離婚コラム|横浜の離婚に強い弁護士 細江智洋がわかりやすく解説

2026.04.04更新

離婚コラム99

 

別居中の生活費の支払いは義務?同居義務との関係
離婚に向けて別居を考えたとき、今後の生活費をどう確保するかは大きな不安になりやすいところです。「もう一緒に住んでいないのだから、生活費を払わなくてよいのでは」と思われることもありますが、離婚が成立する前であれば、原則は別居中でも生活費を分担する義務があります。そこで今回は、別居中の生活費の支払い義務と、民法上の同居義務との関係について、具体例を交えながらわかりやすく解説します。

 

別居中の生活費は支払う義務がある?婚姻費用の基本
別居中であっても、離婚が成立するまでは、生活費を分担する義務があり、この生活費は法律上「婚姻費用」と呼ばれます。婚姻費用には、食費や住居費、光熱費、日用品代だけでなく、子どもの養育費、教育費、医療費など、婚姻生活を維持するために必要な費用が含まれます。

 

同居義務があっても別居できる?別居と法律上の関係
もっとも、民法には夫婦の同居義務もあるため、「別居すると法律違反になるのでは」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。ですが、現実には、すべての別居が問題になるわけではありません。たとえば、DVやモラハラ、生活費を渡さないなどの経済的圧迫、不貞行為の発覚などの事情がある場合には、別居に相応の理由があると判断されます。大切なのは、同居義務の問題と、生活費の分担義務の問題は分けて考える必要があるという点です。

 

別居中の生活費と同居義務の関係はどう考える?
「同居していないのだから、生活費は払わない」という主張は、そのまま認められるとは限りません。別居に至る事情がある場合でも、婚姻関係が続いている以上、相手や子どもの生活を支える必要があります。つまり、別居していることと、婚姻費用を負担しなくてよいことは同じではないのです。この点を誤解したまま別居を始めてしまうと、あとで大きな争いになりやすいため注意が必要です。

 

具体例で解説|別居中の生活費は誰が負担するのか
たとえば、夫が会社員として安定した収入を得ていて、パート勤務の妻が子どもを連れて別居した場合、離婚前であれば、夫が妻や子どもの生活費を負担すべきと判断されます。反対に、妻のほうが高収入で、夫が病気や失業などにより十分な収入を得られない場合には、妻が生活費を負担することになります。婚姻費用は、夫か妻かで機械的に決まるものではなく、夫婦それぞれの収入、資産、子どもの人数や年齢などを踏まえて考えられます。

 

別居中の生活費はいくら?請求額でもめる理由
実際には、「いくら支払うべきか」「いくら請求できるのか」で揉めることが少なくありません。そのため、給与明細、課税証明書、預金の状況、毎月の支出などの資料を準備しておくことが重要です。話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てることができます。調停がまとまらなければ審判に移り、裁判官が必要な審理をしたうえで判断する流れになります。

 

別居前に準備したいこと|生活費トラブルを防ぐポイント
別居は、ただ家を出ればよいというものではありません。別居後の生活費の見通し、子どもの生活環境、今後の離婚協議や調停の可能性まで考慮しつつ進めることが大切です。このような準備が不十分なまま別居すると、生活費の請求方法や支払い時期が曖昧になり、かえってトラブルが長引くことがあります。早めに必要資料をそろえ、法的な見通しを持っておくことで、落ち着いて次の一歩を踏み出せます。

 

別居中の生活費で悩んだら弁護士に相談を
別居中の生活費の問題は、これからの生活を支える大切な土台です。「別居したいが生活費がもらえないかもしれない」あるいは「自分がどこまで負担すべきかわからない」とお悩みの方は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士細江智洋にご相談いただければ、婚姻費用の見通し、別居の進め方、必要資料の整理、調停を見据えた対応まで、状況に応じて丁寧にアドバイスいたします。離婚に向けて別居を考えている方は、「離婚に向けて別居を考えている方へ」のページもあわせてご覧ください。

この記事を担当した弁護士

コラム用写真

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。 

2026.03.30更新

離婚コラム98

 

熟年離婚に影響?同居義務がトラブルの火種に
「離婚も考えているけれど、先に別居してしまって大丈夫なのだろうか」
熟年離婚を考え始めた女性の中には、このような不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。子どもの独立や夫の定年をきっかけに、今後の人生を見直したいと考えるのは、自然なことです。
そこで気にかかる点は、夫婦には「同居義務」があるという話です。夫婦は一緒に生活することが原則とされていますが、どのような場合でも無理をして同じ家に住み続けなければならない、というわけではありません。今回は、熟年離婚を考えるときに知っておきたい同居義務の考え方と、別居をめぐって起こりやすいトラブルについて、わかりやすくご説明します。

 

同居義務とは何ですか
夫婦には、一緒に暮らし、互いに協力し、支え合って生活する「同居義務」があります。
もっとも、これはどんな事情があっても必ず同じ家で生活しなければならない、という意味ではありません。たとえば、相手からきつい言葉を受け続けている、生活費を十分に入れてもらえないなど、夫婦としての生活を続けることが難しい事情があれば、別居に相応の理由があると考えられます。
熟年離婚を考える場面では、「暴力があるわけではないから我慢しなければならないのでは」と悩む方もいらっしゃいます。しかし、毎日家の中で精神的なストレスが強い状態が続くことは、決して軽くみてよいものではありません。

 

熟年離婚で同居義務が問題になりやすい理由
熟年離婚を考えたとき、住まいやお金、これからの暮らしのことが複雑に重なっています。そのため、別居したとしても、生活費をどうするのか、家は住み続けるのか、今後の話し合いをどう進めるのかといった新しい問題が出てくることがあります。
また、長年一緒に暮らしてきた夫婦ほど、周囲からは「ここまでやってきたのだから、今さら別居しなくても」と見られてしまうことがあります。けれども、長い年月の中で積み重なったつらさは、外からは見えにくいものです。
また、やっと別居を決意しても、相手から「夫婦なのに、勝手に家を出るなんて理解できない」と責められ、話し合いがこじれてしまうことがあります。熟年離婚では、このように同居義務の問題が感情的な対立のきっかけになりやすいのです。

 

具体例:長年の我慢の末に別居した妻のケース
たとえば、結婚して30年以上たつ夫婦で、子どもはすでに独立しているケースを考えてみましょう。夫が定年後に家にいる時間が増え、妻の行動にいちいち口を出すようになったとします。外出や友人との食事にも不機嫌になり、妻のストレスは少しずつ大きくなっていきます。そして妻がようやく別居を決意しても、夫が反発し、離婚の話し合いが進まなくなることがあります。
このような場合には、なぜ別居を考えるようになったのか、どのようなことがつらかったのかを整理しておくことが大切です。長年苦しみ続けた末に別居に至ったことが伝われば、その後の話し合いで状況を説明しやすくなります。

 

別居を考えるときに気をつけたいこと
もっとも、別居する前の段階で、離婚後の生活まで細かく見通すのは簡単ではありません。実際には、別居してから初めて、共有財産や今後の生活について具体的な話が進むことも多いでしょう。
それでも、別居後に困らないよう、大まかな問題点を整理しておくことは大切です。たとえば、当面の生活費をどうするのか、どこに住むのか、通帳や保険など後で必要な資料を確認できているか、自宅に残るのはどちらか、といった点です。何も準備しないまま家を出てしまうと、その後の生活や話し合いがいっそう難しくなることがあります。

 

熟年離婚を考えたら、別居前に弁護士へ相談を
熟年離婚では、同居義務だけでなく、生活費、財産分与、年金分割など、大切な問題がいくつもあります。そのため、別居を考えた段階で、一度弁護士に相談しておくことをおすすめします。一人では不安が大きくなりがちですが、弁護士に相談すれば、法的な見通しが分かるだけでも落ち着いて考えることができます。
熟年離婚や別居を検討している方は、弁護士細江智洋の法律相談をご利用ください。あわせて、別居について基本から知りたい方は、「離婚に向けて別居を考えている方へ」のページもぜひご覧ください。今後の進め方を考えるうえで、参考にしていただけるはずです。

 

この記事を担当した弁護士

コラム用写真

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

2026.03.25更新

離婚コラム97

 

離婚調停で主張を通すには?話し方のコツ
離婚調停で、ただ「正しいこと」を述べるだけでは自分の希望をかなえるのは難しいかもしれません。どのように伝えるか、どのような態度で臨むかによって、調停の進み方や合意の可能性は大きく変わります。
「離婚調停 主張」「離婚調停 コツ」「離婚調停 有利に進める方法」などを検索されている方の多くは、「自分の言い分が通るだろうか」「失言して不利にならないだろうか」と不安を抱えていらっしゃいます。
ここでは、離婚調停で主張を通すための“話し方”の大切なポイントを、具体例を交えながら分かりやすく解説いたします。

 

1.結論を先に、理由は具体的に伝える
調停では、一度に長い時間話せるわけではありません。当事者は同時に話すのではなく、交代で調停委員と話すため、実際に自分が話せる時間は30分程になるケースが一般的です。限られた時間の中で印象に残る説明をするには、結論を先に述べることが大切です
たとえば親権を希望する場合、
「これまで私が食事の世話や学校行事への参加をしてきましたし……」
と経緯から話し始めるよりも、
「私は親権を希望しています。その理由は、これまで主に私が子どもの世話をしてきたからです。」
と、まず結論とその理由を示します。
そのうえで、
• 保育園や学校への送迎状況
• 通院の付き添い
• 今後の生活環境の見通し
といった具体的な事実を順に説明すると、主張が整理され、説得力が高くなります。調停委員は中立の立場にありますので、客観的な事実を重視します。

 

2.相手を批判するより、自分の希望を軸に話す
離婚調停では、相手に対する不満や怒りが強くなることも当然です。しかし、「相手がどれだけ悪いか」ばかりを話してしまうと、話の焦点がぼやけてしまいます。
たとえば慰謝料を求める場合でも、
「許せない」「裏切られた」
という相手への思いだけではなく、
• 不貞行為があったこと
• その結果、精神的苦痛を受けたこと
• 婚姻関係が続いていたこと
といった法的に重要な事実を伝えることが大切です。
感情を無理に抑える必要はありませんが、話の中心を“自分がどのような解決を求めているか”に置くことが、結果につながります。

 

3.言葉づかいと態度が信頼につながる
離婚調停では、発言内容だけでなく、受け答えの姿勢も無関係ではありません。
• 相手の話を最後まで聞く
• 調停委員の質問には簡潔に答える
• 否定的・命令口調にならないよう心がける
こうした基本的な態度は、「冷静に話し合いができる人」という印象につながります。
特に親権が争われている場合には、子どもの利益を落ち着いて考えられるかどうかが重視されます。穏やかな態度で話すことそのものが、主張の説得力を支えます。

 

4.言い回しを工夫するだけで印象は変わる
同じ内容でも、表現方法によって受け取られ方は大きく異なります。
たとえば、
「絶対に譲れません」
という言い方は融通が利かないように思われますが、
「私にとってこの点はとても重要です」
と言い換えるだけで、柔軟な印象になります。
また、
「相手は何もしてくれなかった」
ではなく、
「私は主に家事や育児を担ってきました」
と主語に自分を置くことで、対立を避けて主張を伝えることができます。
このように、話し方の工夫は、調停の雰囲気や進み方に影響します

 

主張を整理したいと感じたら
これから離婚調停を申し立てる方、あるいは調停期日を控えて不安を感じている方にとって、「何をどの順番で話せばよいのか分からない」という点は大きな悩みです。
弁護士が関わることで、まず自分の希望が法的に可能かどうか見通しを持って進めるというメリットがあります。
• 法的に重視されるポイントは何か
• 何が争点になりそうか
• 現実的な解決の方向性はどこにあるか
を事前に弁護士と確認することで、調停の場で混乱しにくくなります。
また、自分に不利になりかねない発言を避けられる点も重要です。感情のままに一方的に話してしまったり、必要以上に譲歩してしまったりすることを防ぐことができます。
さらに、調停当日の流れや想定される質問を事前に確認できるため、安心感をもって臨むことができます。この安心感は、落ち着いた態度にもつながります。
離婚調停の基本的な流れやポイントについては、こちらの離婚調停の解説ページでも詳しく解説しています。
大切な人生の節目だからこそ、納得できる形で進めることが重要です。
不安を抱えたまま進めるのではなく、ぜひ一度、弁護士細江智洋の法律相談にお越しください。丁寧にお話をうかがいながら、最善の解決に向けてお手伝いいたします。

この記事を担当した弁護士

離婚コラム97

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

2026.03.20更新

離婚コラム96

 

離婚調停が不成立になることはある?成立率と実情を解説
「離婚調停を申し立てれば、話し合いで必ずまとまるのでしょうか。」
法律相談では、このようなご質問をよくいただくことがあります。
結論から申し上げると、離婚調停が不成立になるケースもあります
もっとも、調停で解決する場合も多く、必ずしも裁判に進むわけではありません。
離婚調停は、家庭裁判所で調停委員を介して話し合いを行い、離婚やその条件について合意を目指す手続です。裁判とは異なり、当事者同士の話し合いによる解決を目的としています。
では、実際にどのくらいの離婚調停が成立しているのでしょうか。

 

■ 離婚調停の成立率はどのくらい?
最高裁判所事務総局「令和6年司法統計年報(3 家事編)」によると、婚姻関係事件のうち
• 約46.8%が調停成立
• 約18.3%が調停不成立
となっています。
つまり、約半数は調停で解決している一方、一定割合で不成立となるケースもあるというのが実情です。離婚調停は、準備や進め方によって結果が大きく変わる手続といえます。

 

■ 離婚調停が不成立になる典型例
では、どのような場合に離婚調停は不成立になりやすいのでしょうか。代表的な例を見てみましょう。
① 相手が離婚に同意していない場合
例えば、別居が始まったばかりで相手が「まだ関係を修復できる」と考えている場合です。
離婚そのものに合意が得られないと、財産分与や養育費といった条件の話し合いに進むことができません。また、夫が離婚を希望している一方で、妻が「子どものためにも離婚はしたくない」と強く主張しているような場合、調停が進まず不成立となることがあります。

② 財産分与の対象や内容で意見が対立している場合
離婚調停では、財産分与について当事者の認識が大きく異なることがあります。特に、「どこまでが財産分与の対象(=共有財産)になるのか」という点で意見が対立すると、話し合いがまとまりにくくなります。
例えば、夫が結婚前から使っている預金口座に、結婚後の給与や生活費の入出金が長年続いているような場合です。夫は「もともと自分の預金なので共有財産にはならない」と主張する一方で、妻は「結婚後の収入も入っているのだから共有財産ではないか」と考えていることがあります。このように共有財産の考え方が異なると、調停で合意するまで時間がかかることがあります。

③ 冷静な話し合いが難しい場合
離婚理由によっては、相手への不満や怒りが強い場合もあります。
そのような状態では、互いに相手を責めるやり取りが続き、本来話し合うべき「親権」「養育費」「財産分与」などの条件について結論が出ないため、調停がまとまらないこともあります。

④ 親権を双方が希望している場合
未成年の子どもがいる場合、親権は大きな争点になります。双方が親権を強く希望していると、調停で結論が出ないこともあります。
例えば、これまで母親が主に子どもの世話をしてきたものの、父親が「今後は自分が育てたい」と考えて親権を希望している場合です。生活環境や監護状況について双方の主張が対立し、調停では合意できないことがあります。

 

■ 離婚調停が不成立になるとどうなる?
離婚調停が不成立になると、離婚訴訟(裁判)へ進む場合もあります
裁判では話し合いではなく、裁判官が証拠に基づいて判断を下します。例えば、
• 法律上の離婚原因があるか
• 親権はどちらが子どもの利益にかなうか
• 財産分与や慰謝料の金額は妥当か
といった点が、提出された資料や証拠をもとに判断されます。
そのため、調停の段階から「裁判になった場合にどのように判断される可能性があるか」を考慮して、主張や証拠をまとめておくことが大切です。
離婚調停が不成立になった場合については、離婚調停が不成立になったらどうなる?次のステップと選択肢もご参考になさってください。

 

■ 調停で解決するために大切なこと
離婚調停では、
• 調停での目的を明確にしておくこと
• 数字やデータで資料や証拠を準備すること
• 現実的な解決案を考えておくこと
が結果を大きく左右します。
見通しを持たずに調停に臨んでしまうと、話し合いが長引いたり、不成立に終わったりする可能性もあります。事前に上記のような準備をしておくことで、調停成立できる可能性を高めることができます。

離婚調停の流れや進め方については、
離婚調停の解説ページでも詳しく解説しています。

離婚調停が不成立になるかどうかは、事前準備や進め方によって大きく変わります。
不安な点がある場合は、早めに弁護士に相談し、サポートを受けながら準備しておくことをおすすめします。

この記事を担当した弁護士

離婚コラム96

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

2026.03.15更新

離婚コラム95

 

離婚調停で結果を引き寄せる!事前準備と交渉術
離婚を考えたとき、「離婚調停で不利にならないだろうか」「自分の希望はきちんと伝わるだろうか」と心配になる方は少なくありません。離婚調停は、主張と証拠を伝え、現実的な解決方法を探る手続きです。適切な事前準備と交渉の工夫によって、希望する結果に近づくことは十分可能です。
今回は、離婚調停で結果を引き寄せるための「事前準備」と「交渉術」について、具体例を交えながら解説します。

 

1.離婚調停の基本を正しく理解する
離婚調停とは、家庭裁判所で調停委員を介して話し合い、離婚や親権、養育費、財産分与、慰謝料などの条件を決める手続きです。
調停では、
• 法律上の根拠があるか
• 具体的な資料があるか
• 現実的な解決案か
といった点が重視されます。
そのため、準備不足のまま臨むと、本来認められるはずの主張が十分に伝わらないことがあります。

 

2.結果を左右する「事前準備」のポイント
(1)請求内容を明確にする
たとえば養育費を請求する場合、「生活が苦しいので多めにほしい」といった抽象的な主張では伝わりません。
・子どもの年齢
・現在の収入
・必要な生活費や教育費
・相手方の収入資料
などをはっきりと示し、算定表に照らして具体的な金額を提示することが大切です。
慰謝料を請求する場合も同様です。不貞が原因であれば、
・いつからどのような不貞関係があったのか
・不貞を裏付ける証拠(LINE、写真、ホテルの領収書など)
をはっきり伝える必要があります。
(2)財産資料を確保する
財産分与では、結婚後に築いた共有財産が対象になります。
具体的には、
・預貯金通帳の写し
・保険証券
・不動産の資料
・退職金見込額
などの資料を揃え、事前に内容を把握しておくことが重要です。
「相手が管理していて分からない」というケースもありますので、早い段階で資料を集めることが、財産分与にとっては大切です。

 

3.離婚調停で活きる交渉術
(1)優先順位を決める
離婚条件をすべて希望どおりにすることは難しい場合もあります。
たとえば、
• 親権は絶対に譲れない
• その代わり、財産分与は一定の範囲で調整可能
といったように、ご自身の中で優先順位を決めておくことが、調停での冷静な判断につながります。
(2)感情ではなく「事実」を伝える
「裏切られてつらい」というお気持ちは当然ですが、調停の場では
「○年○月から別居し、生活費の支払いが止まった」
といった具体的事実を伝える方が、調停委員にも理解されやすくなります。
客観的な事実を積み重ねることで、結果を引き寄せる土台ができます。

 

4.親権や養育費で差が出る具体例
例えば、親権を争う場合、
・これまで主に育児を担当してきたのは誰か
・子どもの生活環境がどう維持されるか
・子どもの通学や通院状況
といったこれまでの経緯や今後の見通しが重視されます。
お子さんを大切に思う気持ちは当然ですが、具体的な養育状況や環境がどのように整っているかで判断されます。日常的な親子の関わりを示す具体的な事実が重要です。
養育費を決める場面でも、相手の収入資料が不十分なままだと適正な金額が算定できません。こうした点で準備の差が結果に影響することがあります。

 

5.専門家のサポートが結果を左右する
離婚調停は、ご自身だけでも進めることは可能です。しかし、
• 主張の整理が難しい
• 証拠として何が法的に有効か分からない
• 相手が弁護士をつけている
といった場合、専門的な視点があるとないとでは、結果に大きく影響することがあります。
弁護士が関与することで、
・法的に有効な主張の構成
・証拠の整理
・調停での交渉方針の立案
が可能となり、より有利な解決に近づくことができます。

 

まとめ|離婚調停は「準備」で決まる
離婚調停で結果を引き寄せるためには、事前準備と戦略的な交渉が最も大切です。
「何から始めればよいか分からない」
「自分のケースではどう進めるべきか知りたい」
そのような方は、早めに弁護士へご相談ください。
状況を整理するだけでも、見通しが大きく変わります。
離婚調停の流れやポイントについては、
当事務所の離婚調停の解説ページもぜひご覧ください。

一人で抱え込まず、適切な準備と専門的な助言のもとで、納得できる解決を目指していきましょう。

この記事を担当した弁護士

コラム用写真

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

2026.03.10更新

離婚コラム94

 

離婚調停で不利になる発言とは?避けるべき口癖と態度
離婚調停は、感情的になりやすい場面があります。しかし、調停の場での話し方や態度によっては、自分にとって不利な印象を与えてしまうことがあります。
「事実を話しているのに、なぜか思ったように伝わらない」
「思わず強気な発言をしてしまった」
こうした進め方が、調停の結果に影響することも少なくありません。今回は、離婚調停で不利になりやすい話し方や態度について、弁護士の視点から解説します。

 

1.「絶対に許さない」「一円も払わない」という極端な言い方
離婚調停では、必ず慰謝料や養育費、財産分与など金銭の話し合いがあります。その際に、
・「絶対に相手を許さない」
・「一円も払いたくない」
・「私は悪くない」
といった一方的な発言を繰り返すと、冷静な話し合いが難しい当事者という印象を持たれてしまいます。
調停は「白黒をつける場」ではなく、「現実的な解決を求める場」です。「別居はいつからか」「収入はいくらか」「どちらが主に子どもの世話をしてきたか」といった、客観的な事実に基づいて話し合う方が現実的な解決を導くことができます。冷静に、これまでの経緯と今後の希望を、順序だてて伝えることが大切です。

 

2.相手の人格を否定する発言
「親として失格だ」
「人としておかしい」
「まともな会社員とは思えない」
このような人格否定は、調停ではほとんど意味を持ちません。
親権争いでは、基準となるのは「子どもの利益にとってどちらが適しているか」です。相手を非難することより、自分がどう子どもを養育してきたかを具体的に伝える方が、はるかに説得力があります。
離婚調停では、評価されるのは“主張の中身”です。相手を非難する態度は、かえって自分の主張の重みを下げてしまうことがあります。

 

3.話を何度も変える・曖昧な回答をする
調停の中で、
「やっぱり考え直します」
「その時はそう思いましたが今は違います」
と主張が頻繁に変わると、信用性が疑われることがあります。
もちろん状況によって気持ちが変わることはあり得ますが、根拠もなく意見が二転三転すると、「準備不足」「感情的」と受け取られかねません。離婚調停では、あらかじめ希望条件や優先順位を決めておくことが大切です。

 

4.相手の発言を遮る・威圧的な態度をとる
ため息をつく、腕を組む、強い口調で否定する――。
このような態度も、実は調停での印象に影響します。調停委員は中立の立場ですが、話し合いが成立しないと判断すれば、審判や訴訟へ移行する場合もあります。
落ち着いて調停委員の話を聞き、必要な事項だけを簡潔に伝える姿勢が、結果的に自分の利益につながります。

 

5.客観的な事実より気持ちを中心に話してしまう
「とにかくつらかった」
「毎日苦しかった」
そのお気持ちは当然です。ただし、慰謝料や親権、養育費といった内容を決める場面では、具体的な事実や証拠が重視されます。
・いつから別居しているのか
・収入はいくらか
・育児の実績はどうか
こうした客観的な事実を伝えることが、離婚調停を有利に進める鍵となります。

 

離婚調停で大切なのは「冷静さと準備」
離婚調停では、感情が大きく揺れ動く場面も少なくありません。だからこそ、その場の思いに任せて発言するのではなく、一度立ち止まって、何をどう伝えるべきかを準備しておくことが大切です。
離婚調停で避けるべき行動や注意点については、「離婚調停のNG行動とは?弁護士が教える5つの注意点」もご参考になさってください。


調停は、「事実や希望を明確に伝える場」です。事実関係や希望条件、優先順位をあらかじめはっきりさせておくことで、落ち着いた態度で話し合いに臨みやすくなります。
もっとも、これらの事項をご自身だけで冷静に決めることは簡単ではありません。弁護士のサポートを受けつつ準備を進めることで、法的に重要なポイントを押さえながら、伝え方の工夫も含めて主張を整えることができます。それが結果として、不用意な発言を避け、より納得のいく解決へとつながります。


離婚調停の流れや具体的な判断基準については、
離婚調停の解説ページで詳しくご紹介しています。知識を深める一助として、ぜひ参考になさってください。

十分な準備と専門家の支えがあれば、調停の場でもご自身の主張を丁寧に伝えることができます。弁護士細江智洋は、これまでの経験を踏まえ、主張の整理や伝え方の工夫まで含めてサポートいたします。

 

この記事を担当した弁護士

コラム用写真

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

 

2026.03.02更新

離婚コラム93

 

Q. 親権がないと進学先の決定や病院での同意もできない?
「離婚後、子どもの親権は相手にあるけれど、進学先を決めたり、病院での医療行為に同意したりすることはできないのだろうか」
このような心配を抱えている方は、決して珍しくありません。
親として子どもを大事に思う気持ちがあっても、「親権がない」というだけで、何も関われないのではないかと感じてしまうこともあるでしょう。
ここでは、進学や医療の場面を例に、親権がない場合の関わり方や、4月から始まる共同親権について、分かりやすくご説明します。

 

親権とは、どこまでを決める権利なのでしょうか
親権とは、未成年の子どもを守り育てるために、法律で定められた権利と義務のことです。
具体的には、次のような重要な判断をすることです。
• 進学先や転居など、子どもの将来に関わる決定
• 手術など重要な医療行為への同意
• 子どもの財産管理 など
これまで日本では、離婚後はどちらか一方の親が親権を持つ「単独親権」が原則でした。
そのため、基本的な考え方として、法律上の最終的な決定権は親権者にあります。

 

親権がない場合、進学先の決定には関われないの?
結論から言うと、最終的な決定は親権者が行うことになります。
ほとんどの場合、学校への入学手続きや書類への署名は、親権者でなければできないのが実情です。
ただし、親権がないからといって、進学について意見を伝えることはできます。
監護権を持ち実際に子どもと生活している場合や、面会交流などを通じて継続的に子どもの生活に関わっている場合には、その意見が尊重され、親権者との話し合いの中で進学先が決まることも多くあります。
「決める権利」と「子どもの将来を考える立場」は、必ずしも同じではない、という点は知っておいてよいでしょう。

 

病院での同意や手続きはどうなるのでしょうか
基本的な考え方は、病院での同意についても進学先の決定と同じです。
手術など重要な医療行為については、原則として親権者の同意が求められます。親権を持たない親が反対していたとしても、法律上の決定権は親権者にあります。
一方で、日常的な通院や緊急の治療については、親権がない親が対応できる場合があります。
単独親権では「誰が最終的に決めるのか」は明確ですが、手続きを円滑に進めるためには親同士が冷静に話し合える関係を保つことが重要です。

 

2026年4月から選べるようになる「共同親権」ではどう変わるのか
2026年4月から、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を選択できるようになります。
共同親権を選んだ場合、進学先の決定や重要な医療行為については、父母が話し合い、共同で判断することが原則となります。
これは、どちらかの親を排除する制度ではなく、両親がともに子どもの将来に責任を持つという考え方に基づくものです。
もっとも、日常的な通院や学校生活に関する細かな判断まで、すべて共同で決めなければならないわけではありません。
ただし、意見が対立した場合には双方の合意が原則となるため、話し合いがまとまるまで手続きが進まない場合もあります。このように、制度そのものよりも、話し合いが十分にできる関係かどうかが大きなポイントになります。
そのため、共同親権を選ぶ場合には、
• 進学先はどのように協議するのか
• 通院の付き添いや学校への対応はどちらが行うのか
• 何日以内に返答するのか
といった基本的なルールをあらかじめ決めておくことが大切です。

 

親権がなくても、子どもとの関わりは続きます
親権がないと、進学や重要な医療行為の最終判断はできませんが、それは「親ではなくなる」という意味ではありません。実際には、面会交流や日常的な連絡を通じて子どもと関わり続けているご家庭も多くあります。
大切なのは、法律上できること・できないことを正しく理解したうえで、子どもにとって安心できる関わり方を考えていくことです。
親権や監護権について、より詳しく知りたい方は、
親権・監護権のページも参考になさってください。

この記事を担当した弁護士

コラム用写真

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

2026.03.01更新

離婚コラム92

 

親権変更に必要な理由とは
離婚時に決めた親権について、
「今の環境は本当に子どものためになっているのだろうか」
「生活が変わり、親権はこのままでよいのか不安」
このようなお気持ちから、親権の変更を考え始める方は少なくありません。
もっとも、親権は一度決まると、簡単には変更できません。
親権者の変更が家庭裁判所で認められるには、法律で定められた要件を満たす必要があります。この記事では、親権変更が認められるための要件や、裁判所がどのような点を重視するのかを具体的に解説します。

 

親権変更の要件は「子の利益のため」
親権者の変更が認められるのは、民法で「子の利益のため必要があると認めるとき」と定められています。父母の希望や都合よりも、あくまで子どもの健全な成長と福祉にとって変更が必要かどうかが最優先で判断されます。生活環境が頻繁に変わることは子どもにとって大きな負担となるため、裁判所は変更の必要性を慎重に判断します。

「前より経済的な余裕ができた」
「やはり親権を取りたい、自分が育てたい」
といった理由だけでは、裁判所で親権変更は認められません。


現在の親権者が育児をほとんど行っていない場合
「育児をほとんど放棄している」と判断されるのは、単に忙しくて育児が出来ていないという程度ではありません。
日常的な養育が継続して行われていない状態が問題になります。
たとえば、
• 平日はほとんど家におらず、子どもの食事や入浴、就寝の世話をしていない
• 学校や保育園との連絡、行事への対応を一切行っていない
• 病気やけががあっても、通院していない
• ほぼ祖父母などに子どもを預けたままになっている
このような生活が長期間続いている場合、養育放棄(ネグレクト)と判断される可能性があります。
一時的な事情ではなく、「常態化しているかどうか」が重要な判断ポイントです。

 

虐待が疑われる場合
親権判断では、身体的な暴力だけでなく、言葉による精神的虐待も重要視されます。
たとえば、
• 「お前なんかいなければよかった」
• 「本当に何もできない子だ」
• 「誰もお前のことなんて気にしていない」
• 「言うことを聞かないなら家から出ていけ」
こうした暴言を日常的に繰り返し浴びせている場合、子どもの心に深刻な影響を与えるとして、親権変更が認められることがあります。


親権者の病気や生活環境の激変
親権者が重い病気にかかり、子どもの面倒を見ることができなくなった場合や、再婚・転居などによって生活環境が大きく変わり、結果として子どもを適切に養育していない状態(例:再婚相手を優先し、子どもを親戚に預けている)になっている場合も、変更の理由となり得ます。

 

子どもの意思が考慮される場合
子どもが一定の年齢に達している場合には、
「どちらの親と暮らしたいか」「今の生活に不安はないか」といった子どもの意思も考慮されます。
家庭裁判所は、子の年齢や発達の程度に応じてその意思を考慮し、特に子が15歳以上の場合には、その子の意見を聞かなければならないと定められています。裁判例でも、11歳の子の意思を尊重して親権者変更を認めたケースがあります。
もっとも、子どもの希望だけで親権が変更されるわけではなく、
養育環境やこれまでの経緯とあわせて、総合的に判断されます。

 

親権変更では「証拠」がとても重要です
親権変更の手続きでは、「心配している」「問題があると思う」という動機だけでは足りず、
現在の養育状況が客観的にわかる資料が重要になります。
• 面会時に気づいた事実を、日時とともに記録したメモ
(身なりや体調、生活の様子についての不自然な発言など)
• 親権者とのLINEやメールのやり取り
(学校や病院の話題に反応を示さない、十分な養育がされていないことが分かる内容)
• 子どもから聞いた普段の様子を簡単に書き留めた日々の記録
(祖父母が主に世話をしている、親権者がそもそも家にいないなど)
• 学校対応を祖父母や第三者が行っていることが分かる資料
これらを無理のない範囲で、複数の証拠を積み重ねることで、養育状況に問題がある可能性を示す材料になります。

 

親権変更を考えたら、早めの相談を
親権変更は、子どもの将来に大きく関わる問題です。

一人で抱え込まず、専門家に相談することで、状況に応じた適切な進め方が見えてくることもあります。
親権や監護権について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページもぜひご覧ください。

2026.02.28更新

離婚コラム91

 

離婚しても「親」でいるために。親権をめぐる大切な考え方

離婚を考えたとき、誰もが悩む「親権」という問題
離婚を検討するとき、お子さんのことがまず一番の気がかりな問題です。「自分は親権者になれるのだろうか」「もしならなかったら、子どもとどう関われるのか」――こうした不安を抱える方は、決して少なくありません。
親権の問題は、離婚の中でも特に判断が難しく、簡単に答えが出るものではありません。だからこそ、両方の立場を知ったうえで、落ち着いて考えることが大切です。

 

親権とは何か――子どもの生活を支えるための役割
親権とは、子どもの身の回りの世話をし、教育や進学、医療などについて判断する権利と義務のことをいいます。
日本では現在、離婚後は父母のどちらか一方が親権者になるのが原則です。
親権は「取りたい・取りたくない」という気持ちだけで決まるものではなく、子どもにとってどの生活がより安定しているかという視点が重視されます。これまで主に子どもの世話をしてきたのはどちらか、子どもの環境が大きく変わらないかなど、さまざまな事情を考慮して判断されます。

 

親権者になる親の立場――大きな責任を引き受けるということ
親権者になるということは、子どもと一緒に暮らし、身の回りの世話をしていく役割を担うということです。
通学・通園や進学、医療において重要な判断を行い、子どもの将来にも直接向き合う責任があります。
一方で、すべてを一人で背負わなければならないという重圧を感じることもあります。親権者になることは、子どもの将来を見据えた覚悟と責任が求められる立場でもあるからです。

 

親権者にならない親の立場――親でなくなるわけではない
親権を持たない立場になると、「もう親として子どもに何もしてやれないのでは」と不安に思われる方もいらっしゃいます。
しかし、親権がないからといって、親子関係がなくなるわけではありません
面会交流を通じて子どもと定期的に連絡を取り、会って話をし、子どもの成長を見守ることはできます。
また、親権がなくても、養育費を支払うことは、子どもの生活を支える重要な役割です。養育費は「相手のため」ではなく、子どものためのものであり、離れていても親としての責任を果たす一つの形です。

 

「単独親権」だけではない――共同親権をめぐる動き
2026年4月から、共同親権の制度が施行されます。
共同親権とは、離婚後も父母がともに親権者として関わる制度です。
もっとも、共同親権は、父母の協力関係が前提です。対立が激しい場合や、十分な話し合いが難しい場合には、かえって子どもの負担になる可能性があるため、すべての家庭にとって最適とは限りません。

 

迷っている今だからこそ、大切にしたい視点
親権者になるか、ならないかは、どちらが「正しい」という問題ではありません。
離婚後も親として子どもとどう関わり続けていくのがベストなのか、その道筋を考えることが大切です。
それぞれの立場を知り、家族にとって無理のない形を探していくことが、後悔の少ない選択につながります。

 

親権・監護権について、専門家と一緒に整理するという選択
親権や監護権の問題は、法律の知識を理解するだけでなく、これまでの生活や子どもの将来まで考慮することが欠かせません。
一人で抱え込まず、専門家に相談することで、考えが整理され、気持ちが落ち着く方も多くいらっしゃいます。
親権・監護権について、より詳しい考え方や具体的な手続きについては、以下のページで解説しています。
迷われている方こそ、参考にしていただければと思います。
▶ 親権・監護権について詳しくはこちら

この記事を担当した弁護士

コラム用写真

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

2026.02.26更新

離婚コラム90

 

親権は何を基準に決まる?裁判所が判断で重視する5つのポイント

離婚を考えたとき、「子どもの親権はどちらが持つのか」という問題に多くの方が不安に感じています。
話し合いで決まればよいのですが、意見がまとまらない場合には、最終的に裁判所が決めることになります。
では、裁判所はどのような基準で親権者を判断しているのでしょうか。
実は「収入が多い方」「母親だから有利」といった簡単な基準ではありません。重要視されるのは、あくまで子どもの利益です。
ここでは、裁判所が実務上大切にしている代表的な5つの点を、分かりやすくご説明します。

 

① 主たる監護者はどちらか
最も重視されるのが、「これまで誰が主に子どもの世話をしてきたのか」という点です。
毎日の食事、身の回りの世話、学校や保育園との連絡などを継続的に担ってきたかどうかが評価の対象になります。

 

② 子どもの生活環境の継続性
裁判所は、子どもの環境ができるだけ大きく変わらないことを重視します。
転校や引っ越しによる負担が少ないか、これまでの生活リズムを維持できるかといった点が判断材料になります。

 

③ 親の監護能力・養育姿勢
親が子どもを心身ともに健やかに育てられるかどうかも重要です。
仕事と育児を両立できているか、自身の健康状態、育児への理解や協力度合いなどが総合的に見られます。

 

④ 子どもの意思(年齢・発達に応じて)
子どもがある程度の年齢に達している場合には、以下のような子供の気持ちが尊重されます。
● どちらの親と一緒にいると安心できるか
● 今の生活(学校・友達・習い事など)を変えたくないという思い
● 急な生活の変化に対する不安や戸惑い
ただし、子どもの意見だけで決まるわけではなく、周囲の影響を受けていないかなども慎重に判断されます。

 

⑤ きょうだい不分離の原則
兄弟姉妹がいる場合、原則として同じ親が親権を持つことが望ましいとされています。
特別な事情がない限り、兄弟姉妹を引き離さないという判断がなされる傾向にあります。

 

親権と監護権は分けて考えることもあります
2026年4月から、「共同親権」という制度が施行されます。
共同親権とは、離婚後も父母の双方が親権を持ち、重要な事項について協力して決めていく考え方です。もっとも、実務上は、日常生活の拠点はどちらか一方に定める必要があるため、誰が実際の子育て(監護)をするのかを決めることは引き続き重要になります。
そのため、裁判所の判断や調停の場では、
「親権」と「監護権」を分けて定めるという方法もあります。
たとえば、次のような場合です。
  • 子どもは今までどおり母親と暮らすのが望ましいが、父親も学校行事や進学などの重要な決定には関わるべき事情がある場合
  • 監護の実績は一方の親にあるものの、もう一方の親にも意欲的に養育へ参加し適切に関わることが期待できる場合
  • 親権を一方に限定すると親権が無い方の親に強い不満がつのり、親同士の対立によって子どもに精神的な負担が生じるおそれがある場合

このような状況では、実際に子どもと暮らし、日常の世話をする母親を「監護権者」とし、法律上の親権は父母双方、あるいは親権の行使については協議する方法を取ることもあります。

親権や監護権は、「どちらが持つか」を決めることではなく、子どもが安心して生活できる環境を第一に考えて柔軟に判断することが重要です。

 

早めの相談が大切です
親権の問題は、親権の問題は、子どもの生活や将来に直接関わるため、さまざまな要素を慎重に考える必要がある分野です。
事前に状況を把握し、何が重視されるのかを知っておくことで、十分に対応できます。
親権や監護権について、より詳しく知りたい方は、下記のページもぜひご覧ください。
お一人で悩まず、専門家に相談することで、より良い解決への道が見えてくることもあります。
▶親権・監護権について詳しくはこちら

この記事を担当した弁護士

コラム用写真

みなと綜合法律事務所 弁護士 細江智洋
神奈川県弁護士会所属 平成25年1月弁護士登録
当事務所は、離婚問題でお悩みの方からのご相談を日々お受けしています。離婚相談にあたっては、あなたのお気持ちに寄り添い、弁護士の視点から、人生の再出発を実現できる最良の方法をアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にご連絡ください。

 

前へ
TEL:050-7587-0469 ご質問・ご予約はこちらTEL:050-7587-0469 ご質問・ご予約はこちら