夫・妻のモラハラで離婚を検討している方へ
監修:弁護士 細江智洋
この記事のまとめ
- モラハラは「目に見えない精神的暴力」で、被害に気づきにくく、周囲から理解されにくい
- よくある特徴は、「人格否定」「威圧的言動」「無視や経済的支配」「理想の押し付け」
- 裁判で離婚が認められるには「婚姻を継続し難い重大な事由」があることを証明する必要あり
- 証拠は「質と量」だけでなく「時系列で整理」することが大切
- 協議・調停・裁判の流れと期間の目安を知り、無理に我慢せず準備を進める
- 弁護士に相談すれば、安全確保から証拠整理・調停対応まで一貫してサポートできる
はじめに
「暴力はないけれど、言葉や態度で心がすり減っている」
「反論できずに責められ、顔色を窺う生活がつらい」
――こうした状態は、モラルハラスメント(モラハラ)の典型例です。
私は横浜で12年間で、280件以上の離婚問題を解決してきました。その中でもモラハラという「目に見えない苦しみ」に悩み、声を上げられないご相談者が非常に多くいらっしゃいます。
この記事では、モラハラの特徴、証拠の集め方、離婚を進める手順、注意点、そして実際の解決事例について、横浜の離婚弁護士が解説します。
目次
モラハラとは?
モラハラとは、モラルハラスメントの略称で、法律上の定義があるわけではありません。一般的には、「精神的な暴力・虐待」「言葉や態度によって相手を支配し傷つけること」といわれています。
よくあるモラハラの事例
• 人格を否定する発言:「お前は無能だ」「何をやってもダメ」
• 威圧的な行動:怒鳴る、物を壊す
• 無視・不機嫌:会話を遮断し、相手をコントロールする
• 経済的支配:生活費を渡さず依存させる
• 理想論の押し付け:「妻なんだから」「母親なんだから」と罪悪感を抱かせる
▶ モラハラ発言は、「正しく見える」ことが多く、被害者は、辛い思いをしても「自分が悪い」と考えがちです。辛いと感じたら、無理をせずご相談ください。
モラハラ加害者になりやすいタイプ
- 外では「良い人」「優秀な人」を演じる
- 自己愛が強く、共感力が乏しい
- 家族に依存・執着し、嫉妬心が強い
- 嘘が多く、責任を転嫁する傾向がある
【弁護士コメント】
モラハラ当事者とされる方には、一見真面目で、話し方もきちんとした方が多い印象です。
モラハラは外からは見えにくく、「言った・言わない」で争いになることがよくあります。だからこそ、証拠集めや事前の準備が重要です。
モラハラを理由に離婚できる?
1. 協議や調停では合意が必要
モラハラ加害者は依存心が強く、離婚に応じにくい傾向があります。
2. 裁判では『婚姻を継続し難い重大な事由』が焦点
人格否定や威圧行為が繰り返され、「婚姻を継続し難い重大な事由がある」ことを証明する必要があります。
3. 別居3年〜5年以上で離婚が認められやすい
裁判では、別居期間が「夫婦関係の破綻」の認定を得る重要なポイントになります。
▶ 人格否定が長期間繰り返されてきたことや、そのせいで心身を病んでしまったこと、別居期間が長期に及んだことは、離婚が認められやすい事情にあたります。
モラハラの証拠を集める方法
• SNS・メール:命令口調や人格否定の記録
• 録音・録画:怒鳴り声や物に当たる様子
• 日記・メモ:時系列で整理し、継続性を示す
• 診断書:心身への影響を裏付ける
▶ ポイントは「単発」ではなく「継続性」です。
「いつ」「どんな言動」「どんな影響」を記録することで説得力が増します。
モラハラ離婚の手順
1. 証拠の確保(まず記録を残す)
2. 別居の検討(精神的安定+裁判で有利)
3. 婚姻費用の請求(収入が多い相手から生活費を請求可能)
4. 離婚を伝える(危険がある場合は弁護士を通す)
5. 協議 → 調停 → 裁判(段階的に進める)
▶ 調停:約半年〜1年、裁判:1〜2年と長期になる場合があります。
手続きに時間がかかることを見越して、生活費やお子さんの環境などの準備を進めましょう。不安な方は早めにご相談ください。
詳しくはこちらの記事をご覧ください↓↓
[離婚準備と離婚手続き]
[婚姻費用の詳しい解説]
モラハラ離婚の注意点
• 周囲に理解されにくい:外面が良いため、相談しても驚かれることがある
• 逆上リスク:離婚を切り出すと攻撃的になる可能性
• 子どもを利用:「親失格だ」「子どもに会わせない」と揺さぶることも
• 罪悪感を利用:被害者を“加害者”に仕立て上げる
▶ 心身の安全確保が最優先です。相手はあなたの罪悪感を利用しているかもしれません。まずはご相談ください。
また、身の危険を感じたら、警察・シェルター・配偶者暴力相談支援センターに相談してください。
モラハラ離婚の解決事例
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弁護士細江智洋からのメッセージ
モラハラは目に見えない分、周囲に理解されず、一人で苦しんでしまう方がたくさんいらっしゃいます。
まずは、辛い気持ちを話してみませんか?
離婚条件は?離婚までの道のりは?
我慢する以外の選択肢についても一緒に考えてみましょう。
どうか一人で抱え込まず、まずは初回30分の無料相談をご利用ください。
あなたとお子さんの人生を守るため、一緒に一歩を踏み出しましょう。
この記事を担当した弁護士
みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
横浜で離婚問題に携わり12年以上、離婚問題を280件以上解決した実績あり。
あなたの気持ちに寄り添いながら、より良い未来のために、離婚手続きや養育費、慰謝料を親身にサポート。お気軽にお問合せください。
この記事の編集・SEO担当者
阿部絵美(元裁判所書記官)
横浜家庭裁判所で3年間、離婚調停などを担当。現場の知見を生かし、弁護士細江智洋の法律解説に元書記官としての視点をプラスして編集しています。
※ 法律解説は弁護士監修です。















