻し離婚に至った場合)
が挙げられます。
相手の行為そのものに加え、結果として「離婚という事態を強いられたこと」による精神的苦痛も慰謝料の対象となります。

 

40代・50代の慰謝料相場
離婚慰謝料の金額は事情によって異なりますが、不倫や暴力を原因とする場合、50万円から300万円程度が多いといわれています。
ただし、婚姻期間が長いほど精神的苦痛の影響が大きいと判断されやすく、40代・50代夫婦で20年以上結婚生活を続けてきた場合は、比較的高額な慰謝料が認められることがあります。逆に、有責行為の期間が短かったり、(不貞などの)証拠が乏しかったりする場合には、相場より低くなる、あるいは認められないこともあります。

 

40代・50代でありがちな慰謝料に対する誤解

誤解① 高齢の夫婦は慰謝料をもらえない
「若い夫婦には慰謝料が出るけど、年齢が高いと出ないのでは?」と思っている方がいますが、これは誤りです。慰謝料は年齢ではなく、相手の行為の内容と婚姻生活への影響によって認められます。40代・50代でも、不倫や暴力といった行為が原因であれば慰謝料請求は可能です。

誤解② 財産分与と慰謝料は同じもの
「財産分与を受け取ってしまうと慰謝料は請求できない」と思い込む方は多いですが、これは全く別の制度です。財産分与は離婚時に夫婦が協力して築いた財産を公平に分けるもの。一方で慰謝料は、精神的苦痛に対する賠償金です。両方を併せて請求する場合もあります。

誤解③ 高収入の相手なら高額の慰謝料がもらえる
「相手が高収入だから数百万円は当然」と期待するのも誤解です。確かに収入は算定要素のひとつですが、それだけで慰謝料の金額が決まるわけではありません。行為の悪質性、婚姻期間、被害者側の精神的苦痛の大きさなど、総合的に判断して算定されます。

 

誤解を避けるために必要なこと
40代・50代での離婚は、夫婦で築いた財産を分けることになり、その後の暮らしをどうしていくかを真剣に考える必要がある大切な時期です。慰謝料について誤解したまま行動してしまうと、請求できるものを見逃したり、逆に不必要に大きな不安を抱えてしまったりするリスクがあります。
そのため、インターネットや周囲の体験談に頼るのではなく、自分の状況に合った正しい法的知識を得ることが大切です。

 

弁護士に相談するメリット
慰謝料の相場は一律ではなく、状況によって大きく変わります。弁護士に相談すれば、あなたの状況に即した慰謝料の相場の金額を知ることができるだけでなく、相手との交渉の仕方や有効な主張の準備など、実践的なサポートを受けられます。
離婚を検討している40代・50代の方にとって、今後の生活を考慮した冷静な判断を下すためには、弁護士の力を借りることが大きな安心につながるでしょう。

 

まとめ
40代・50代の離婚慰謝料は、年齢ではなく相手の有責行為の有無とその内容によって判断されます。相場は50万円から300万円程度が多いですが、婚姻期間の長さや事情によって増減します。
「年齢が高いから慰謝料はもらえない」「財産分与と慰謝料は同じ」「高収入なら必ず高額な慰謝料がもらえる」といった誤った情報に惑わされず、正しい知識を持って行動することが大切です。
もし慰謝料のことで悩んでいるなら、弁護士細江智洋にご相談ください。きっと安心して前に進むためのヒントが得られるはずです。
離婚慰謝料について詳しくはこちら

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2025.10.26更新

離婚コラム54

 

離婚慰謝料の請求には時効がある?請求できる期間とは
離婚にあたって「精神的損害に対する慰謝料を請求したい」と考える方は少なくありません。
配偶者のモラハラや暴力、生活費を全く渡さない、正当な理由なく家を出て行ってしまったといったケースでは、離婚原因を作った側に対して慰謝料を求めることができます。
ただし、慰謝料には「いつまでに請求できるか」という時効が存在します。時効を過ぎてしまうと、正当な権利であっても実質的に行使できなくなるおそれがあります。ここでは、離婚慰謝料の時効と注意点を解説します。

 

離婚慰謝料の時効は「離婚成立から3年」
離婚慰謝料請求権の請求期間は、民法724条に基づき 離婚成立から3年 が原則です。
ここでいう「離婚成立」とは、協議離婚の場合は離婚届が役所に受理された日、調停離婚や裁判離婚の場合は調停調書や判決が確定した日を指します。
離婚が成立した時点で「損害(精神的苦痛)」が確定し、相手方(加害者)が誰であるかも明確になるため、この時点から時効がスタートするのが一般的です。
たとえば、
• 2022年4月に離婚成立 → 2025年4月まで慰謝料を請求可能
というイメージです。3年を経過した場合は時効完成となります。

 

離婚原因が違っても時効は同じ?
「配偶者のDVやモラハラが原因の場合はもっと時効が長くなるのでは?」と誤解している方がいますが、離婚慰謝料として請求する限りは離婚原因に関わらず離婚成立から3年というルールです。
なお不倫に関する慰謝料は「不貞慰謝料」として別に扱われるため、不倫を知った時から3年という考え方が用いられますが、ここで扱う「離婚慰謝料」には当てはまりません。

 

時効を過ぎるとどうなる?
離婚成立から3年の時効を過ぎてしまった場合、相手に慰謝料を請求しても認められない可能性があります。
法律上、時効は期間が経過(=時効完成)しても自動的に権利が消えることはありません。相手が「もう時効だから払わない」と主張することを 「時効の援用」 といいますが、この援用がなされた場合は慰謝料を請求することはできなくなります。
したがって、実務上は3年を過ぎると離婚慰謝料の請求はほぼ不可能になってしまいます。

 

時効を止める方法もある
「離婚からすでに2年半経っている」「話し合いが進まず、離婚からもうすぐ3年になってしまう」という場合でも、時効完成を防ぐ方法があります。
内容証明郵便で慰謝料請求を通知する
 → 時効完成を6か月間だけ先送りできる
家庭裁判所で慰謝料請求を目的とした調停・訴訟を申し立てる
 → 時効がリセットされ、新たにカウントされる
このような方法で、時効完成を防ぐことができ、請求の権利を維持できます。

 

離婚慰謝料の時効で注意すべき3つのポイント
1. 離婚成立から3年という短い期間しかない
 時間に余裕があると思っていても、準備や交渉には思ったより時間がかかります。
2. 交渉の引き延ばしで時効が完成してしまうリスクがある
 相手が「検討する」と言って引き延ばされている間に3年が過ぎれば、請求できなくなる可能性があります。
3. 時効が始まる日(=起算点)の誤解で時効を過ぎてしまう危険がある
 「まだ大丈夫」と思っていても、離婚成立日からカウントが始まっています。思い込みや勘違いもあるため放置するのは危険です。

 

まとめ
離婚慰謝料の請求には原則3年の時効がありますが、離婚原因や状況によって起算点が異なります。時効がいつ始まっているのか、時効を止めるための手続きはあるのかを確認することが大切です。
時効を過ぎてしまうと請求が難しくなるため、ご心配な方はできるだけ早めに弁護士へ相談することが大切です。
弁護士に相談すれば、時効の正確な起算点や適切な請求方法を判断でき、慰謝料を受け取る可能性が高まります。
当事務所では、離婚や慰謝料に関するご相談を数多く取り扱っております。「まだ慰謝料を請求できるのか」「時効までにどのような手続きをすればいいのか」といった悩みを抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
→詳しくはこちらをご覧ください:離婚慰謝料について

 

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2025.10.23更新

離婚コラム53

 

配偶者の不倫が発覚したときの精神的なダメージは、想像も出来ないほど大きいものです。そのとき問題となるのが「慰謝料」です。慰謝料を請求できるのか、どのくらいの金額が相場なのか。また、支払う側にとってはどこまでが妥当な範囲なのか――。この記事では、不倫の慰謝料の相場や判断のポイントを、弁護士の視点からわかりやすく解説します。

 

不倫の慰謝料とは?
不倫の慰謝料とは、配偶者の不貞行為によって受けた精神的な損害に対して支払われるお金のことです。法律上の「不貞行為」があった場合に請求でき、単なる不倫の疑いだけでは認められません。通常は、不倫した配偶者本人と不倫相手の双方に対して請求できる可能性があります。

 

慰謝料の相場はどれくらい?
慰謝料の金額はケースによって大きく変わります。裁判例や実務上の傾向からすると、次のような目安があります。
離婚しない場合:50万円~100万円程度
不倫が原因で別居に至った場合:100万円~200万円程度
不倫が直接の原因で離婚に至った場合:200万円~300万円程度
もちろん、これはあくまで目安であり、個々の状況によって増減します。

 

慰謝料の金額が増減する判断ポイント
慰謝料の金額の判断には「一律の計算式」があるわけではなく、以下の要素が考慮されます。
不倫の期間や回数:長期かつ継続的な不倫関係は、増額要因になります。
結婚期間の長さ:長年の婚姻生活が壊された場合、金額は高くなる傾向があります。
未成年の子どもの有無:幼い子どもへの影響は大きいため、増額されることがあります。
支払う側の収入や経済状況:経済力に応じた金額に調整される場合があります。
不倫した側の態度:不倫が発覚した後に、誠実に謝罪し協議に応じれば減額される可能性があります。逆に、非協力的な態度をとったり、不倫の事実を否定し続けたりすると、慰謝料が増額される場合もあります。

 

支払う側が注意すべき点
不倫が事実であれば、慰謝料を支払う義務があります。ただし、請求された慰謝料の金額が必ずしも妥当な金額とは限りません。相場とかけ離れていないかを確認しましょう。弁護士に依頼して相手と交渉すれば、金額や支払方法を調整できる可能性があります。

 

もらう側が注意すべき点
慰謝料請求を成功させるためには、証拠を押さえることが重要です。メールやLINEのやり取り、ホテルへの出入りを示す写真など、相手の不貞行為を裏付ける資料が必要となります。また、慰謝料請求の方法にも注意が必要です。相手と直接交渉すると感情的な言い合いに発展しやすく、合意に至らないことも多くあります。弁護士を通じて請求すれば、冷静に適切な金額での解決が望めるでしょう。

 

裁判にするか、協議で解決するか
慰謝料請求は裁判を経なくても、当事者間の話し合いや弁護士を通した協議で解決できる場合が多いです。実務上は多くのケースが協議で解決し、裁判まで進むのは一部に限られます。裁判になると時間や費用の負担が大きいため、一般的には協議を進めますが、相手が全く応じない場合には裁判を検討する必要があります。

 

まとめ:協議だからこそ弁護士のサポートが重要
不倫の慰謝料は、支払う側・請求する側にとっても影響の大きい問題です。裁判に至るケースは少ないものの、協議段階だからこそ弁護士のサポートが不可欠です。
• 慰謝料の支払い義務があるのかどうか
• 請求金額や条件が現状に鑑みて妥当かどうか
• 将来トラブルにならない形で合意できているかどうか
これらを判断できるのは弁護士です。当事者同士では感情的になりやすい状況だからこそ、早い段階で弁護士に相談することが安心につながります。
弁護士細江智洋の事務所では、不倫の慰謝料や離婚に伴う金銭問題についてのご相談を多数承っています。詳しくは当事務所の「不倫慰謝料」のページをご覧ください。

 

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2025.09.02更新

離婚コラム36

 

家庭内での精神的な暴力、いわゆる「モラルハラスメント(モラハラ)」が原因で、深く傷つき、離婚を考える方が増えています。
しかし、モラハラは目に見える暴力(DV)と異なり、外からは気づかれにくいため、「本当に慰謝料を請求できるのか」「金額はどのくらいが相場なのか」といった不安を抱く方も少なくありません。
本記事では、モラハラによる慰謝料請求の可否や金額の相場、請求を成功させるために必要なことについて、弁護士が分かりやすく解説いたします。

 

モラハラとは?法的にどう扱われる?
モラハラとは、相手を言葉や態度で精神的に追い詰める行為のことを指します。たとえば、
• 理由もなく無視をする
• 繰り返し人格を否定するような発言をする
• 行動を細かく監視・束縛する
• 威圧的な態度をとる
といった行為が継続的に行われると、それは精神的虐待=モラハラと見なされる可能性があります。
このようなモラハラ行為が、夫婦の婚姻関係を継続できないほど深刻な場合、民法770条1項5号に基づいて離婚が認められ、あわせて慰謝料を請求できる場合があります

 

モラハラで慰謝料を請求できるのはどんな場合?
モラハラで慰謝料を請求するためには、次のような要件が重要になります。
• モラハラ行為が継続的かつ悪質であること
• その被害が婚姻関係を破綻させたこと
• 被害者が心身に苦痛を受けていること(例:うつ病、不眠症など)
• 上記を証明できる証拠があること
たとえば、病院の診断書、LINEのやりとり、音声・動画のデータ、日記、第三者の証言などが、慰謝料請求の場で重要な証拠となります。

 

モラハラ慰謝料の金額相場はどのくらい?
慰謝料の金額は、被害の内容や証拠の有無などによって大きく異なりますが、一般的な相場は50万円〜300万円程度です。
たとえば、長年にわたるモラハラでうつ病を発症し、医師の診断書があるようなケースでは、200万円を超える慰謝料が認められることもあります。
一方、証拠が乏しく、被害が軽微と判断される場合には、50万円前後にとどまることもあるのが現実です。
特に、「どれだけつらい思いをしたのか」「その結果、夫婦関係がどのように悪化したのか」をはっきりと示せない場合には、慰謝料の金額が大きく減額されることもあります。
たとえば、夫婦で同居を続けている場合は、モラハラを受けていたと主張していても「本当に関係が破綻していたのか」と裁判などで疑問を持たれることがあります。
しかし実際には、経済的な事情や子どもの生活、加害者への恐怖心などから、被害を受けながらも別居に踏み切れない方が多いのが現実です。
このような背景を理解してもらうためには、「なぜ同居を続けていたのか」「それでもどれほどの苦痛があったのか」を、日々のメモなどに冷静に記録することが大切です。
慰謝料の金額は、どれほど深刻な影響があったのかを、事実と根拠に基づいて客観的に伝えることが求められます。

 

慰謝料請求を成功させるにはどうすればよい?
慰謝料請求を成功させるためには、次のような準備がとても大切です。
• モラハラの言動を記録した日記やメモを残す
• LINE・メール・音声データなどの証拠を保存しておく
• 心療内科やカウンセラーへの受診履歴や病院の診断書を保存する
• 早めに弁護士へ相談する
特に、感情的になって突然家を出たり、相手に怒りをぶつけてしまったりすると、証拠が残らず、逆に自分が不利になる可能性もあります。
つらい状況の中でも、慎重に証拠を確保し、冷静に対応することが、最終的に自分を守ることにつながります。

 

まずは、専門家に相談することから始めましょう
モラハラの被害を受けている方は、「自分の感じている苦痛は法的に認められるのか」と悩んでしまうこともあると思います。
しかし、慰謝料請求や離婚が認められるケースも多くあります。大切なのは、証拠を残し、正しい手順で進めることです。
弁護士細江智洋は、モラハラ離婚に関する多数のご相談を受けており、依頼者の心に寄り添いながら問題解決をサポートしています。
まずはご相談ください。安心への一歩を踏み出すお手伝いをいたします。


→モラハラの離婚についての詳細はこちら

 

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2025.07.10更新

離婚コラム18

 

50代という人生の節目に、「夫の不倫」が発覚したら――
長年連れ添ってきた相手の裏切りに、深い悲しみと怒りを感じるのは当然のことです。

「これから先、夫と一緒に暮らしていく意味はあるのか…」答えが見つからず、感情と現実の間で揺れるお気持ちは当然のことです。

ですが、こうした状況だからこそ、冷静に今後の選択肢を見つめ直すことが大切です。

本コラムでは、50代女性が夫の不倫をきっかけに離婚を考えるとき、後悔しないために知っておきたい「3つの選択肢」をご紹介いたします。

 

選択肢①:すぐに離婚せず「別居」という道もある

不倫の発覚後、すぐに離婚を決断するのは難しいです。
お子さんのこと、経済面、老後の暮らし…さまざまな不安がある中で、「いったん別居する」という方法もあります。

別居によって気持ちの整理ができ、さらには法的にも「婚姻費用(生活費)」を夫に請求できる可能性があります。

 

 

選択肢②:不倫の証拠をもとに「慰謝料請求」を検討する

不倫が事実であれば、夫や不倫相手に対して慰謝料を請求できる可能性があります。ここでは、特に注意しておきたい3つのポイントをご紹介します。

●【時効】3年以内に請求しなければならない

・慰謝料請求には「時効」があります。

・不倫の事実と相手を知ってから3年以内

・不倫行為があってから20年以内

この期間を過ぎてしまうと、たとえ証拠があっても慰謝料を請求できなくなる場合があります。手遅れにならないうちに早めに弁護士に相談し、適切な対応を進めることが大切です。

 

●【夫婦関係の破綻】すでに夫婦関係が終わっていた場合は請求できないことも

慰謝料は「不倫が夫婦関係を壊した」ことに対する損害賠償です。
そのため、不倫当時すでに夫婦関係が破綻していた(=事実上終わっていた)と判断されると、慰謝料が認められない場合があります。

【破綻とみなされる例】

・すでに数年以上別居していた

・同居中でも数年間会話や接触がない家庭内別居が続いていた

・離婚調停や訴訟で夫婦関係が破綻していたことを判断された

・離婚調停が長く続いていた

逆に、日常的に夫婦の交流があったこと(旅行、LINEのやりとり、家計の共有など)が確認できれば、「破綻していなかった」と証明しやすくなります。

 

●【証拠収集】確かな証拠がなければ慰謝料は認められない

慰謝料を請求するには、不貞行為(性的関係を伴う不倫)を示す証拠が必要です。

【有効とされる証拠の例】

・ラブホテルの出入り写真

・不貞相手と宿泊したことが分かる領収書

・不倫相手とのLINEやメール(親密な内容)

・探偵による調査報告書

違法な手段(盗聴など)による場合は、逆に不利になることもありますので、弁護士と相談しながら証拠を整理することが安心です。

 

選択肢③:将来の「熟年離婚」に備えて準備を始める

今すぐ離婚は考えていない方も、「数年後に熟年離婚をするかもしれない」と思っている場合は、早い段階で準備を始めておくことをおすすめします。

【準備しておきたいこと】

・財産分与の対象となる資産(自宅・預金・株など)の把握と記録

・年金分割に備えた年金記録の確認

・離婚後の生活費の試算

・離婚後の住まい・生活拠点の検討

これらは、突然の離婚や夫婦間のトラブルが起きたときにも、自分の人生を支える大きな備えになります。

 

一人で悩まず、弁護士にご相談ください

「夫に裏切られた」という事実に苦しみながら、将来のことも一人で考えなければならない…そんな悩みを抱えていらっしゃる方にこそ、法律の専門家によるサポートが大きな助けとなります。

弁護士細江智洋は、熟年離婚や不倫問題に多数の実績があり、女性の立場に寄り添ったアドバイスを行っております。
熟年離婚についての詳しい情報は、こちらのページからご覧いただけます:

→50代,60代のための離婚相談~熟年離婚の法律相談

 

人生の後半戦を、納得のいく形で歩んでいくために。「いま何をするべきか」をぜひ一緒に考えてまいりましょう。

 

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

2025.07.07更新

離婚コラム17

 

「もう我慢の限界かもしれない」——長い間連れ添ったご夫婦が、60代を迎えてから離婚を考える「熟年離婚」が近年増えてきました。特に女性の方からは、「長年の苦労に見合った慰謝料はもらえるのかしら?」というご相談がとても多く寄せられます。

今回は、熟年離婚での慰謝料の相場や、実際に認められる条件、準備した方がいい証拠などについて、やさしく解説いたします。

 

■ 慰謝料とは?

慰謝料とは、相手の行動によって受けた精神的な苦しみに対する損害賠償です。離婚の原因が、浮気や暴力、モラハラなど「不法な行為」によるものであれば、慰謝料を請求できます。

一方で、「性格の不一致」や「夫婦間のすれ違い」など、どちらが悪いとは言えない事情では、慰謝料が認められないこともあります。

 

■ 慰謝料は「苦しみの深さ」×「違法性」で決まる

慰謝料は、「どれほど深く傷つく行為か」と「相手の行為がどれだけ悪質か」で判断されます。

たとえば以下のような理由がある場合、慰謝料が認められやすくなります。

・配偶者の不倫(不貞行為)

・DV(身体的な暴力)

・モラハラ(精神的な支配や暴言)

・経済的な虐待(生活費を渡さない)

慰謝料の金額は熟年離婚だから高くなるわけではなく、「違法性のある行為」と「被害の証明」が重要なのです。

 

■ 慰謝料のために準備しておきたい証拠とは?

慰謝料の請求では、以下のような証拠があると、慰謝料が認められやすくなります。

不倫相手とのLINEやメール、写真、SNSのデータ

暴力の痕を撮影した写真やうつ病などの医師の診断書

モラハラの音声データや、発言を書き留めた日記・メモ

生活費をもらえなかった証拠(通帳、レシートなど)

これらは、調停や裁判でも大きな判断材料になります。
離婚を考え始めた段階から、少しずつ準備しておくとよいでしょう。
離婚の話し合いに入ってしまうと、相手が証拠隠しや妨害をする可能性もありますので、ご自身を守るための備えとしてとても大切です。

 

■ 慰謝料の相場はどれくらい?

慰謝料の金額はケースによって異なりますが、以下が一般的な目安です。

・50万〜300万円程度

・不貞やDVが原因で離婚に至った場合には高額の傾向

・セックスレスの場合には50万前後と低額の傾向

・その他、婚姻期間の長さ・回数・頻度、子どもの年齢、離婚原因以前の夫婦関係、支払う側の収入、原因行為が長期に及んでいたか、原因となる行為の悪質性、請求する側の落ち度、謝罪の有無・反省の態度などの事情も影響します。

慰謝料はあくまで「精神的損害の補償」であり、老後の生活費にはならない点に注意が必要です。

 

■ 慰謝料だけでは足りない?老後の安心のために考えたい他のお金のこと

熟年離婚においては慰謝料だけではなく将来の生活設計も考えておくことが大切です。特に60代以降の離婚では、今後の収入が限られていることもあるため、「どんなお金が、どのくらい受け取れるのか」を総合的に計画しておくことが大切です。

まずは、財産分与・年金分割・婚姻費用にも注目しましょう。
これらは慰謝料と違い、相手に非がなくても受け取れる重要な制度です。

 

● 財産分与

夫婦で築いてきた財産(預貯金・不動産・年金など)は、夫名義のものであっても原則として半分ずつ分け合うことになります。専業主婦の方でも、家庭を支えてきた貢献がきちんと評価されます。

 

● 年金分割

夫が会社勤めなどで厚生年金に加入していた場合、通常はその2分の1を分割して自分の年金として受け取ることが可能です。将来の生活に大きく関わってきますので正しく理解しておきましょう。

● 婚姻費用

別居中でも法律上は「夫婦」であるため、収入差に応じて生活費の分担を請求できるのが婚姻費用です。離婚が成立するまでの生活の支えになります。

 

■ 後悔しない準備のために

「慰謝料がもらえそうだから」といった気持ちだけで離婚を進めると、後から金銭面で後悔することがあります。慰謝料だけに期待せず、冷静に準備をしておけば、安心した再出発につながります。

弁護士細江智洋は、熟年離婚に関する多数の実績があり、特に50~60代の女性のご相談に力を入れております。
あなたの状況に合わせて丁寧にアドバイスを行い、納得のいく離婚をサポートいたします。

まずは下記の専用ページをご覧いただき、お気軽にご相談ください。

→50代,60代のための離婚相談~熟年離婚の法律相談

 

この記事を担当した弁護士

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みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
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2025.06.19更新

離婚コラム11

 

離婚を検討している原因が「モラハラ(モラルハラスメント)」の方にとって、「慰謝料」は大きな悩みの一つではないでしょうか。
長年、精神的な苦しみを受けてきたのに、このまま何もなかったことにされてしまうのではないか――そんな不安をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
しかし、モラハラは目に見えにくく、証拠を集めるのが難しい側面もあります。慰謝料を得るには、いかに戦略的に、かつ冷静に交渉を進めるかがポイントになります。
本記事では、弁護士の視点からモラハラ離婚における慰謝料の交渉術を具体的に解説いたします。

 

モラハラ離婚で慰謝料が請求できる条件とは?
慰謝料とは、精神的な苦痛に対する損害賠償金です。モラハラ離婚においては、相手からの継続的な暴言・無視・人格否定などが「不法行為(民法709条)」に該当します。慰謝料請求が可能になるのは、不法行為が原因で婚姻関係が破綻したと認められる場合です。
ただし、そのためには「どのような被害が起きたのか」「どのようなモラハラがあったのか」を客観的に証明する材料が必要です。

 

慰謝料交渉で重要な3つのポイント
1. 証拠の収集は冷静かつ丁寧に
以下のような資料が有効です:
 • 暴言や脅しの発言の音声・動画
 • LINEやメールでのやり取り
 • 精神的な被害を記録した日記
 • (心療内科・精神科などの)通院歴や診断書
 • 第三者の証言(家族や友人、上司など)
このような証拠は、「モラハラの実態があったこと」を裏付け、法的な交渉材料として非常に有効です。

 

2. 慰謝料の相場を把握する
モラハラ離婚での慰謝料の相場は、一般的には数十万円〜300万円程度であり、幅が広くなっています。モラハラの内容・頻度、証拠の有無などの様々な事情によるため、事案によって大きく変わります。酷いモラハラで不眠や鬱病などを発症している場合は、高額になる傾向にあります。
ご自身の状況によって変わってくるため、弁護士にご自分の状況を伝えたうえで適正な相場を知ることが大切です。

 

3. 感情ではなく、法的根拠と冷静な姿勢が鍵
「反省させたい」「わかってほしい」という気持ちは当然です。しかし、交渉の場では、感情的な主張よりも一貫して法的根拠に基づいた主張と冷静な対応が求められます。
◆法的根拠とは?
慰謝料を請求するには、相手のモラハラが民法上の不法行為(709条)として違法性を持ち、「故意または過失があったこと」「損害(精神的苦痛)が発生したこと」「因果関係があること」を証明する必要があります。
音声データや診断書などの証拠が、こうした要件を立証する材料になります。
◆冷静な対応とは?
交渉では、証拠に基づいて、感情に流されず、淡々と事実を示す姿勢が重要です。感情的に要求すれば、相手から「被害妄想だ」と言われ、交渉がこじれる原因にもなり得ます。

 

弁護士が交渉に入る具体的なメリット
モラハラ加害者は、話し合いの場で自分を正当化したり支配的な態度をとったりして、「そんなつもりはなかった」「あなたが悪い」と被害者に責任を転嫁してくることが少なくありません。
このような相手に対して、弁護士が交渉に入ることには以下のようなメリットがあります
 • 交渉内容が法的かつ論理的に整理される
  証拠と法律に基づいた主張を展開できるため、説得力が増します。
 • 相手に連絡するストレスから解放される
  すべての連絡は弁護士が代理で行うため、精神的負担が軽くなります。
 • 相手の態度が変わる可能性が高い
  弁護士が関与することで、相手も軽視できないと感じ、態度を軟化させることがあります。
 • 裁判を見据えた戦略も立てられる
 交渉が難航した場合でも、訴訟への移行を見据えた準備を整えることができます。

 

冷静な準備と専門家のサポートが必要です
モラハラによる離婚と慰謝料交渉には、複数の課題があります。
まず、精神的な苦痛を受けた証拠として記録し、相手の行為が法的に「不法行為」に該当することを裏付ける必要があります。また、慰謝料の金額については、適正な相場や過去の裁判例を参考に、説得力のある主張を組み立てることが求められます。
一人で抱え込まず、証拠の整理、相手方との交渉、必要に応じた訴訟対応まで専門家である弁護士のサポートを受けることで、あなたの正当な権利を守ることができます。
モラハラ離婚に関する詳しい対応方法などは、下記の専用ページでも詳しくご案内しています:

 

→モラハラ離婚の詳細はこちら

 

あなたの安心と新たな一歩のために、ぜひ一度、弁護士細江智洋にご相談ください。

 

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